「今度、子ども食堂を始めます。」
そんな情報をもらったのは、暑い7月のことでした。
ぜひ取材させてくださいとお願いし、立ち上げの段階からお話を伺ってきました。
子ども食堂を始めるのは、元気な3人のお母さんたち。
会議を重ね、様々な準備をして12月。いよいよ『子ども食堂 えがお』のオープンの日を迎えました。
「今だからできることをしたい。」という元気なお母さんたちによる、子ども食堂をご紹介します。
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親子で過ごす楽しい時間を提供したい
『子ども食堂 えがお』を立ち上げた3人のお母さんたち
元々はお子さんが通っていた幼稚園が同じだったという(写真左から)茂木 由美子さん、松本 康子さん、金久保 育代さん。
「いつか子ども食堂をやってみたい」という思いを持っていた3人が偶然繋がることになったのは、何気ない会話からでした。
金久保さん「子どもに対する思いが同じだったことがきっかけです。今私たちは、子どもたちと関わる仕事をしています。そこで感じるのは、学校や家庭内での子どもの孤立や、親たち・大人たちとのコミュニケーション不足など。時には、親たちの我が子に対する愛情の希薄さを感じることもあります。
自分たちは子育てを終えた今、振り返ってみて、やってきたことが正解だったのかはわかりません。でも、そんな思いを共有してじっとしてはいられませんでした。調べてみると、市内にはいくつかの子ども食堂を運営している団体がありました。そこへお手伝いに行きアドバイスをもらって、自分たちでも始められそうだと思い、動き始めたんです。」
子育ては、その時は一生懸命ですが、過ぎればあっという間です。私自身も自分の子育てを振り返って、感じることがたくさんあります。そんな思いを次の世代に伝えたいという3人のお母さんが、頼もしく感じました。
オープン準備の会議にお邪魔すると、そんな熱い思いが溢れ出すかのように、情報交換やそれぞれの準備の進捗状況の確認、オープンに向けての話し合いをされていました。
忙しい中でも、立ち上げのための情報をそれぞれが持ち寄り話し合われていました。
「玉ねぎやじゃがいもは大丈夫。〇〇さんからOKもらってる。」
「お肉は〇〇から提供してもらおう。」
「お米はどうする?」
「足りないのはカレールーだね…」
「お皿どうしよう。紙じゃなくてプラスチックにしよう。なるべく経費が掛からないようにね。」
お話を聞いていると、次から次へと確認事項が出てきます。めまいがしそうなほどの準備がありますが、皆さんの目はキラキラとして、会話が途切れることがありませんでした。
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子どもだけじゃなく、大人も「えがお」になれる場所
市内には、すでに子ども食堂を運営している団体がいくつかあります。子ども食堂と一言で言ってもそれぞれに特徴があり、オープンしている日や、食事代は低価格なのか無料なのか、利用は子どもだけなのか…など様々なタイプがあります。
初めての開催を終えた後、改めてみなさんにお話を伺いました。
― えがおさんはどんな子ども食堂ですか?
「子どもが笑顔で遊べる居場所にしたいと思っています。こども園や学校などでは体験できない事を、一緒にできる活動支援を軸にしていきたいですね。他の子ども食堂では “学習支援型” が多いので、ここでは “体験型” の子ども食堂にしました。」
ー 体験型とはどんなものですか?
「生きる力になる事や、子どもの自信につながる事。勉強だけでなく、そういった体験ができる場にしたいと考えています。食べることの楽しさなどを子どもに感じてもらえる “食育” も大切にしたいですね。」
初開催のこの日の体験は、音楽コンサートと楽器体験でした。なんだかワクワクしますね。
― 親子で参加されている方も多かったですね。
「子どもたちだけではなく、親子で参加したいと思える子ども食堂を理想としています。やっぱり子どもは、お父さんお母さんが大好きですよね。だからこそ親子で一緒に楽しめる場所にしたいんです。それは私たちが子ども食堂をやりたいと思った、共通の願いでもあるので。」
― お父さんお母さんと一緒だと、家へ帰ってからの会話も盛り上がりそうです。
「まず大人が楽しんでくれないと、子どもも楽しめないですよね。今回だったら、楽器を弾けるお父さんお母さんってカッコいいじゃないですか(笑)。だから大人の方にも楽器を持ってもらい、体験してもらいました。そうすると子どもも、やってみたいって思うかなって。」
この日の音楽コンサートでは、ウクレレとアンデス民族楽器のケーナなどで、クリスマスソングが演奏されました。
以前取材した「ウクレレマハーロ」さんと、アンデス民族楽器を演奏する「ワイルル」さん。クリスマスの雰囲気が素敵でした。
演奏後には、参加者のみなさんが楽器を手に取って体験していました。ウクレレやケーナなどあまり身近にない楽器を体験できる機会って、なかなかないですよね。様々な事に興味を持ってほしいと、えがおさんは考えたそうです。
そして体験の後は、食事タイムです。
メニューもたくさんあって美味しそうです!
メインのカレーライスの他にも、たくさんのメニューが並びました。ほうれん草炒め、なめこと大根の和え物など、一見子どもには人気がなさそうな野菜の料理ですが…
「好き嫌いをなくしてほしいと思って。最近では学校の給食でも、食べたくなければ残していいと言われますよね。でもこういう場所だったら食べられたり、食べてみたら美味しかったってこともあるのかなって。なのであえて、子どもっぽくないメニューも入れてみました。」
なるほど。皆さんの食に対する思いがよく分かりました。いただいた私も改めて、「なめこって美味しい」と発見できました。(笑)
パクっと大きな口で、美味しそうに食べますね。
食事の後には、クリスマスプレゼントが用意されていました。子どもたちが喜びそうなことを色々と考え、準備が大変だったと思います。また、使い切れず余った野菜もお土産に用意されていました。
「今回、個人や農家の方から野菜などをたくさん提供していただきました。たくさんあるので、もったいないからみんなに持って帰ってもらおうって。いろんな方から協力してもらえて、子ども食堂ができました。」
今後はどんな体験ができるのでしょうか?
「次回は節分豆まきと手回しオルゴール演奏体験です。楽しみにしていてください。2ヵ月に1度のペースで開催し、今後も色んな体験を考えていきます。」
詳しい情報を知りたい方は、こちらへお問い合わせください。
↓ ↓ ↓
● 子ども食堂 えがお kodomo.egao.mmk3@gmail.com
初開催の子ども食堂を終えた後の、茂木さん・松本さん・金久保さん3人の充実した笑顔がとても印象的でした。
とにかく3人のパワーはすごい。そう感じたのは私だけではありません。その思いに共感した方々が、ボランティアでお手伝いをされていました。
一生懸命に野菜を切ったり、子どもたちと一緒に歌を歌ったり。終わった後のボランティアの皆さんも、本当にイイ笑顔でした。
集まったボランティアのみなさん。食材もたくさん提供されたようです。
参加されていた方に、これまでに子ども食堂を利用したことがあるかを聞いてみました。
すると参加者の多くが、今回初めて利用したという方ばかり。市内に子ども食堂があることを知らなかったり、聞いたことはあるがどこでやっているのか知らないなど、情報が行き届いていないと感じました。
えがおさんのように運営している方々は、多くの人に利用して欲しいと、それぞれの思いを持っているのではないでしょうか。なのに情報が行き届かないって、なんだかもどかしいですね。
必要な人に、必要な情報が届いてほしい。だからこそ、まゆといとからみなさんに、たくさんの情報をお届けしたいと改めて思いました。
今年も富岡市の気になる情報をたくさんお届けします。笑顔の素敵な人、笑顔になれる場所など、みなさんからの情報もお待ちしています。
(カネコ)
●子どもの居場所を提供している団体一覧