「ぜひ紹介してほしい教室があります!」
そんな声が、七日市黒川地域づくりセンターからまゆといと編集会議に届きました。
「センター主催の『心の歌 ふるさとの歌を訪ねて』という、合唱を楽しむ教室があります。今年で17年目になるんですが、始まった当初から講師をされている守田先生が、とても素敵な方なんです。参加者は年配の方が多く、総勢90名ほど。教室が人気の理由は、先生のお人柄だと思います」
とても素敵な方と聞き、守田さんに会ってみたくなったカネコは、教室の見学に伺いました。
「心の歌 ふるさとの歌を訪ねて」
童謡、唱歌、世界の民謡・歌曲など、懐かしい歌を合唱する教室です。
〈場所〉七日市黒川地域づくりセンター
〈日時〉毎月第2・第4水曜日 13:30~15:30
〈講師〉守田宣彦(もりた・のぶひこ)さん
〈ピアノ〉藤井啓子(ふじい・けいこ)さん
守田さんは、長年学校教育に携わり、定年退職後は教育委員会委員、市文化協会役員などの活動や、富岡市民吹奏楽団を指揮するなど、多くの場で現在も活躍されています。
90人の歌声が響く、迫力のある大合唱団
地域づくりセンター2階の大会議室に入ると、参加者の皆さんが集まっていました。時間になると、守田さんとピアノ伴奏の藤井さんが入り、さっそくウォーミングアップから始まります。
ピアノの伴奏に合わせて、歌声が響きます。皆さんとても声がきれいで、そのしっかりとした声量は、中学校の合唱コンクールのようです。何より、歌声から楽しそうな雰囲気が伝わってきます。
繰り返し練習するなかで、歌詞の意味や情景について話をする守田さん。その様子は懐かしい音楽の授業のようで、気づけば私も一緒に歌っていました。
教室の様子
教室は途中で休憩を挟みます。休憩時に、参加者の方にお話を聞きました。
― こちらの教室へどのくらい通っていますか?
「通い始めて、もう15年になります。歌を歌うのが楽しくて、ずっと通っています」
「楽しくて、毎回欠かさずに来ています。ここへ来ている人は、みんな守田先生のファンですよ」
「先生の指導が魅力的なんです。先生は褒め上手だから、のびのびと歌えて楽しいです」
男性の参加者からは、こんな声もありました。
「男性が少なくて…もう少し男性が増えるといいですね」
休憩が終わると、再び合唱が続きます。多くの人たちと一緒に歌う気持ちよさを感じた、あっという間の2時間でした。
大合唱団は迫力がありました
はじまりは旅行帰りのバスの中
教室終了後、守田さんにお話を伺いました。
― 皆さんの歌声が、本当に歌を楽しんでいるように感じました。
守田さん:それは嬉しいです。みんな一生懸命に練習していますからね。
― この教室が始まって17年とお聞きしました。始まった当初から講師をされているそうですね。
守田さん:学校教員を退職後、七日市公民館(現在の七日市黒川地域づくりセンター)の館長をしていたんですが、3年目の時に当時の敬老クラブの人たちと、長野県にある「中山晋平記念館」へ旅行へ出かけたんです。すると帰りのバスで皆さんが歌い始めて、それがとても盛り上がってね。職員から「公民館で合唱の教室をしてほしい」って話になったんです。それがこの教室の始まりでした。こんなに長く続くとは思わなかったですね。「代々、公民館職員のみなさんの大きな支えがあって、今日がある」と、感謝しています。
― 皆さんで合唱しながら帰ってくるなんて、楽しい旅行だったんでしょうね。伴奏をされている藤井さんも、始まった当時から担当されているそうですね。
守田さん:藤井さんは七日市の出身で、当時から知り合いだったので、声をかけさせてもらいました。藤井さんがいなかったら、成り立たないと思います。合唱を引っ張ってくれる存在ですから。
ピアノ伴奏の藤井啓子さん
音楽の道へ導いた、恩師の存在と妙義山からの歌声
― 守田さんが音楽の先生を目指したきっかけは何だったのでしょうか。
守田さん:今思えば、小学生の時の音楽の授業が楽しかった思い出があります。私が通っていた妙義小学校の担任の先生がとても音楽が好きで、難しいクラシックの合唱曲を授業でするほど本格的でした。その先生の熱心な授業の影響を受けたことが、きっかけになったのかなと思います。
― 音楽を好きになったきっかけは、小学校の先生だったんですね。
守田さん:それから中学生の頃、近所に東京の音楽大学に通ってる学生さんがいて、その人が裏山で発声練習をしていたんですよ。妙義山のすぐ近くの我が家までその声が聞こえてきて、それで「私も歌を習ってみよう」と思ったんです。家の近くに歌を教えてくれる先生がいたので、そこへ通ってイタリア歌曲などを練習していました。
守田さんと藤井さんの息はぴったりです
― 守田さんの周りには、音楽へ導いてくれた人たちがいたんですね。
守田さん:ですが楽器はできなかったので、富岡高校に入ってから、少しピアノを練習したいなと思いました。でも家にピアノがなくてね…。学校の講堂の隅にあった古いピアノを、こっそり弾いていたんです。そしたら先生に見つかってしまって(笑)。その後、近所の音楽の先生のすすめで、ピアノ教室へ通い始めました。
― ピアノ教室はどんな様子でしたか?
守田さん:通い始めた頃は、右手と左手で違うことをやるなんて、手品をやるような感覚でした。高校生だけど初心者だから、小さな小学生と一緒にドレミから始めてね(笑)。でも楽しいなと思いながら通っているうちに、だんだんと本気になっていきました。家からバスで信越線の松井田駅へ行って、電車に乗って高崎駅まで。そうやって週に一回通っていました。
合唱の楽しさを知った学生時代
― 高校卒業後、群馬大学教育学部の音楽専攻へ進学されたそうですが、どんな学生時代でしたか?
守田さん:在学中に、大学の合唱の授業を指揮する機会がありました。やってみたら結構楽しくてね。60人の大合唱の響きは、今でも耳に残っています。その時、指揮をする楽しさを知りました。それが今につながっているのかなと思います。
その後、大学の混声合唱団(部活)から誘いがあり、指揮を担当することになりました。合唱団の仲間とは、学校以外でも皆でおしゃべりしたり、音楽の合宿をしたりして仲良くなりました。大学生は全国から集まってくるし、いろんな学部の人たちが集まるでしょう。そういう仲間とのやりとりが嬉しかったんだよね。合唱コンクールもあって、私が3年生の頃は、関東大会に行ったこともありました。
時折、守田さんのお話で笑いが起こることも
― 合唱のどんなところが楽しかったですか?
守田さん:オーケストラは楽器がなくてはできないけれど、合唱はその場で気軽に楽しむことができます。仲間と合宿へ行った時にも、電車の中で誰かが歌いだすと自然と合唱になったり、輪唱したり。そういう合唱の醍醐味を味わえるのが楽しかったですね。仲間と切磋琢磨することとか、仲の良さとか、そういうことも歌声に表れてくるようです。
― 歌うことが本当にお好きなんですね。
守田さん:私が中学校の校長をしていた頃、学校の合唱コンクールの最後に先生方による合唱もあったんですが、そういう時は本気になって真ん中で歌っていましたね。歌が得意な先生もいれば、苦手な先生もいるんだけど、それがまたいいんですよ。一生懸命歌っている先生が、ちょっと外したり、間違えたりすると生徒が面白がったりしてね(笑)。
中学生の頃、何度も何度も練習した合唱コンクールを思い出しました。最後に先生の合唱もありましたね、懐かしいです。
誰にでもある「心の歌」を訪ねて
ー「心の歌 ふるさとの歌を訪ねて」という教室名には、どんな意味があるのでしょうか?
守田さん:心の歌というのは誰にでもあると思います。作詞した人と作曲した人、歌う人、それに聴く人にも。自分たち一人ひとりの懐かしい「思い出のふるさとの歌」を歌いましょうという意味なんです。教室ではアンケートを取って、皆さんの心の歌について聞いています。
― 指導する時のポイントはありますか?
守田さん:例えば、「長崎の鐘」という戦争に関わる歌ですが、この曲は途中で転調するところがあるんです。「戦争で大切な人を亡くして悲しい」という歌だけれど、途中で転調して、「でも頑張っていくぞ」という気持ちが表現されます。その作曲者の変化する気持ちが、楽曲の中にどのように生かされているかを皆さんに伝えながら練習すると、歌いやすくなるかなと思いながら指導しています。
指導を受けた皆さんからは、歌う楽しさが伝わってきました
活動17年目、初めての文化祭へ
― 11月に開催される「富岡市文化祭」に出演されるそうですね。
守田さん:今回初めてのことなんですが、センター長はじめ職員の皆さんからのお力添えで、参加者の皆さんも盛り上がって一生懸命練習しています。多くの人が知っている曲を用意して、最後は会場の皆さんと一緒に「ふるさと」を歌えたらいいなと思っています。いつもと違う会場でどんな感じになるか分かりませんが、楽しみです。
文化祭に向けて、皆さんの練習にもますます熱が入りそうですね。
◆ 富岡市民文化祭
11月7日・8日の2日間開催。「心の歌 ふるさとの歌を訪ねて」の皆さんは、11月7日(土)の音楽芸術部門で出演されます。会場はかぶら文化ホールです。
初対面の私にも、穏やかに、にこやかにお話をしてくれた守田さん。私もすっかりファンになってしまいました。
今年で80歳を迎える守田さんですが、声の出し方やリズムの取り方などを体全体で指導される姿は、教員時代と変わらないのではないかと感じます。
たくさんのお話をありがとうございました。これからも守田さんと皆さんの歌声を楽しみにしています。

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