富岡市の暮らしと移住のWEBマガジン
まゆといと

2024.06.21 地域で働く

学ぶことのその先に【プロヴァンス】山口みち子さん

​​富岡市中心街の宮本町通りから細い路地「銀座通り」に入るとすぐに、
色鮮やかなお花で通りを明るく彩る花屋さんがあります。

 

そこへある日花を買いに立ち寄ると、店頭には「パン販売」の看板が。

「花とパン」って、素敵な組み合わせだと思いませんか?

 

その店の名は『プロヴァンス』。

オーナーの山口みち子さんは、笑顔が素敵で、いつも元気いっぱいな方です。

 

 

「花とパン」の組み合わせはなぜ生まれたのか。

パン好きの私としては詳しいお話を聞いてみたくなり、山口さんに取材をお願いしました。​

 

 

 


 

 

素敵な先生との出会いが今に繋がる

 

 

とても素敵な雰囲気のお店です。

 

 

​​― 少し遠い記憶ですが、ここは私が学生の頃は、可愛い文房具などが並ぶ雑貨屋さんでした。山口さんがされていたのでしょうか。

 

​​山口さん:元々ここは嫁ぎ先のお店で、その当時は家庭用品やギフトを扱うお店でした。ですが45年くらい前に、この辺りが火事で焼けてしまったんです。全部焼けてしまって、またお店を始めようと思った時に、以前とは違う可愛い雑貨などを扱うお店にしようと考えました。当時はこの辺であまり扱っていなかったファンシーグッズなどを置くようにしてね。

 

― ​​よく覚えています。学校帰りに立ち寄るのが楽しみになる可愛いモノがたくさんありました。花屋さんに変わったのはいつ頃のことですか?​

 

​​山口さん:花屋になったのは20年くらい前かな。私は子どもの頃からお花や植物が好きだったので、雑貨のお店に私の好きなハーブなどを置くようにしていました。そうしたらお客さんに喜ばれて、「こんなお花がほしい」とか、「花束を作ってほしい」と少しずつお花の注文を受けるようになったんです。それで徐々に花屋にシフトしていくようになり、だったらきちんと花の勉強をしようと、お店の定休日に東京へ通って花の勉強や資格取得にチャレンジしました。

 

 

​​通る人が楽しめるようにと、店先に花がたくさん並んでいます。​

 

 

― ​​お仕事の合間にフローリスト資格の勉強や、ハンギングバスケットなどを学ばれていたのですね。​

 

​​山口さん:そんな中で素敵な先生との出会いがあって、ギャザリングという手法を学ぶようになりました。当時はまだ新しい手法で、とても運がいい出会いだったと思っています。2017年に富岡で開催された『花と緑の群馬づくり』の時にギャザリングのお仕事を受けたんですが、県の職員の方から「富岡でギャザリングができる人がいる」と驚かれ、喜んでもらえました。それ以来、まちの広場の植え替えをさせてもらったり、市内の公民館活動(地域づくりセンター)などで寄せ植えの講習会をさせてもらったりしています。

 

 

 

 

― ​​以前、姪の結婚祝いに花かごをお願いしたところ、色鮮やかで華やかで、とても素敵に作っていただきました。私には全くセンスがなくて難しそうですが、花束はどのように作っているのでしょうか?​

 

​​山口さん:ご注文を聞いて、お客さんのイメージに近づくような色合いや、季節の花を入れています。あとは以前の雑貨屋の経験があるので、ラッピングはこだわっていますね。手が抜けないと言うか、細かいところまでこだわっちゃうのかな。

 

― ​​そのこだわりが、みなさんからの信頼に繋がっていると思います。​

 

 

 

 

 


 

 

​​好きなことが広がっていく​

 

 

​​― とてもお忙しそうですが、パン作りもされているのですか?外にパン販売の看板がありますね。​

 

​​山口さん​​:​​パンは第2・第4の日曜日にここで販売しています。​​私​​は欲張りなのかもしれないですね。どんなに忙しくてもパン作りは楽しくて、花の仕事とはまた違う楽しさがあります。最近はご予約をくださる方も多くて、カレーパンが人気がありますよ。

 

 

カレー店「カリル」さんブレンドのスパイスが美味しいカレーパン。​

 

 

​​― パン作りも以前からお好きだったのですか?​

 

​​山口さん:子どもの頃からお花も好きだったし、お料理も好きでした。私の母は料理の上手な人で、そんな母を見て私も好きになったのかな。パン作りやお菓子作りをきちんと学びたいと思って、花屋の定休日に東京まで行って勉強しました。

 

​​― 本格的ですね!パン好きな私が気になっているのは、天然酵母を使ったパン。天然酵母のパンって大変そうですが…

 

​​山口さん:天然酵母を使うと、イースト菌と違って発酵がゆっくり進みます。なので天然酵母を使ったパン作りは、仕事をしながら途中でちょっと時間があいてしまっても大丈夫なんです。私には天然酵母を使う方が合ってるみたいで(笑)、今は娘も手伝ってくれています。小さい頃から私の手伝いをしてくれているので、私の事をよく分かってくれていて助かっています。

​​

― 娘さんは山口さんの強い味方なんですね。​

 

 

四季折々の味わいを楽しめるパンがたくさんあります。​

 

 

― ​​天然酵母から手作りですか?​

 

​​山口さん:天然酵母は果物や植物から作ることができます。天然酵母で出来たパンは歯ごたえがあって、粉の味を楽しめますよね。酵母の香りや特有の風合いがでるので楽しいです。先日は知り合いのカモミール畑からカモミールをいただいて、試作中です。​

 

​​― カモミールの香りのパンなんて楽しみですね。​

 

​​山口さん:それとお店の脇にあるバラも酵母になるんですよ。春先になると咲き始めて、毎年楽しみに見に来てくれる人もいます。あまり手を入れていないけれど、もう20年くらい経ちますね。10年くらい前の大雪で潰れてしまったんですが、細い枝が残っていてそれを育てたらまた大きくなりました。

 

― ​​山口さんに似て元気なバラなんですね。​

 

​​*カモミールやバラを使った天然酵母のパンはその時期だけの販売になります。(現在は終了しています)​

 

 

優しい色合い。お店の前を通る人を引き付ける看板娘のバラなんですって。​

 

 

​​― お話を聞いていると、忙しくて休む間もないように感じますが、元気の秘けつはなんですか?​

 

​​山口さん:好きなことができると心が豊かになるし、出来上がったパンを見ると嬉しくなります。だから元気の秘けつは、好きなことをして楽しむことかな。花屋もパン屋もどちらも好きなんです。パンを楽しみにしてくれている人がいるので、これからも続けていきますよ。

 

― ​​今後はどんなパンを作ってみたいですか?​

 

​​山口さん:天然酵母をハーブで作ってみたり、色々と試してみたいです。酵母は暑すぎても寒すぎてもダメで、菌を育てるのは大変ですが、季節ごとの植物を使って酵母作りを試しています。試してみないと本当にわからないので(笑)。

 

 


山口さんのパンはアイデアと愛がたくさん詰まっています。

 

 

 

 


 

 

2階スペースの貸出も

 

 

― お店には2階もありますが、普段どのように使われていますか?

 

​​山口さん:生花アレンジメントやヨガ教室、カメラ部などで利用しています。小さな教室を始めたい方にオススメですよ。もっと学生さんにも利用してもらえたらいいですね。東高がなくなってしまってから、この辺りで高校生をあまり見かけなくなってちょっと寂しいです。観光の方も地元の人も楽しんで街歩きができるようになるといいなと思っています。

 

 

お店の2階には貸し出しできる部屋があります。日当たりが良くとても明るい部屋です。

 

 

― 何歳になっても学ぶことって大切ですね。

 

​​山口さん:基本的なことを学んでおくと、応用がきいてどんどん広がって、枝葉が出るようにそこからまた違う事にも繋がっていくようです。自分に合った先生から学ぶことは力になるし、私の財産になると思っています。素敵な先生との出会いがあったから、今があるのかな。

 

 

 

 

■プロヴァンス

TEL:0274-62-0034

定休日:火曜日・水曜日(ご予約のお客さまはご相談下さい)

 

〈パンの販売〉

Provence Kitchen(プロヴァンスキッチン)

第2・第4日曜日

 

Instagram⇒ @provence_tomioka

 

 

 

​​

 

 


 

 

​​とてもエネルギッシュな山口さん。お話をしているとこちらまで元気になってしまう、魅力的な方でした。

 

私もまゆといとのライターを始めて1年が過ぎました。たくさんの頑張る人に出会えて、知らなかった事を学び、貴重な体験をさせてもらっています。まだ知らない富岡はきっとある。そう思うとワクワクします。​

 

​​みなさんは今、何かに興味を持っていますか?これから学びたいことはありますか?

みなさんのワクワクすること、まゆといとに教えてください。​

 

(カネコ)

 

 

 


 

 

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