ある日、まゆといと編集部にこんな依頼がありました。
それは、
「妙義の行沢(なめざわ)地区のオッチャンたちがやっている里山保全活動を取材してほしい!」
というもの。
オッチャン… なんだか陽気な雰囲気とやる気が伝わってくる依頼に、興味が湧いてきます。
いったいどんな活動をしているのかな??
\その前に、妙義についてちょっとおさらい/
🌸妙義地区ってどんなところ?
富岡市北西部に位置し、標高1,000メートル超えの峰が連なる「妙義山」がそびえ、山の麓には高田川が流れています。高田川周辺には水田や畑が多く、農業が盛んな地域でもあります。
🌸里山保全ってなんだろう?
富岡市周辺には緑ゆたかな山々が広がっています。山間部にはイノシシやシカ、クマなど多くの野生動物が生息していて、それら野生動物に対する防波堤となっているのが「里山」です。里山には古くから人が立ち入り、植林や伐採などを行ってきました。このような人間の活動があるおかげで野生動物は里山から人里には入ってこなかったのです。
しかし、里山が放置されると草木が生い茂り、地面に日光が届かず、新しい草木が生えにくくなります。そのような里山では野生動物が必要な食料を得られず、食料を求めて人里に下りてくるという悪循環が生まれます。畑を荒らす有害鳥獣を防ぐためにも、里山を整備することはとても重要なことなのです。
🌸ココに注目!
妙義の行沢地区では高齢化が進むなかで、元気なオッチャンたちが積極的に里山保全活動を行っています。
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これは詳しいお話を聞きたい!ということで『妙義里山愛好会代表』の丸山 勝彦さんにお会いしてきました。
【丸山 勝彦さん】
妙義生まれ、妙義育ち。父親の代から受け継いだ鍵谷商店木工部の社長を務め、現在は妙義商工会会長と妙義里山愛好会代表の肩書を持つ。趣味はゴルフで、50代の頃はパラグライダーにもハマっていた。
ー 『妙義里山愛好会』はどのような活動を行っているのですか?
丸山さん:年に3回くらい、行沢地区の里山や高田川周辺の草刈りをやっています。あとは、近くの里山に桜の植樹もしました。まだ若い木なので、シカに食べられないように防御ネットを巻くなどの手入れもしています。この辺りでは里山の所有者が高齢になり、山の手入れが難しくなってきたんです。なので、私たちが代わりに山へ入り、草刈りなどを行っています。
ー 山の中に入っての作業は体力的にキツそうですが、メンバーにはどのような方がいらっしゃいますか?
丸山さん:妙義小のお父さんたちやこの辺の飲み仲間がメインで、30代〜50代の方が頑張っています。 重機を扱ったり、ぬかるんだ山の急斜面を上ったり、体力勝負な部分があるので、若い方が参加してくれるのはありがたいですね。
ー 里山保全の活動で大変なことはありますか?
丸山さん:妙義はヒルが多いので、そこがやっかいなんですよね。作業の時は肌を出さないようにして、袖口をガムテープで覆ったり、ヒル除けスプレーをして対策もしています。でも、作業が終わって長靴をぬぐとヒルにやられて血だらけ、、なんてこともあります。
ー ヒルの被害は深刻なんですね、血まみれとは恐ろしいです。なぜ妙義にヒルが多いんでしょうか?
丸山さん:野生動物にくっついているから、動物の通ったあとにばらまかれているような感じです。
ー 活動内容はとても大変そうですが、若い方が積極的に参加しているのはなぜだと思いますか?
丸山さん:やっぱり、作業が終わったあとの「おつかれ会」があるからでしょうね。若い人たちと集まって、飲んで・喋ってがとっても楽しいんですよ。これがあるおかげで私も里山保全活動を続けられているんです(笑)。
ー 世代を超えて楽しんでいるんですね!
里山保全活動を見てみよう
夏休みに入ったある日、愛好会のみなさんが草刈り作業を行うということで、その様子を見に行きました。
本日集まった元気なオッチャンたち。
朝から気温はぐんぐん上がり、日差しも強くなってきました。
「スプレーかけたかい?」と メンバー同士でヒル除けスプレーを吹きかけます。
撮影に伺った私もたくさんスプレーをかけてもらい準備万全!
山の必需品、ヒル除けスプレー
メンバー全員がビーバー(刈払機)を持って山へと進みます。
今日の山は急斜面なので、草刈り作業は体力勝負です。
(とてもご年配の方が入るような場所ではない、と感じました。)
「桜の木は切らないように気をつけてください!」と注意事項が伝えられ、すぐに作業開始です。
この辺りには4年前に地域住民が植樹したたくさんの桜が大切に育てられていて、野生動物に食べられないように防護カバーで覆われています。
およそ1時間、黙々と草刈り作業が続き…
山の斜面はサッパリしました!
作業を終えて山を下りると、
「今日の飲み会に来る人、手上げてー!」
これがメインみたいなもんだから、と笑う丸山さん。
午前中の作業を終えて、みなさんはいったん帰宅します。大変おつかれさまでした!!
「じゃあ、夕方5時に喜多山食堂集合ね〜。」
ということで、
妙義里山愛好会のメイン活動「おつかれ会」のはじまり〜
喜多山食堂に入ると、何度も「乾杯!」のかけ声があがっています。
みなさんの表情を見ていると、心の底から楽しんでいる様子が伝わってきませんか?
「汗かいた後の一杯は最高だいね~♪」
はじける笑顔で、豪快に飲んで食べる愉快なオッチャンたち。
どんな話で盛り上がっているのかな?と耳を傾けると…
ヒルにやられた武勇伝の数々を自慢しているようです(笑)。
痛々しい話を笑いに昇華させちゃうなんて、みなさんホントにたくましい!!
メンバーの方にお話を聞いてみると、
「こんな感じでわいわい集まれる仲間がいることが、この地域の自慢です。この土地で一緒に暮らしているんだから、助け合いは大事。それ以上に、“みんなが繋がっている”というこのあたたかい雰囲気が、とっても心地いいんです。
こんな風に世代を超えてみんなが集まるって、他の地域にもあるのかな?? この妙義のノリの良い感じが、どんどん周りにも広がればいいなって思います。」
本当にその通りですね。
妙義で感じるラテン系のノリ、、最高です。
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〈おまけ〉妙義のグルメスポットのご紹介♪
この日みなさんが集まっていた喜多山食堂は、タンメンやホルモンが美味しいと地元で人気の食堂です。
この日もお店には、食べ盛りの高校生たちが自転車でやってきていました。
すると、ゆかいなオッチャンたちから「高校生よお、ホルモン食っていきな!」と、大皿のホルモンのおすそ分けが。。
妙義のあったかさを感じたひとときでした。
人情味にあふれる地元のお店、ぜひみなさんも行ってみてくださいね!
いかがでしたか?
妙義の里山での取材ということで、ヒルの餌食になるんじゃないか…と弱気で向かった私は、ゆかいなオッチャンたちのパワーに圧倒され、たくさんの元気をもらうことができました。
そして、「自然とともに暮らす」ということの側面や、「地域と関わりを持ちながら暮らす」という姿勢を間近で見せてもらい、妙義をますます好きになりました。
妙義山はかっこいい。
そこに暮らすオッチャンたちは、もっとかっこいい!!
みなさんの地域ではどんな活動が行われていますか?
ぜひ「まゆといと」にお知らせください。
(マツオ)