約5,000株の蓮が咲く、富岡市神成地区の「古代蓮の里」。
新聞やテレビで紹介されるようになり、年々訪れる人が増えている富岡市の新名所です。
今年は6月中旬から開花がはじまり、今もたくさんの蕾が次々と花を咲かせる準備をしています。
見頃は7月中旬頃まで続く
花を咲かせるために努力をしている人の存在やこの地域のことを、もっと知ってもらいたい。
そう思い、取材をさせていただきました。
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神成山麓「石坪の池」に咲く大賀蓮
富岡市の西部に位置する里山、神成山。
その麓に「古代蓮の里」はあります。
神成山のミツバツツジ
神成山は東西2kmに渡り九つの峰が連なる低山で、春はミツバツツジの紫色に彩られ、東端にある宮崎公園のツツジや桜と共に楽しめます。
上信電鉄の南蛇井駅と神農原駅を利用したハイキングも最高です!
宮崎公園についてはこちら
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その神成山の麓には、三つの湧水地があります。
そのうちの一つの「石坪の池」が、現在の「古代蓮の里」の一部となっているのです。
かつてはホタルやトンボが多く見られたそう。
入り口の看板には、この場所に蓮が植えられた経緯が書かれています。
【概要】
・昭和26年に千葉県の地中で、約二千年前のものと見られる蓮の実が発掘される。植物学者の大賀一郎氏が発芽、開花に成功し、のちに「大賀蓮」と命名。世界最古の花と言われている。
・昭和35年、大賀一郎氏本人が新潟県十日町市二ツ屋弁天池に移植。
・平成22年8月、二ツ屋弁天池の蓮を分根し現在地に移植。
・平成26年1月、「吉田地区地域づくり協議会設立総会」が開催され、「東石坪古代蓮保存会」が発足。継続事業となる。
こうして生まれた古代蓮の里。
地域住民の手で大切に管理され、毎年美しい花を咲かせています。
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美しい花の裏にある見えない努力
「たくさんの方に、綺麗に咲いた蓮の花を見に来てほしい。」
そんな想いから日々の管理を欠かさない、勅使河原金寛さんにお話を聞きました。
古代蓮の里の管理をすることになったきっかけを伺うと、
「私が吉田地区の区長を務めていた時に地域づくり協議会が発足し、蓮の保存活動が本格的に始まったのを機に管理するようになりました。」
とのこと。
建築業を営んでいることもあり、看板づくりや木道の設置、補修などもご自身で行っています。
昨年テレビで紹介されてからお客さんが増えたため、トイレの設置、駐車場の看板を立てるなどの受け入れ準備を行ってきた勅使河原さん。
吉田地区地域づくり協議会の方々と共に、道路の案内看板の設置も行いました。
地域の方々との看板設置
そして見学のお客さんが少なくなる夕方には、保存会の方と分担して花が散った後の果托(花のあるうちは花托、花が散ると果托と呼ばれるようです)を切り取る作業や、アブラムシの防除作業を日々行っています。
花の時期が終わり茎も枯れる頃になると、地上部の刈り取りを行い、枯れたカラを片付けて肥料を施すという作業も…
花の咲く時期ばかりが注目されますが、来年の花が咲くまでの施肥や水管理といった地道な作業がとても重要なのだそうです。
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花の命は4日間
地道な作業の結果として綺麗な花を咲かせる古代蓮。
こんなことに注目して鑑賞するとおもしろいですよ。
これは開花前のつぼみ。
(先端がピンク)
開花1日目。
(ピンクが濃く、花の奥に中心部の花托が見える程度に開き、またしっかりと閉じる)
開花2日目。
(ピンクが濃く、花びらの内側は上向き、外側は下向きに咲く。花托が見える。再び閉じるが若干開いた状態のまま)
開花3日目。
(全体が力なく開き、花びらよりも花托が上に見えるようになる。閉じることはなく開いたまま)
そして開花4日目。
(白っぽく色あせる。外側の花びらが下を向き散り始める)
午後は花が閉じてしまうため、鑑賞は午前中がおすすめです。
地域の方々の想いを感じ取りながら、ぜひ神成散歩を楽しんでみてください。
(マツモト)
「神成 古代蓮の里」の詳細