みなさんは「Funglish」という言葉をご存じですか?
英語の辞書で調べてみても「Funglish」という言葉は存在しません。これは「Fun 楽しい」と「English 英語」をくっつけた造語です。
本年度、富岡市内の小中学校では「Funglish !! 英語を楽しもう」というテーマで学習が進められているんです。
富岡市では昨年度から英語教育に力を入れており、その様子は「まゆといと」で以前ご紹介しました。
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今回はその続編として、実際の授業風景や夏休み中に行われた英語体験プログラムを取材し、市の英語教育にどんな変化があったのかをお伝えしたいと思います!
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ALTの先生と再会! あれから変化は…?
まず最初に訪れたのは、前回の取材で仲良くなったALTのニカ先生、ロナ先生が担当している黒岩小学校です。
黒岩小学校では今年の5月から新たに「Funglish Room」という英語専用の教室が作られていました。
この教室は「宇宙」をテーマとして、惑星やロケットなどのモチーフが飾られています。教室に入ったとたん、まるで海外の教室に来たような雰囲気です。
この Funglish Room は英語の授業だけではなく、昼休みにも活用されているんです。児童たちは(決められた曜日の)昼休みになると Funglish Room にやってきて、ALTや英語専科の講師と英語でゲームをしたり、お喋りをして過ごします。
その名も「English Cafe Time」!! ここでも先生たちは、英語でジョークを言ったり、児童たちに積極的に話しかけます。
英語での問いかけに臆することなく答える児童たちを目の当たりにして、(もうすっかり英会話に馴染んでいるな〜)と嬉しい感動を覚えました。
左から シュウセイ先生・ニカ先生・ロナ先生
― ニカ先生とロナ先生が富岡市にやってきておよそ1年半が経ちました。昨年度からの英語の授業を通して、児童の変化は感じますか?
ニカ先生:児童のみんなが私たちに心を開いてくれて、どんどん仲良くなっていると実感しています。また、私たちの故郷のフィリピンに興味を持ってくれるようになり「いつかフィリピンに旅行したい!」って話してくれる児童もいます。私たちを通して海外の国や文化に興味を持ってくれたことも嬉しいですね。
シュウセイ先生:授業ではつねに2人のALTがいるので、児童は英語を使う場面が多くなります。この1年間で感じたことは「英語を聞く力が確実についている」ということです。
ロナ先生:ある児童は私のことを「お母さん」って呼ぶんです(笑)。私はそれが嬉しくて、こちらも 「おお、私の息子!」って答えています。そんなやり取りができるほど仲良くなれて、、本当に毎日が楽しいです。
― 私も久しぶりに授業を見学しましたが、みんなとっても積極的ですね。楽しんでいる様子が伝わってきました。授業以外でも、児童たちと交流することはありますか?
ロナ先生:私は日本のアニメが好きなので、休み時間に子どもたちの好みのキャラクターのイラストを描いてあげたりしています。すると、「先生のサインも書いてください!」ってリクエストされたり。そんなやり取りを通して、児童と楽しい時間を共有できることも嬉しいですね。
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ここでニカ先生とロナ先生から「夏休みに Funglish Club という英語体験プログラムがあるの。ぜひ遊びに来てね!」というお誘いが。 「おもしろそうですね!ぜひお伺いします。」と約束を交わしました。
Funglish Clubとは…
市内の小中学校のALTが集まり、児童生徒たちとワークショップやゲーム、工作などのアクティビティを英語で行う体験プログラムです。本年度は夏休み中の7月下旬から8月初旬に、6つの校区に分かれて1回ずつ、計6回開催されました。各回の参加者の募集人数は、小学4〜6年生20名、中学生10名程度です(感染症対策として、当初予定していたプログラムを縮小して行いました)。
⇒ 本市の英語教育「Funglish!」について | 富岡市ホームページ
市内の小中学校に勤務するALTの数はなんと20名!各回で講師の人数の変動はありますが、そのうちの10名以上の講師たちが毎回の Funglish Club に集まり、児童生徒と一緒に過ごすそうです。なんとも贅沢な英語環境ですね。
それではさっそく Funglish Club の様子を覗いてみましょう〜!
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ようこそ Funglish Club へ!!
初日の会場の富岡市立西小学校にお邪魔しました。参加者は、西小・黒岩小・富中の児童生徒12名です。
小学生たちは緊張した面持ちで受付を済ませると、落ち着かない様子で回りをキョロキョロしています。初めて会う大勢の外国人講師の顔ぶれにソワソワ…。 そんな児童にALTは笑顔で「Welcome!!」と話しかけます。
まず参加者は4つのグループに分かれ、ALTは最初からすべての説明を英語で話します。開始早々から英語のシャワーの洗礼を浴びる児童生徒たち…みんな一生懸命に聞き取っています!
それぞれのグループにはグループリーダーのALTと中学生のリーダー、小学生が数人という構成です。今日はこのグループで協力し合い、色々な課題やゲームに挑みます。
会場では、ダンスやジェスチャーゲーム、福笑い、クイズ、カードを 記憶するゲームなど、次から次へとテンポよくアクティビティが行われていきます。
すると最初の緊張がウソのように、みんながどんどん仲良くなっていくのです。
子どもたちの表情にはいつのまにか笑顔が溢れていました。
休憩時間をこまめに取りながら、あっという間に時間が過ぎていきました。
休憩中に子どもたちに質問をしてみました。
― 今日のイベントに参加した理由を教えてください。
小学生A君:学校の英語の授業が大好きで、夏休みに Funglish Club に参加したい!って自分で応募しました。
小学生B君:ALTの先生が面白いし、このイベント楽しそうだなって思って参加しました!
中学生C君:いままでずっと英語に苦手意識があって、なんとか苦手を克服したいって思いで参加しました。今日はまず楽しもう!って気持ちですね。
中学生Dさん:このイベントは楽しそうだなって思って。でも英語はあまりできないんだけど(笑)。 最近は単語をつなげて言葉が通じるのが楽しいって思えるようになりました。
― いやいや、みんなしっかり会話できています!とにかく楽しんでいるのが伝わってきますよ。
プログラムの後半では工作をしました。 ただ作品を作るだけではなく、完成後は作品の名前や好きな食べ物などを英語で紹介します。みんな立派に発表できていて、ちょっと感動しちゃいました。
最後にみんなで記念撮影です。 数時間前に初めて会った講師たちともすっかり仲良くなりました。
― 今日の Funglish Club に参加した感想を聞かせてください!
小学生A君:中学生のリーダーが優しかったし、いろんなゲームができて楽しかったです。英語をもっと好きになりました!
小学生B君:先生たちのテンションが高くて、ずーっと元気なのがスゴイと思った。あとは、中学生のリーダーが頼れる人だったのでいろいろ助けてもらいました!
中学生C君:いままで英語は苦手と思っていたけど、いろんなゲームをしながら小学生をリードしたり、わからないことを教えてあげたりできて、ちょっと自信がつきました。
中学生Dさん:とっても楽しかったです。英語が自然に口から出てきちゃう自分にビックリ!「え、私いま英語しゃべってる〜」ってなりました(笑)。
今回のメンバーは元気いっぱい!(市内小学校のALT6名と中学校のALT4名)
Funglish Club を見学して感じたことは、
✓児童生徒、ALTのみんなが笑顔で、自然に英語がポンポン飛び交っている。
✓つねにハイテンションでノリノリのALTたちにつられて、児童生徒たちも積極的な行動をしている。
こんな楽しい企画、どうやって考えたんだろう??
ということで、Funglish Club を主催している富岡市教育委員会学校教育課の柴山さんにお話を伺ってきました。
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子どもたちに英語を楽しむ体験をしてほしい
― Funglish に込められた思いや、Funglish Clubのねらい・目的を教えてください。
柴山:本市の学校教育において、今年度の重点の一つとして「Funglish」の推進があります。Funglush の目的は、楽しみながら英語を学び、外国の言語や文化に親しみ、自分の話す英語に自信をもって積極的にコミュニケーションを図ることができる児童生徒の育成を目指しています。各小中学校では、授業の他にも始業前や給食の時間に英語の挨拶や放送を実施したり、休み時間には英語教室である Funglish Room でALTと一緒に英語に親しむ活動を行ったりと、学校全体で楽しく英語を使っていく取り組みが進められています。
そのような中で、夏休みには小学生と中学生が合同で、英語を楽しみながら学ぶプログラム「Funglish Club」を実施しました。このイベントではALTがすべて英語で活動を進めていくので、児童生徒はALTが話す英語のシャワーを浴び、英語でコミュニケーションをとる楽しさや英語を学ぶ楽しさを体験してほしい、と願っています。
― 昨年度も夏休みに英語体験プログラムが実施されましたが、なにか違いはありますか?
柴山:昨年度も市が主催する「サマーキャンプ」「サマースクール」という英語体験プログラムがあったのですが、人数が限られていたので参加者は抽選となっていました。本年度はより多くの児童生徒が参加できるようにと考え、校区を分けて6回実施することにしました。校区分けや開催日を増やしたことで、多くの参加希望者に英語を楽しむ機会が与えられたのではないでしょうか。
― アクティビティの内容はどうやって考えたのでしょうか?
柴山:Funglish Club で行うゲームやワークシップの内容はすべてALTにアイディアを出していただきました。本市のALTは母国でも英語教育の経験があり、プログラムを作ることにも慣れています。児童たちがどんな活動に興味をもつのかを良く知っているので、こちらも安心しています。
― こんなに楽しいプログラム、自分が子どもの頃にあったらよかったのにと切実に思いました!!
いかがでしたか?まさに Funglish =「英語嫌いを作らない!」という市の取り組み。楽しいからどんどん英語が好きになる!というこの法則は間違っていませんね。
昨年度、富岡市の小・中学校にまかれた英語の種は、この地に根付きぐんぐんとその芽をのばしていました。太陽のように明るく輝くALTからたくさんの元気と勇気をわけ与えてもらい、それぞれの児童生徒が持つ可能性はこれからも大きく育っていくでしょう。
これからも富岡市のALTたちは英語を楽しむアイディアをどんどん出してくれそうですね。今後もまゆといとでは、市の英語教育を追って取材していきたいと思います!
(マツオ)