富岡市の暮らしと移住のWEBマガジン
まゆといと

2023.11.17 子育て・10代・学生

【富岡実業高校】花や野菜を通した地域との交流

「地域の若者を応援したい!」

そんな思いから、これまでも市内の高校生を取材してきた『まゆといと』。

今回は群馬県立富岡実業高校の生徒さんが取り組んでいる、“実業高校にしかない” 地域との繋がりについて伺ってきました。

 

それはまゆといとの会議での、こんな雑談がきっかけでした。

「最近、野菜が高いよね…」

「うんうん。ほんとね…」

「そういえば以前は実業生が学校の外で野菜を売っていたけれど、最近はあまり見かけないね。」

 

私自身は実業高校の野菜を買ったことはありませんでしたが、思い返せば子供の頃から、実業高校の生徒さんが校外を歩きながら野菜を売っている姿を目にしていました。そこで野菜を買った母が、「実業高校の野菜は新鮮だし、美味しいし、安いから。」と言っていたのを覚えています。

 

でも確かに最近は、そんな姿もあまり見なくなりました。今でも校外での野菜の販売はあるのかな…?

 

また、実業高校では色んな資格取得に取り組んでいるという話を聞いたことがあります。実業高校生はどんな資格を持っているのかな?今の高校生はどんな事に興味を持っているのかな…?

 

そんな疑問を持ち、実業高校へ向かいました。

 

 

 


 

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校舎の奥に広がる光景

 

 

群馬県立富岡実業高等学校

 

 

学校に着くと、川上教頭先生が校内を案内してくれました。

 

まず私が驚いたのは、広い敷地!!校舎の奥には、野菜や花を育てる畑と温室、ものづくりを学べる本格的な機械が置かれた作業室、パン屋さんで見かけるような大きなオーブンがある調理室、そして牛舎や鶏舎などがありました。

 

 

畑で野菜の生育状況を観察する1年生。立派に育っているように見えますが、まだ収穫には早いそうです。

 

 

トマト栽培の温室。これから色づくようで、まだ緑色でした。

 

 

ビオラなどの花がたくさん並ぶ温室。色とりどりできれいです。教頭先生は黒いビオラが好きなんだそう。

 

 

鶏舎には靴底を消毒して入ります。約300羽飼育しているそうで、卵もたくさんありました!

 

 

9月に産まれた子牛の「幸瑠倶(シルク)」くん。目がくりくりでカワイイ〜。

 

 

こちらでは生徒さんが作った落花生の袋詰め作業をしていました。

 

 

調理室の黒板。マドレーヌを作るなんて楽しそうな調理実習ですね。私も一緒に作りたいな。

 

 

 


 

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人気の販売会は年に2回

 

 

― たくさんの種類の野菜や花を育てていますね。

 

教頭先生:今作っている野菜や花、落花生などは、12月の販売会用に用意しているものです。販売会は毎年、春と冬の年2回、学校で行っています。春は花や野菜の苗を、冬は花などを主に販売していて、他にも季節の野菜や生みたて卵、焼き菓子などもありますよ。生徒が自分たちで育てた花や野菜を売るまでが授業で、地域の人たちと交流しながら販売しています。

 

 

春の販売会の様子。たくさんの方が来場しています。

 

冬の販売会の目玉、シクラメン。

 

 

― 販売会を楽しみにされている方も多いようですが、生徒さんが校外で販売される事もありますか?

 

教頭先生:最近では生徒が校外へ売りに出る機会は少ないですね。なるべく販売会で出せるようにしていますが、時々校外へ出る事もあるので、タイミングが良ければ出会えるかもしれませんね。

 

― そう言われると出会ってみたいです(笑)。また、学校のホームページからも苗の注文ができるようになっていますね。

 

教頭先生:ホームページのトップ画面から注文できるようになっていて、最近では市内の小学校などから花の苗の注文が入ることが多くなりました。購入してもらった苗は、小学校の児童のみなさんが苗から花に育てて、その花を入学式や卒業式の会場に飾るようですね。

 

― 確かに私の娘たちが小学生の頃も、パンジーの花を育てて、それを上級生の卒業式の会場に飾ったと言っていました。自分たちが育てた花で会場が飾られたことが嬉しかったようです。実業生にとっては、育てた苗が自分の母校に届いているかもしれませんね。高校生から小学生や中学生にお祝いの気持ちが繋がれているようで、とても素敵なことですよね。

 

 

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【販売会のお知らせ】

「冬のグリーンフェスタ」

日時:12月2日(土) 9:00~12:00

場所:富岡実業高校 農場温室

内容:シクラメン・草花苗・季節の野菜・卵・焼き菓子等の販売

*開催については実業高校ホームページに掲載される案内をご覧ください。

群馬県立富岡実業高校

 

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また富岡実業高校では、宮崎公園のつつじの保存と再生の取り組みを行っています。

以前まゆといとでも宮崎公園のつつじについてお伝えしましたが、質の高いつつじを守るため、生徒のみなさんは専門家の先生から挿し穂の取り方や挿し木の方法などを学んでいるそうです。富岡市の文化財を守るお手伝いをしてくれていたのですね。

 

 

毎年綺麗に咲くつつじは、生徒さんの手で守られています。

 

 

 

 


 

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最先端技術を学ぶ

 

 

 

 

教頭先生からいただいた学校の資料には、ドローンなどの講習についての記載や、生徒のみなさんが取得した資格がたくさん書かれていました。

 

学校で行われる講習の例

○無人航空機操縦技能講習

○フォークリフト運転技能講習

○小型移動式クレーン運転技能講習 など

 

生徒が取得した資格の例

●食生活アドバイザー

●第二種電気工事士

●危険物取扱者乙種第4類

●日本農業技術検定

●普通旋盤技能検定 など

 

 

 

― 実業高校の生徒さんは様々な資格を取得していますね。

 

教頭先生:それぞれが興味がある資格を積極的に取得しています。フォークリフトやクレーンの操作などは実践的なスキルですから、就職してからの即戦力として期待されます。また学校では、1年生全員がドローンの飛行講習を受けています。自動車運転免許で例えると、教習所で自動車運転の講習を学ぶ感じです。ドローンもその講習に合格して、その後で学科試験に合格すると免許取得となります。生徒たちはゲームでもするようにあっという間に技術を習得してしまいますね。私たち教員より早いかもしれません(笑)。

 

 

ドローン講習の様子

 

 

送信機(コントローラー)を操作する感覚は、ゲームのような感じなのでしょうか。もちろん講習では真剣に取り組み、1年生修了時には「無人航空機操縦機能証明証」を取得しているそうです。

 

 

会議室でお話を伺いながら、実際にドローンを見せていただきました。ここでも飛ばせますよと教頭先生が操作を始めましたが…ん?なかなか動きません。そこへ助っ人が来てくれました。

 

 

助っ人登場!

 

 

現れたのは、電子機械科3年生の山田 晃大(やまだ あきひろ)君。送信機を持つと、机の上に置いていたドローンのブレードが回り、ふわっと機体が浮いて動き出しました。

 

会議室の中で飛ばしても大丈夫なのかな?と思いましたが、山田君は余裕の表情で操作。ドローンは安定した飛行で部屋の中を飛び、そしてまた机の上へスッと着陸し、山田君は授業へと戻って行きました。ありがとうございました!

 

 

爽やかに登場して、ドローンを操作してくれました。

 

 

ドローンなどの先端技術は、スマート農業や工事現場での危険個所の点検など、ジャンルを問わず活用が期待されています。その入り口となる知識や技術を、実業高校の生徒さんは身につけているのですね。

花や野菜の販売をきっかけに、学校の多彩な取り組みを知ることができました。

 

 

 


 

 

 

取材を終えると、教頭先生から卵と落花生のお土産をいただきました。

 

「今朝生みたてです」といただいた卵は、割ってみるとツヤツヤでプリプリでした。野菜や落花生も美味しくいただきました。

 

 

実業高校の生徒さんは、取材中の私とすれ違うたびに「こんにちは」と元気よく挨拶をしてくれました。とても気持ちの良い元気な声でした。みなさんが育てた花や野菜には、その元気が込められていると思います。

 

また実業高校では、新しくなった子育て健康プラザや富岡製糸場など、市の施設の花壇への花の植え付けも行っています。販売会で買った苗を庭できれいに咲かせている方もいることを考えると、富岡市内のいろんな場所で実業高校から巣立った花たちが咲いているのですね。

その花を見た人が笑顔になって、地域に笑顔が増えていったらいいな…。そんな想像をして、嬉しい気持ちになりました。

 

(カネコ)

 

 


 

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