まゆといと読者のみなさんの中には、4月からお子さんが小学校へ入学するというご家庭も多いのではないでしょうか。これからの学校生活の中で欠かせないものの一つに、『給食』がありますね。
我が家では、学校から配られる毎月の献立表をキッチンスペースに貼っています。
明日の給食は何かな?とチェックしたり、給食のカレーと夕食のカレーが同じ日にならないように確認したり。娘たちと「今日の給食は美味しかったよ」とか、「明日は春巻きだ〜」とか、献立表を見ながら話すこともよくあります。またそこには、「図書コラボ」献立や「社会科コラボ」献立といった工夫を凝らしたメニューもあり、「どんな料理なんだろう?」といつも気になっていました。
そこで今回は「富岡市学校給食センター」へ行き、給食について取材をしてきました。
『美味しいだけじゃない富岡市の学校給食』についてお伝えしていきます。
富岡市学校給食センター
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美味しくて安全な給食を届けます
給食についてお話ししてくれたのは、給食センターで働く栄養教諭の福永桂子さんと宮崎多恵さんです。
給食センターではお二人の他に、学校栄養職員の黛久乃さんが献立を作成し、栄養士の佐藤智恵子さんがアレルギー献立を担当しています。
宮崎さん(左)と福永さん(右)。持っているのは実際に調理をする時に使う道具です。
黛さん(左)と佐藤さん(右)
お話を伺う前に、まずは見学から。建物に入ってすぐに2階へ上がると、下のフロアで調理をしているところを通路から見学できます。
毎日3,800食がここで作られています。
大きな鍋を使って、この日のメニュー「こしね汁」を作っていました。鍋からは湯気が立ち、調理員さんが大きなへらでかき混ぜています。
次々と材料を入れていくと、だんだんといい匂いがしてきました。まずは小学校の分を作り、続いて別の鍋で中学校の分を作り始めるようです。
出来上がったこしね汁が食缶へ分けられていきます。
富岡市の給食センターでは、市内の小中学校と県立特別支援学校合わせて19校、約3,800食分が調理され、各学校へ運ばれていきます。
衛生管理はもちろんのこと、できるだけ温かいものは温かく、冷たいものは冷たい状態で届けられるように心がけているそうです。
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地元の食材を使った献立づくり
献立はどのように立てているのでしょうか?
「なるべく富岡市内で生産された野菜を使うことや、旬の食材を使うこと、学校行事に合わせることなどを意識しながら、子供たちの成長を考えて献立を立てます。それから食材費が予算内になるよう調整したり、調理の時間配分などを考えます。」
時間配分も…確かにこれだけの量をお昼の時間に間に合わせるのは、大変な作業ですよね。
中学校のこしね汁を作り始めるところ。食中毒などを防ぐため、お肉を扱うのは青い手袋の人のみ。衛生管理が徹底されています。
富岡市の給食では、安心できる地場産の食材をたくさん使った献立を出す日があります。「お富ちゃんの日」です。『お・と・み』ということで、毎月13日前後に登場します。
そう、取材した日はまさに「お富ちゃんの日」で、こしね汁を作っていたのです。市民のみなさんはご存知かとは思いますが、「こしね汁」って何?という方にお伝えすると…
富岡市の名産品である「こんにゃく」「しいたけ」「ねぎ」が使われていることから、その頭文字を取って名付けられた「こしね汁」。その他にも地場産の野菜がたくさん入っています。平成13年から給食に登場し、今では富岡市の郷土料理的存在です。
「きゅうり・にら・玉ねぎ・にんじん・しいたけ・なす・ほうれん草など、市内ではたくさんの野菜が作られています。学校から配られる献立表には、地場産の野菜に★マークをつけているんですよ。子供たちに身近に感じてもらえるよう、生産者さんの紹介動画なども作成して、給食の時間に観てもらえるように学校へお願いしています。」
献立表は、富岡市のホームページから見ることができます。
⇒ 献立|富岡市
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コラボ献立とは!?
献立表を見てみると、たくさんの「コラボ献立」が登場します。ALTの先生へ向けたメニューや、保健委員・給食委員が考えたメニュー、社会科コラボや、国際交流員のヴェロニックさんと考えたフランスの料理など様々です。
令和5年度に登場したコラボ献立の一部。来年度も楽しみですね。
コラボ献立はどのように考えているのでしょうか?
「『図書コラボ』は、図書委員おすすめの本や、栄養士が図書室で見つけた本の中に登場する料理を取り入れています。また『SDGs献立』は、西小学校の6年生が “未来を考える” という学習で食品ロスについて学び、家庭や給食での解決策を考えてできたものです。実際に給食センターの残菜処理の様子を見学して、食材を無駄にしない献立を考えてくれました。」
コラボ献立のおかげで、いつもとは違った角度から給食センターを知ることができますね。
給食センターと学校とが連携することで、給食が単なる食事ではなく、食育や地域との関わりを学ぶ機会にもなっています。
「栄養職員が学校へ訪問して、給食の時間に食に関する指導を行っています。食事のマナーや栄養バランスについてお話をしながら、給食を食べる様子を見ることもできるので、食べる量や食べやすさなどを確認できますし、子供たちと交流できるのが楽しいです。」
「給食センターの紹介動画を作って、中の様子や給食を調理しているところを見てもらうと、より身近に感じてもらえるのかなと思っています。でも本当は、給食センターへ来て見学してもらえるのが一番いいですね。」
2階通路の壁は、見学に来た小学校の児童からのメッセージが。メッセージは給食センターで働くみなさんの励みになっているそうです。
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気になるメニューは家庭でも
今回の取材は私だけでなく、まゆといとのメンバーも参加しました。(なかなか行く機会のない給食センターの見学と試食に誘われて…)
興味津々のメンバーたち。大人になっても給食センターの見学ってワクワクしますね。
メンバーから、ずっと気になっていたというメニューについて質問がありました。「スラッピージョーと言うメニューが気になっていて…」
「“sloppy(スロッピー)” という言葉から来ていて、日本語にすると “だらしない” といった意味になります。ミートソースのような料理で、パンに挟んで食べる時に具がこぼれ落ちる様子から、そんな名前がついているそうです。人気のあるメニューですね。」
こちらのメニューは、市のホームページでレシピが公開されています。他にも人気メニューのレシピがたくさん公開されているので、気になる方はチェックしてみてください。毎日の給食の写真もアップされていますよ。
⇒ 学校給食|富岡市
ここで「福永さんの好きなメニューは何ですか?」と聞いてみると、
「うん…どれかな…どれも好きだけど…にらのごま和えです!」
すぐに答えられなかったのは、きっとどのメニューも美味しいってことですね。
私もにらのごま和え、作ってみます!
給食が学校生活の楽しみになってほしい
たくさんお話をしてくれた福永さんと宮崎さん。
「子供たちに給食にもっと興味を持ってほしい」
「地場産の野菜を取り入れた美味しい給食を作りたい」
「給食が学校生活の中の楽しみになってほしい」
と、楽しそうに話していたのが印象的でした。こんな風に思って作ってくれる給食は、美味しいはずです!
試食。こしね汁は具だくさんで、とても美味しかったです。
献立を考える時には、美味しさや栄養面だけでなく、コストの面だったり、お昼までに間に合うよう調理時間を考えたりと、たくさんの苦労があることがわかりました。
また、アレルギー対応給食についてもしっかりと管理されていて、アレルギー食は通常の調理室とは別の部屋で作られていることもわかりました。(富岡市ホームページでは「アレルギー詳細献立表」も掲載しています。⇒ アレルギー詳細献立|富岡市 )
そして日本の給食は海外と比べると、栄養面やコストの面から見ても、とても質の高い食事になっているそうです。給食のおかげで、子供たちは勉強したり運動したりと、元気に学校生活が送れているのですね。
給食センターで働いているみなさん
最後に、給食センターで働くみなさんから、新1年生へメッセージです。
「みんなで食べる給食はとてもおいしいですよ。みなさんの入学をたのしみにまっています。」
そして我が家から給食センターの皆さんへ。
「いつも美味しい給食をありがとうございました。9年間ごちそうさまでした。」
美味しい富岡市の給食は、作っている人の思いがたくさん詰まっています!
残念ながら我が家は、長くお世話になった給食とも今年の3月でお別れでした。
我が家の娘たちは給食が大好き。好きなメニューは何?と聞くと、「揚げパン!」と娘。私も揚げパンは大好きなメニューでした。私が食べていた頃は揚げパンと言えばきなこ味でしたが、今ではココア味や黒ごま味もあるんですね。
冷凍ミカンや瓶の牛乳など、懐かしいあの頃を思い出した方も多いのではないでしょうか。みなさんの好きな給食は何ですか?
(カネコ)