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まゆといと

2024.02.16 イベント

50年の歴史と使命を胸に【富岡市消防団音楽隊】

団員それぞれが本職を持ちながら、火災現場に駆けつけたり、災害から地域を守る活動をしている消防団。約300名の団員で構成されている富岡市消防団の組織の中には、本部・分団の他に「音楽隊」も存在しています。

 

富岡市民のみなさん、消防団員が音楽隊として活動しているのは、群馬県内では富岡市だけって知っていますか?全国的に見ても、音楽隊を持つ消防団はあまりないそうです。これって、ちょっと自慢できますよね。

 

 

 

 

富岡市消防団音楽隊の活動は、昭和47年に消防団ラッパ隊として始まりました。その後平成6年に現在の名称に変更され、活動を続けて今年で52年。防災イベントなどで演奏を聴いたことがある人もいるのではないでしょうか?

 

富岡市民に長く親しまれているその音楽隊が、今年2月に『創立50周年記念演奏会』を開催すると聞きました。

そこで、音楽隊のみなさんが練習をされている詰所へ伺い、隊長の小澤さん、副隊長の小島さん、楽長の坂本さんにお話を伺ってきました。

 

 

 


 

 

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ラッパ隊から音楽隊へ 50年の歩み

 

 

― 音楽隊の歴史を辿ると “ラッパ隊” から始まっているそうですが、ラッパ隊は元々どんな活動をしていたのでしょうか?

 

小島副隊長:現在では消防活動をする際に、遠く離れた隊員へは無線などですぐに状況を伝えることができます。ですが今のような通信手段がない時代は、「集合の合図」や「放水の合図」などをメロディや音で伝えていたんです。それがラッパ隊の役割です。

 

― 今でもラッパを使う場面があるのですか?

 

小島副隊長:今では通常はラッパを使いませんが、もしかすると通信手段が使えないような場所で必要になるかもしれないので、非常手段として使えるように残しておかなければいけないんです。なので今でも、ラッパ吹奏は点検科目になっています。点検は昔のラッパではなく、今はトランペットで行っています。

 

 

昔使用していたラッパはピストンがなく、空気の入れ方で音を出します。

 

 

― なるほど、災害はどこで起こるか分かりませんよね。ラッパ隊から音楽隊へと変わっていったのはどうしてですか?

 

小島副隊長:火災現場へ向かう時に今ではサイレンを鳴らしますが、昔は鐘を鳴らしながら消防車を走らせていました。その鐘を鳴らす警鐘員とラッパを吹くラッパ手が、昔はどこの分団にもいたんです。ただ時代が進むにつれ、それぞれの分団にいたラッパ隊の役割が徐々に減っていき、その中でラッパ隊を存続させるために今の吹奏楽編成になりました。各分団の理解もあり活動ができています。

現在、富岡市消防団は15分団と音楽隊という構成です。

 

― 音楽隊となった現在ではどのような活動をされていますか?

 

小澤隊長:音楽隊は消防団員ですから「予防消防」を使命として、防災イベントなどで音楽を通して多くの人に「火の用心」を呼びかけています。消防団の公式行事に参加したり、学校などへ訪問して演奏することもあります。また、コロナ禍でしばらくありませんでしたが、コロナ前には企業などから演奏依頼を受けることもありました。

 

 

 

出初式の後の表彰式ではファンファーレや君が代を演奏。

 

 

― 昨年私は地元の防災イベントで演奏を聞きました。今流行りの曲もあって、楽しく聴くことができました。

 

小澤隊長:イベントでは  “ハローファイヤーマン” という曲をよく演奏しています。消防団のテーマ曲ですね。演奏の中では消防団らしく、サイレンと鐘を使っています。

あとは基本的には、お子さんから年配の方まで知られている曲を演奏しますね。新しい曲もインターネットで調べたりして、できそうなものを選びます。流行りの曲についていくのは大変ですが、興味を持ってもらえるように考えています。

 

 

鐘はサイレンと一緒に楽器になって、現役で活躍中です!

 

 

― 何と言っても、演奏する時の制服姿がカッコいいです!もし演奏を依頼したい時には、どこへ連絡すればいいでしょうか?

 

小澤隊長:消防本部警防課へ連絡してください。お待ちしています!

 

 

市民スポーツ大会のオープニングでの演奏。気持ちが盛り上がります。

 

 

過去には横須賀市消防団音楽隊と合同演奏会を行ったことも。素敵なコラボですね。

 

 

 

 


 

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音楽隊の素顔

 

 

現在、富岡市消防団音楽隊の隊員のみなさんは19歳から68歳と幅広く、音楽隊とは別にそれぞれお仕事をされています。音楽隊の練習は週に2回、夜に行われているそうです。

中学校・高校の吹奏楽部で楽器演奏を経験した人も多く、知り合いの隊員を通じて音楽隊に入った方ばかり。小澤隊長からは「いつでも隊員募集中です!」とのことです。

 

その小澤隊長は、小学生の頃からトランペット一筋。「富岡小学校で鼓笛隊が結成された初代メンバーです」と話してくれました。

小島副隊長は消火活動を行う分団員でもあり、お父さんは2代目ラッパ長だったそうです。

楽長の坂本さんは現在指揮者をされていますが、以前はトランペット奏者。今のメンバーで一番長く在籍していて、34年になるそうです。小澤隊長と選曲などを担当している、音楽隊のまとめ役です。

 

 

「仲の良さ」も自慢できるところだそうです。

 

 

ここで隊員の皆さんに聞いてみました。

 

「音楽隊に入って楽しいこと・大変なことはありますか?」

 

○家事・育児との両立が大変です。でもみんなと演奏できるのは楽しいです。

○消防活動をする事もあるので大変ですが、こんな活動する楽団は他にはないので、大変さと楽しさが同居しています。

○初心者なのでみなさんについていくのが大変ですが、合奏が楽しいです。

○外でのイベント時には汗だくになったり、凍えそうになったりで大変です。

○音楽を通して、予防消防の大切さをたくさんの人に伝えられる事に喜びを感じます。

○みなさんそれぞれ家事や仕事で大変ですが、団結して頑張ってると思うと嬉しくなります。

○県内で唯一の音楽隊で、制服があってカッコいいんです。

 

 

他にも「隊員みんなが予防消防の意識が高く、自分もその一員として活動できる事が嬉しいです。」「音楽を通し、防災についての啓発活動を行っています。」など、たくさん紹介をしてくれた皆さん。消防団の音楽隊としての役割をしっかりと意識して活動されていると感じました。

 

 

 

 


 

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消防団だからできる演奏会に

 

 

 

 

― 今日はたくさんの曲目を練習されていましたね。

 

小澤隊長:2月に50周年の記念演奏会があるので、その練習です。本当は今年で52年になりますが、50周年の年はコロナ禍で演奏会ができなくて。コロナ前は5年ごとに定期演奏会を行っていたので、久しぶりに演奏会ができます。

 

― 楽しみですね。見に行きます!

 

小澤隊長:今回の演奏会にあたって、作曲家の福田啓司さんにお願いして曲を作ってもらいました。昔ながらのラッパ吹奏を基にした曲で、初披露となります。この音楽隊のオリジナル曲ですので楽しみにしていてください。それと、演奏会の途中で避難訓練も行います。災害はいつどんな時に起こるか分かりませんからね。

 

 

避難訓練があるとは、消防団らしい演奏会ですね。

演奏会では各分団長の紹介もあるそうです。

 

【創立50周年記念演奏会】

■日時 2月25日(日)開演14時(開場13時30分)

■会場 かぶら文化ホール

■入場無料

 

 

 


 

 

ラッパ隊の時代から役割を変え、今では音楽を通して防災の重要性を市民へ呼びかけている『富岡市消防団音楽隊』。消火活動を行う各分団と同じく、大切な役割を担っていると感じました。

 

音楽隊の演奏を聴いてみたくなったみなさん、ぜひ今度の演奏会へ足を運んでみてください。避難訓練もありますよ大人になると避難訓練をする機会って、あまりないですよね。

改めて避難の時の心構えを思い出して、真剣に訓練に参加してみてはいかがでしょうか。

 

(カネコ)

 

 

 


 

 

街に音楽を。駅で音楽を。【富岡駅おん】