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まゆといと

2022.08.26 子育て・10代・学生

群馬県立富岡実業高校【写真部】のことが知りたい!

「学校の部活動を取材して、とみおかの魅力として紹介していきたいね」

まゆといと編集部でそんな話をしていたのは2年半前。新型コロナウイルス感染症の流行が始まったのは、その矢先のことでした。

 

大会や発表会は中止になり、部活動はおろか学校に通うことさえできなくなったりと、状況は一変。元の生活が早く戻ることを願いながら、月日は流れていきました。

 

すると今年の春に、こんな出会いがあったのです。

重機にハマッた高校生の記事をまだ読んでいない方はコチラからどうぞ。

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解体機に夢中!!柏木大知くん

 

 

柏木くんは自分の個性を伸ばすことができている理由のひとつに、所属している富岡実業高校写真部の顧問の先生の存在があると話していました。

 

じつは以前から【富岡実業高校 写真部】の存在が気になっていた私たち。なぜなら3年前の全国高等学校写真選手権大会『写真甲子園2019』で、北関東から2校しか進めない本戦への初出場を果たしたことが大きな話題になっていたからです。

 

富岡実業高校はその後も3年連続で写真甲子園の本戦に出場。今年は残念ながら本戦の一歩手前で敗れてしまいましたが、柏木くんと知り合ったことをきっかけに学校へ写真部の取材をお願いしてみると…なんと快く引き受けてくださいました。

 

 

そこで夏休み直前の熱気ムンムンな部室にお邪魔して、部員のみなさんにいろんな質問を投げかけてきました。即興の撮影会の様子もお楽しみください♪

 

 

 

 


 

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「撮りたいものを撮っています」

 

 

 

◇まずは部長の岩井くん(3年)に、写真部の活動内容について聞きました。

 

 

― 写真部の活動内容ってあまり想像がつかないのですが、普段はどんなことをしていますか?

 

岩井くん:基本的にはカメラを持って撮影に出ています。校内で撮るときもあれば、校外で撮るときも。部室では撮影計画を考えたり、パソコンを使って写真のデータを管理したりしています。

 

撮影はみんなでテーマを決めて行うのでしょうか。

 

岩井くん:それぞれが撮りたいものを撮っています。例えば柏木くんは、重機が好きだから重機しか撮りません。コンテストに出すための作品を撮る場合もありますけど、普段撮ったものの中から気に入った作品を応募することが多いです。

 

 

盛んに活動していることが伺えるホワイトボード。フォトコンテストは無数にある中から先生がピックアップしたものに応募するそう。

 

 

 

― 撮影を頼まれることもありますか?

 

岩井くん:運動部の大会に行って撮ったり、行事の記録写真を頼まれることはあります。僕は今バドミントン部から撮影を頼まれているので、その準備をしているところです。

 

― 写真の技術はどうやって習得するんでしょうか。

 

岩井くん:入部した時はみんな初心者なので、先輩が後輩に技術を教えたり、先生が教えてくれたりします。あとは練習です。撮れば撮るだけ上手くなります。

 

 

 

富岡実業高校ホームページのトップ画像もなんと写真部の作品。全日本写真展2021(高校生の部)で金賞を受賞している。

 

 

 

◇さらに写真部の実態に迫るため、この日部室に集まっていた部員のみなさんにも聞いてみました。

 

 

― 写真部で良かったこと・楽しいこと・大変なことは何ですか?

 

 

谷くん(2年):撮影している時が楽しいです。仲間と一緒にひとつのものを作り上げるところが。

 

飯塚さん(2年):自分の作りたい作品の撮影を部員のみんなが協力して手伝ってくれて、ワイワイできるのが楽しい。大変なのは、毎月コンテストがあって、その締め切りに間に合わせることです。

 

市川くん(1年):大変なところは、みんなで声を掛け合ってやらないと作品ができなかったり、思っているような構図にならないところです。

 

小林さん(1年):みんなで案出しするのが楽しいです。パソコンでドキュメントファイルを共有しながらワイワイやっています。

 

 

被写体になったり、なってもらったり。誰かと一緒に作り上げることが多いため、コミュニケーション能力が鍛えられる。

 

 

藤井さん(2年):暑いときはとにかく暑いし、冬は寒いしで体力勝負。風が強かったり、環境によって撮りたいものが撮れなかったりするのが大変です。

 

山田さん(2年):撮影で使う小道具を作るとき、撮りたいものを形にしていく作業が大変です。

 

 

過去に撮影で使用した小道具が所狭しと並ぶ、ちょっと不思議な雰囲気の部室。

 

 

園部くん(1年):先輩にカメラの設定方法を教えてもらって、出かけた時に思い描いたように撮れたりすると楽しいなと思います。

 

吉澤くん(1年):まだ現像とかカメラの操作方法が覚えきれていないので、自分が撮りたい写真が撮れなくて難しいです。

 

富沢さん(1年):普段の活動が楽しいです。大変なことは、撮りたいものがわからなくなってしまうこと。

 

堀口くん(1年):先輩の写真を参考にして、どのような写真にするかを考えている時が一番おもしろいです。

 

 

全国高等学校総合文化祭への出品作品やフォトコン入賞作品が飾られている壁。刺激になる作品ばかり!

 

 

宮川くん(2年):僕は趣味のゲームの世界を写真にしているんですけど、興味があるものなのですごく楽しいです。

 

柏木くん(3年):重機が大好きなので、それを撮っているときが一番楽しいです。

 

岩井くん(3年):カメラを持って歩きながら写真を撮るのが好きなんですけど、1年を通して写真を撮っていると同じ場所でも違う表情が見られたりして、それが面白いです。

 

 

撮影する部員をこっそり撮影しているのが部長の岩井くん。

 

 

お話を聞いてみると、コミュニケーション能力・創造力・根気と体力…と、意外といろんな力が鍛えられることがわかりました。活動の自由度が高いので自主性も育ちそうですし、カメラがあることで普段の生活が楽しくなるのもいいですね。

 

 

◇ついでにこんな質問もしてみました。

 

 

― 富岡市内で好きな場所はありますか?

 

谷くん:南蛇井に住んでるんですけど、『おきなわ屋』という駄菓子屋さんが好きです。小学校の頃は毎日行ってました。

 

市川くん:『Kuturogi~寛~』ってジェラート屋さんが雰囲気もオシャレでよく行きます。一番好きな味は桑の葉です。

 

岩井くん:『岡重』に部活帰りにけっこう行きます。僕が好きなのは串カツで…

柏木くん:僕はハリケーンポテトです。

 

 

通えるお店が近くにあるっていいですね。そんな日常もぜひ写真に残してほしいです!

 

 

 

 


 

 

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チームワーク抜群!即興撮影会

 

 

 

集合写真の場所とポーズをおまかせすると、テキパキと移動して並んでくれたみなさん。こちらのリクエストにも躊躇なく応じ、普段から撮ったり撮られたりしているだけあるな〜と感心しました。

 

 

ジーッ・・・

 

 

ひょこっ。

 

 

かわいい写真が撮れました♪ しかしこれだけでは終わらず、、、

 

 

「はい並んでー」

 

 

顧問の布目先生の指示で並び出すみなさん。一体何が始まるの??

 

 

 

シャキーン!✨

 

 

ドドン!

 

 

ファイッ!!

 

 

すごい!求められている構図を即座に理解しポーズを取る、その対応力とチームワークの良さに感動です。

 

次は撮影している姿を撮らせてほしいとお願いすると、、、

 

 

パシャ!パシャ!

 

 

パシャ!パシャ!パシャ!

 

 

シュール!普段はこんな風に囲んで撮影することってあるんでしょうか?

「ないです(キッパリ)」

貴重な光景をありがとうございます(笑)

 

お次はパソコンでの作業シーンをお願いすると、、、

 

 

わちゃわちゃ

 

 

いい雰囲気〜。ちなみに普段は大人数で画面を見ることって…

「ないです(キッパリ)」

ですよね(笑)

 

 

以上、即興撮影会でした。みんなで撮るってこんなに楽しいんですね。

こうして限られたシチュエーションでも様々な見せ方ができるのは、コロナ禍で学校内でしか撮影できない期間が長かったために身についた特技だそう。逆境に負けることなく活動を続けてきた成果なんですね。

 

 

 


 

 

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「顧問の力ではなく部員たちの力でやれることが大切」

 

 

◇最後に、これからについて聞いてみました。

 

 

― 部活動でこれからやってみたいことはありますか?

 

岩井くん:コロナで外に出たり遠くに行っての撮影ができていないので、みんなで学校外に写真を撮りに行きたいです。

 

布目先生:この子たちの先輩は、いろんな場所に撮影に行ったり、他の学校と合同練習をしたり、みんなで鍋を囲んだりと、そんなことばかりしていました。でも今の3年生が入部する前に全てがストップしたんです。ただ作品を黙々と作っているだけでは得られないものをいろんな所に行って勉強してもらいたいのに、コロナのせいで全部できない。そんな苦しい状況を打破しながら活動してきました。だんだん規制も緩くなってきているので、元に戻していきたいとは考えています。

 

― コロナが部活動をはじめ学校生活に与えた影響は本当に大きいですね。私たち大人は決して他人事にしてはいけないと思います。

最後に顧問の布目先生から、部員のみなさんにメッセージをお願いします。

 

布目先生:目指しているのは、「生徒たちだけで運営できる部活動」。そして「顧問が変わっても部活動のレベルが変わらないこと」です。

今の1年生は、私よりも3年生に教えてもらった時間の方が長いと思います。ここまでちゃんと先輩が後輩を教えながら運営しているのは、意外と珍しいことなんです。今の1年生も3年生になったら後輩に教えられるよう、技術力をしっかり磨いてください。そして先輩は、後輩の目標にならなければならない。となると結果を残すのが一番手っ取り早い。なので2・3年生は、いろんなコンテストに挑戦して頑張ってください。

顧問の力ではなく、部員たちの力で何かをやれることが大切。部活が顧問の色ではなく、部長の色になっていけばいいなと思っています。

 

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布目先生が富岡実業高校に赴任したのは5年前。当時の写真部はほとんど活動していなかったそうです。わずかな部員と共にコンテスト入賞常連校にまで育て上げた布目先生だからこその、重みある言葉ですね。

 

 

先輩後輩の距離が近い写真部。3年生の穏やかな人柄のせいか、場の空気はとても和やか。

 

 

今の3年生が卒業する前に、みなさんが学校外で活動できる機会が一回でも多く訪れることを願っています。

富岡実業高校写真部のみなさん、ありがとうございました!

 

 

 

 


 

 

 

今回の取材では、やりたいことができない苦しい状況下でも学びと創造を諦めないみなさんの姿に、こちらが勇気づけられる思いでした。

そしてこのような高校生たちが全国にいると思うと、大人として何かしてあげたいという気持ちが改めて強くなりました。

 

「自分たちの活動も知ってほしい!」という生徒さんや学校関係者のみなさん、ぜひまゆといとにメッセージをください。お待ちしています!

 

(ナカヤマ)

 

 

 


 

 

 

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