〈2023年11月1日追記〉
〜禅文化✖ウクライナ難民支援『平和への祈りと禅語に親しむ巡礼』のお知らせ〜
2023年11月1日〜2024年5月31日の期間、チャリティ御朱印企画第2弾「ウクライナ難民支援御朱印」が行われています。詳しくはチラシをご覧ください。
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(これより2022年5月6日に公開された記事内容となります)
そろそろ崇台山の桜を見に行きたいな――
そんなことを考えていた4月初旬、崇台山の麓にある『長学寺』を含む複数の寺院で、「ウクライナ難民支援御朱印」という企画が行われると知りました。
その情報を教えてくださったのは、長学寺から車で5分の場所にある衣装店『凜』を営む髙野陽子さん。ポーランド出身の夫、アンドリューさんと共に、衣装レンタル・撮影・婚礼プロデュースなどを行っています。
ウクライナ難民支援御朱印では、アンドリューさんが支援の窓口として活動されていると聞き、詳しいお話を伺うために長学寺へと向かいました。
ハイキングがてら訪れる人も多い、富岡市上高尾の長学寺。群馬県指定重要文化財「梵鐘」、富岡市指定天然記念木 「虎銀杏」、富岡市指定史跡 「前田家墓所 五輪塔」がある。
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群馬とポーランドをつなぐ架け橋
ウクライナ難民支援御朱印については、先にまゆといとのインスタグラムでご紹介しました。まずはその投稿をご覧ください ↓ ↓
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多くのお寺と陽子さん・アンドリューさん夫妻が協力してこのプロジェクトを行うことになった経緯について、さらに詳しく伺いました。
長学寺 生沼善裕住職:戦争のニュースを見て何かできることはないかと考え、「ウクライナ難民支援御朱印を行ってはどうか」と、同じ教区のお寺さんに呼びかけたのが始まりです。教区長である永隣寺(富岡市下丹生)の住職に話を広げてもらい、2つの教区が合同で支援を行うことが実現しました。
では集まった支援金をどこに送ろう…と考えた時に、アンドリューのことが頭に浮かびました。多くの避難民がいるポーランド国内の様子を聞こうと思い連絡をすると、ちょうどアンドリュー夫妻も支援に動き出そうとしていた時だったので、「寄付の窓口になってほしい」とお願いしました。
陽子さん:支援先についてポーランドの家族や友人に聞くと、「大きくやっているところは支援金の使い道が明確にできない」と言われました。たまたまアンドリューの親戚が役所でウクライナ支援の担当者として働いているので、必要な物資を直接聞いて、それを購入しようということになったんです。
アンドリューさんのご家族が住んでいるのは、ポーランドのシェラツ郡。市民が協力してウクライナ避難民に衣服や食事を提供しており、インフレの影響もあって経済的に厳しい状況にあるそうです。
ポーランドの首都ワルシャワから西へ200kmほどの場所にあるシェラツ郡。
アンドリューさん:ウクライナとポーランドは同じ民族で、昔はひとつの国でした。何かあったら助け合う関係で、難民の受け入れも自然なことです。皆さんが協力をしてくれてこのような支援ができることに、本当に感謝しています。
陽子さん:お金も大切なんですけど、どんな人がどんな気持ちでやっているのかを向こうの人に伝えたら、すごく嬉しいと思うんです。なので、各寺院のご住職のお顔と、お寺と御朱印を撮影して、何らかの方法でウクライナとポーランドの人たちに見てもらいたいと考えています。
アンドリューさんの職業はフォトグラファー。
18ヵ寺の御朱印を順番に並べると、災難を除き皆の幸せを願うお経「消災妙吉祥陀羅尼」が完成。御朱印は善裕住職の同級生のニコデザインワークスがデザイン。
永隣寺 堀口元澄住職:行くお寺お寺で手を合わせてウクライナの人たちの無事や平和を拝む。これは、御朱印集めをする人にとっても“修行”になり有り難いこと。向こうの人たちのためにもなるし、自分のためにもなるんです。
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戦争に関しては様々な意見があります。ですが住む場所が危険に晒され、家族と離れ離れになっている人たちには何の罪もありません。
確実に困っている人たちに届くのならば、私も微力ながら協力をしたいと思います!
今回の難民支援御朱印は後で御朱印帳に貼り付けるタイプなので、手元に御朱印帳がなくても大丈夫。スタンプラリーのようで楽しいですし、いろんなお寺を訪ねることで新しい発見もたくさんありそうですよね。
※お寺の御朱印の授与も合わせてご希望の方は、連絡の上参拝することをおすすめします。
■ウクライナ難民支援御朱印の詳細については、下記のページをご確認ください。(マップあり)
⇒『曹洞宗群馬県宗務所第12教区・13教区合同 ウクライナ難民支援活動』
■ウクライナ難民支援御朱印を扱っているお寺以外にも、募金箱設置で支援に協力しているお寺が11ヵ寺あります。一覧は下記のページをご確認ください。
⇒ 寺院一覧
■ウクライナ難民支援に関するお問い合わせ
永隣寺 Tel. 0274-67-4329
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地域と移住者をつなぐ架け橋
ところで、長学寺のご住職と陽子さん・アンドリューさん夫妻は、元々どのようなお付き合いがあったのでしょうか。また、陽子さんは高崎市出身で、こちらに来た当初は地域の人と関わるきっかけがなかったと以前伺いましたが、善裕住職と知り合ったことで変化があったのでしょうか?
善裕住職:お寺の行事の撮影をお願いしたり、子どもに英語を教えてもらったりしていました。
陽子さん:善裕さんに紹介していただいて、いろんな方とお話をするようになりました。みなさん良い方ばかりです!
それは良かったです!
アンドリューさんが撮影した写真を見ながら楽しそうに振り返る、(左から)堀口元澄住職、陽子さん、アンドリューさん、生沼善裕住職。
私の中では、小野地区のみなさんは “結束が強い” というイメージがあるのですが、こちらで生まれ育った善裕住職はどのように感じますか。
善裕住職:確かに結束が強いです。みんながお互いのことを知っているから、住んでいる人間には安心感がありますね。これまで新しい人が入ってくることが少なかった地域なので、接し方がわからないのか、越してきた人には入りづらいというのはあるかもしれません。ですが中に入ってしまえば居心地のいい場所だと思います。
中に入るきっかけとして、善裕住職のような方がいてくれるとありがたいですね。
今日はお寺の本堂という慣れない場所で二人のご住職を目の前にして、正直なところ緊張していました。ですがとても気さくにお話ししてくださったので、お寺に対するイメージがガラッと変わりました!
善裕住職:いやいやそんな…悪い方に変わってませんか?(笑)
真面目なお話の後はたくさん笑って、和やかな取材となりました。
アンドリューさんは、富岡に来て8年目。その前は大阪で3年間暮らしていたそうですが、富岡の暮らしはいかがですか?また、語学はお願いすれば教えてもらえるのでしょうか?
アンドリューさん:群馬は東京から近くて外国人も多いからか、まわりの人が受け入れてくれるので暮らしやすさを感じます。英語でもポーランド語でも、子どもでも大人でも、要望があれば教えることができます。
富岡で、いや、群馬でポーランド語に触れる機会はかなり貴重ですよね。学びたい方はぜひ…!
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つながり、広がる。
たくさんの紫陽花が咲く長学寺では、ウクライナ難民支援御朱印と同時に、紫陽花の切り絵御朱印(限定50枚)の頒布も始まっているそうです。
切り絵の作者は埼玉県から同地区に移住された方で、志納金はその方のご厚意により、ウクライナ難民支援に充てられることになっています。
紫陽花の切り絵御朱印(限定50枚)。
長学寺では、通常の御朱印や、誕生日御朱印、季節限定の御朱印も取り扱っています。境内は紫陽花だけでなく季節ごとに様々な花が咲きますので、ぜひ何度も訪れてみてください。
■長学寺
群馬県富岡市上高尾700
Tel. 0274-62-1600
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また、長学寺および第13教区のお寺では、国境をまたぐ大きなプロジェクトがもうひとつ進められています。
始まりは令和2年。長学寺が所蔵する二組の「大般若経」のうち、一組をイタリアの『普伝寺』に寄贈することになり、約1年かけて大修復作業が行われました。
大般若経は600巻で1セット。桐箱12箱分にもなる。
寄贈した大般若経で現地の僧侶と一緒に大法要を行うことが、このプロジェクトのゴール。新型コロナウイルスの影響でイタリアに行く計画は延期になっていますが、実現することを夢見て準備を進めているそうです。
今月開催される『一期一会仏画展』では、この大般若経とともにイタリアへ渡る「釈迦十六善神図」も展示される予定です。
■『一期一会仏画展』
令和4年5月17日(火)〜5月22日(日)
富岡市立美術博物館 1F市民ギャラリー
このところ、暗いニュースの数々に心がどんよりしている人も多いと思います。私もそうでした。ですが今回、しっかりと前を向き、周囲に感謝しながら行動をしているみなさんを見て、不思議と私自身にも前向きな気持ちが湧いてきました。
さあ、300円を握りしめて、次はどこのお寺に行こうかな?
(ナカヤマ)
【追記】その後についてご報告をいただきました!
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