富岡市の暮らしと移住のWEBマガジン
まゆといと

2020.10.26ピックアップ

国際交流員 ヴェロニック・ムーランさん

いきなりですがクイズです。

世界遺産登録され国宝にも指定されている、日本の近代化を支えた富岡市の史跡といえば

「富岡製糸場」ですが、

その設立にあたり計画から操業までの全てを指導したポール・ブリュナ、

建造物の図面を引いたオーギュスト・バスティアン、

創業初期に働いていた検査人、女性教師、医師らの出身国といえば??

 

 

そう、「フランス」です。簡単でしたか?

富岡製糸場ホームページ

 

 

フランスと深い関わりを持つ富岡製糸場では、現在も一人のフランス人女性が働いています。

彼女の名は、ヴェロニック・ムーランさん。

 

前任のダミアン・ロブションさんの後を継ぎ、昨年から富岡製糸場で国際交流員として勤務するヴェロニックさんに、現在のお仕事や富岡での暮らしについて聞いてみました。

 

 


 

【ヴェロニック・ムーラン(Véronique MOULIN)さん】

フランス北東部ロレーヌ地方メッス出身。パリ郊外の大学で日本語を学び、2017年に日本への留学を経験。2019年6月に大学を卒業し、JETプログラム※で来日。2019年8月より富岡市国際交流員として富岡製糸場勤務。

 


 

 

※JETプログラムとは

海外の青年を招致して地方自治体等で任用し、国際交流の推進と外国語教育の充実を図る事業。職種は、外国語指導助手(ALT)・国際交流員(CIR)・スポーツ国際交流員(SEA)の3つ。

 

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「J-POPしか聴かないです」

 

富岡製糸場 女工館2階ベランダにて。建物と山が見渡せるお気に入りスポット。

 

 

―― ヴェロニックさんは大学で日本語を学んだそうですが、日本に興味を持ったきっかけを教えてください。

 

13歳の頃に日本のアニメを見始めて、オープニングやエンディングで流れる曲を聴いたら、アニメよりも音楽が好きになってしまったんです。その時からずっとJ-POPしか聴かないですね。

 

―― ちなみに好きな歌手は誰ですか?

 

様々なグループやアーティストを聴くんですけど、例えばEXILEのATSUSHIさんとか、ハロプロの全グループが大好きです。あとは、いきものがかりとか、西野カナさんとか、本当に幅広い音楽を聞いています。

 

―― 日本に初めて来たのはいつですか?

 

3年前、大学生の時に長崎に留学した時が初めてです。留学は4ヶ月間だけでしたけど、ホームステイをしていたのでとてもいい勉強になりました。

その留学が終わった後に、日本の職場も体験してみたいと思いJETプログラムに応募しました。

 

―― 国際交流員はとても競争率が高いと聞きました。見事難関を突破したんですね。

 

私が受けた2019年は、フランスでは4名の国際交流員の募集がありました。ちなみに私の双子の姉は今、島根県松江市で国際交流員として働いています。

 

―― えーっ!双子で一緒に応募して、二人とも合格したんですか!すごい…!

 

 

 


 

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「もっと皆さんと交流したい」

 

検査人館2階の貴賓室(一般非公開)。暖炉には大理石が使用されている

 

 

―― ヴェロニックさんが富岡のことや製糸場のことを知ったのは、JETプログラムへの応募がきっかけですか?

 

そうです。応募する時にインターネットで調べて、富岡はフランスとの歴史的な関係があって魅力的だなと思いましたし、東京から近いのも丁度いいな、という感じで、勤務地の第一希望を富岡にしました。

 

―― そうなんですね。フランスの人たちは、富岡製糸場のことをどのくらい知っているんでしょうか。

 

フランス人は富岡製糸場のことを全然知らないですね。日本に興味がある人たちでもあまり知らないです。こんなに歴史があるのに、残念だなと思います。

 

―― 富岡製糸場の公式Youtubeチャンネルではヴェロニックさんがフランス語で製糸場や街の紹介をしていますが、それはヴェロニックさんの発案ですか?

 

そうです。私が富岡に来る前に情報を探していた時、フランス語での情報があまり出てこなかったんです。これでは観光客もあまり来ないなと思って、「私が発信します」と係長に提案しました。

 

 

Youtubeチャンネル『Tomioka Silk Mill』の動画は、ナレーションはフランス語ですが、英語と日本語の字幕を付けているので、英語が分かる人にも見てもらえたらいいなと思っています。

 

インスタグラム @my.tomioka は、フランス語、日本語、英語で書いています。

 

フェイスブックページ『Filature de soie de Tomioka』は、前任のダミアンがやっていたものを引き継いで、フランス人向けに書いています。

 

 

―― もしかして、動画の撮影や編集もヴェロニックさんがご自分でされているんですか?

 

シナリオ作成、撮影、編集を自分でやっています。実はフランスにいた時に日本のアイドルをコピーするアマチュアグループに参加していて、ダンス動画の編集などを自分たちでやっていたんですね。その経験がなければできなかったです。

 

―― 趣味でやっていたことが、今のお仕事につながっているんですね。これからはどんなことをしてみたいですか?

 

コロナの影響で、これまでの活動は情報発信がメインとなってしまったんですけど、もっと市民のみなさんと交流できればいいなと思っています。

11月からは国際交流協会と一緒に、生涯学習センターでフランス語講座を始める予定です。

 

―― Youtubeの方でもフランス語講座の動画があったので見ましたが、とても易しくて、初心者でもすんなり入っていけました。

 

ありがとうございます。生涯学習センターでの講座は動画とは違い、会話を中心にしたいと思っています。

また8月から、みんなのおうえん団が開催している無料学習会で、小・中学生向けの英語教室をやらせてもらっています。難しいですけどすごく楽しくて、これからずっと続けていければと思っています。

 

富岡公民館で開催された無料学習会での英語教室の様子。

 

 

―― 英語教室は私も見学させてもらいましたが、「カイコの目は何個ある?」「繭一粒から取れる糸は何m?」といった、富岡製糸場に勤務しているヴェロニックさんならではのお話もあってよかったです。ゲームを使った授業で、大人でも楽しみながら頭を使うことができました。

 

外国語は気軽に遊びながら学ぶことがとても大事だと思っています。子どもたちとはもっと交流したいので、できれば学校でフランスの紹介をするといった仕事もやってみたいですね。

 

 


 

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「富岡でよかった」

 

女工館1階の食堂(一般非公開)は、動画の撮影に使用しているという。

 

 

―― 『広報とみおか』で連載している国際交流員コラムで、「日本のスーパーマーケットに驚いた」とありましたが、他にもびっくりした日本の文化はありますか?

 

今は変わってきているとは思いますけど、日本人は現金で支払うことが多いですよね。フランスにいた時は全部クレジットカードで現金は使わなかったので、大変だなと思うことはあります。

 

それから、丁寧さ。「お願いします」とか「すみません」をよく言いますよね。何で謝るんだろうと思っていたら、「”すみません”には”ありがとう”という意味もある」と教えてもらって、そうなんだ!と驚きました。

 

あとは、街の人たちが話しかけてくれることにもびっくりしました。知らない人から「おはようございます」と挨拶されるのは私の地元では珍しくて。それはすごくいいなと思いました。

 

―― 確かに子どもたちも挨拶してくれますよね。何か困ったことがあった時に、助けてくれる人はいますか?

 

住んでいる家の近所に、すごく仲良くしている50代の女性がいます。毎週会って晩御飯を一緒に食べたり、犬の散歩に行ったり、母親と友達の間みたいな人ですね。

 

―― それはよかったです。お休みの日には、どんなことをしていますか?

 

山登りが大好きで、この前は長野県の車山に行きました。雲海が見られてとてもよかったです。妙義山や榛名山も行きましたし…それに沼田の戸神山!あそこはいろんな木彫りの動物があって、とってもカワイイんですよ。それを見つけるのが楽しくて。

 

―― 戸神山、初めて聞きました。行ってみたい…。

 

いろんな山に、いろんな人に連れて行ってもらえてラッキーだなと思います。

あとは一人で何かをするのも好きなので、こちらに来てからフルートを習い始めました。先生のおかげで音楽が好きな人たちに出会うこともできたのでよかったです。

 

 

 

―― 外国の人に伝えたい、日本のいいところ、富岡のいいところを教えてください。

 

すごくいい山があることをみんなに伝えたいです。妙義山もいい山ですよね。ギザギザした形が面白いですし、鎖を使って登るのはフランスでは見たことがないので、登るのがすごく楽しいです。

 

それから東京や大阪だけでなく、日本の田舎を訪れてもらいたいですね。都会と田舎では、景色はもちろん違いますけど、生き方も違うと思います。

時々「富岡でいいんですか、東京の方がよくないですか?」と聞かれるんですけど、こちらは自然が多くて山に囲まれているので、私にとっては本当に住みやすいです。

 

―― 私もそう思います!まだこちらに来て2年目ですが、この先のことも考えたりしますか?

 

JETプログラムは5年間契約できるので、それまではこのまま富岡にいると思います。今の国際交流の仕事がとても好きで、やりたかった理想的な仕事なので、その後のことはまだわかりません。周りの人たちも優しくて働きやすい環境なので、富岡でよかったなとよく思います。

 

―― そう感じてくれていることが嬉しいです。いろんな場面でお会いできるのを楽しみにしています!

 

 

 


 

 

 

インタビューの前に、ヴェロニックさんの出身地であるフランスの地方都市メッス(Metz)をインターネットで検索。画面に並んだ風景写真に心奪われ、居ても立ってもいられず空想の旅へと出発しました。

 

ヴェロニックさんが富岡にいなければ、私がメッスのことを調べることはなかったかもしれない。

ヴェロニックさんの活動によって初めて富岡のことを知る人が、世界のあちこちにいるかもしれない。

 

そう考えると、国際交流員のお仕事ってとっても魅力的ですよね。

 

でも本当に魅力的なのは、ヴェロニックさんのその人柄。

すでに彼女の大ファンになっている富岡人を、私はたくさん知っています。

 

もちろん私もその一人。

富岡で「推し」ができました。

 

(ナカヤマ)

 

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☆富岡製糸場 西置繭所グランドオープンイベントのお知らせ☆

 

国宝「西置繭所」が令和2年10月3日(土)にグランドオープンしたことを記念し、西置繭所内のガラスホールを会場にしたイベントが開催されます。

世界遺産チャリティーアートエキジビション PIECE OF PEACE『レゴ®ブロック』で作った世界遺産展PART-4

 

 

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ALT リアム・キャンベル(Liam Campbell)さん

【みんなのおうえん団】靏田あずさ さん、高橋啓子さん