「富岡高校に素敵な先生がいるのでぜひ取材してほしいです!」
現役の富高生から『まゆといと』にこんな声が舞い込んできました。
生徒たちからの人気も高いとのことで、どんな先生なのかな?とお会いする前からワクワクが止まりません!
そんな浮き足立ったマツオが、富岡高校にお邪魔してきました。
伝統と文化が薫る学び舎
【群馬県立富岡高等学校】
2018年に旧富岡高校と富岡東高校の統合により、男女共学の普通科高校として再出発した。校舎となっている旧富岡高校は120年以上の歴史がある。県内屈指のハンドボール強豪校として名を馳せる一方で、地域の進学校として国公立大学や難関大学への進学実績もある。
校内には手入れの行き届いた回遊式庭園があり、錦鯉が泳ぐ池も。また庭園には旧七日市藩陣屋正殿(通称:御殿)と黒門(陣屋中門)が現存し、一般開放されている。
「御殿」と呼ばれる旧七日市藩邸
今も生徒たちはこの黒門をくぐって登下校している
ここで噂の波多野先生にお会いし、色々なお話をお聞きしました。
【波多野 愛夏(はたの あいか)さん】
伊勢崎市出身。富岡高校の地歴公民科の教員として2年前から同校に勤務している。5人姉弟の長女で好きな食べ物はイタリアン全般。
みんなに世界史の面白さを伝えたい
― 富岡高校にはいつからお勤めになられていますか?
波多野先生:昨年度から富岡高校に赴任したので、今年で2年目です。今年度から1年生の担任も受け持っていて、部活動では女子ソフトテニス部の顧問をしています。
― なぜ地歴公民科(中学校でいう社会科)の先生になられたのですか?
波多野先生:小学生の頃に読んだ、世界の国を擬人化した漫画『ヘタリア』の影響を受けて、世界の国の特徴や歴史・文化を学ぶことが大好きになり、そこからどんどん世界史にハマっていきました。でも子どもの頃は「将来はケーキ屋さんになりたい」と思っていましたし、大学生になった時も先生になりたいとは思っていなくて。ただ「世界史」という教科が大好きだったので、この知識を活かせる仕事はなんだろう?と考えた末に、「社会の先生になろう」という考えに辿り着いて教職に就きました。
― 実際に先生になってみて、どんなお気持ちですか?
波多野先生:思っていた以上に色々なスキルが必要な仕事だと感じました。担任を受け持つようになり、それぞれの生徒の適性を見ながら進むべき道を一緒に考える場面も多く…私自身も様々な分野について勉強しないといけないと痛感しています。しかしやりがいは半端なくて、「自分の居場所を見つけられた」「役割を与えられた!」という充実感を味わっています。そして毎日クラスの生徒たちに元気をもらっているので、私もみんなのためにとことん頑張ろう!と前向きな気持ちが湧いています。
― 波多野先生が感じる富岡高校の魅力をお聞かせください。
波多野先生:歴史や文化を感じられる学校だということが、私にとっての魅力です。私は伊勢崎出身なので、学生時代はおもに中毛・東毛エリアで暮らしていて、富岡にはあまり馴染みがなかったんです。教員に採用され赴任先が決まってから富岡高校へ下見に来てみると、学校内に立派で歴史的な建物があることに驚きました。
富岡高校は創立120年以上の歴史があり、校内には「御殿」と呼ばれる七日市藩の藩邸と黒門があるので、歴史好きの私は(こんなに素晴らしい文化財のある学校があるなんて!地歴公民科の教員としてここで歴史を教えられるとは…こんなに幸せなことはない!)と胸が高鳴りました。
さらに市内には富岡製糸場や大きな神社もあり歴史や文化を身近に感じることができるので、この地域にご縁があったことを嬉しく思っています。
― 富岡高校の生徒たちの印象はいかがですか?
波多野先生:生徒たちは、優しくて穏やかで責任感の強い子が多い印象です。また、地域との結びつきも強いと感じています。周囲で困っている人を見かけたら人助けをするという場面も多く、実際に「登下校中に地域の方を助けた」というエピソードを何度も聞いています。つい最近も、私のクラスの生徒が脱輪した車の救助のお手伝いをしたそうです。地域の方にも「富高生は頼もしい!」という評価をいただいています。
― 波多野先生は新卒で去年この学校に赴任されたので、生徒たちと年齢が近いですよね。そのぶん生徒にとっては親しみやすい存在なのかなと感じました。
波多野先生:私も2年前までは大学生だったので、進路にまつわる悩みなど鮮明に覚えています。なので生徒たちと同じ目線で進路について悩んだり、考えることができるのではと思っています。生徒たちも私と歳が近いこともあって、ずいぶんと打ち解けてくれています。私の兄弟にも中学生と高校生がいるので、家でも職場でもこの年代の子たちとワイワイしていて…なんだか毎日が賑やかですね。
― なるほど。波多野先生から滲み出る「親しみやすさ」の秘密がちょっとわかった気がします。
叶えたい夢を追いかけて
ーこれからやってみたいことや夢などあればお聞かせください。
波多野先生:一人旅がしてみたいです!私は世界史が大好きなので、歴史をめぐる旅に出かけたいですね。私の大学時代はコロナの影響で自由に渡航できなくて…学生時代に世界を見たかったのに、叶わなかったことが悔やまれます。
今行きたい国をしいて挙げるなら、「トルコのイスタンブール」「イタリア」です。イスタンブールは歴史のミルフィーユとも称されている場所なので、ギリシャ・ローマ・イスラムの歴史の遍歴を街中で体感したいです。イタリアは美食の国なので、本場のイタリア料理を楽しみたいですね!もちろん古代ローマの歴史ある建物なども訪れたいです。
私自身が世界を巡り、異国の文化や歴史を身をもって体験して、それを生徒たちに還元できたらいいな…。そんなことも思っています。
― 生徒たちに伝えたいコトバはありますか?
波多野先生:古代ギリシャの哲学者ソクラテスの『無知の知』という言葉です。これはネガティブなものではなく「自らの無知を自覚することで真の認識に至る」という意味があり、簡単に解釈すると「もっと知ることができる!可能性がある!」と捉えることができます。私は今でも『無知の知』を感じる場面が多々あって、(私の知らないことはこの世にたくさんある。もっとたくさんの知識を得たい。いろいろな世界を見たい。)と日々思っているんです。
生徒たちにも世界の広さを知って欲しいですし、学校や目の前のことに苦しんでいるなんてもったいない!と伝えたいです。この世の中にはもっと広い世界が広がっていて、楽しいことがたくさんある。素敵なことがいっぱいある。希望を持って生きる喜びを感じてほしい。そして未来に向かってわが道を突き進んでほしい。そう思います。
― 波多野先生、素敵なお話をありがとうございました!
笑顔が眩しくて、とっても気さくで、フレンドリーな面も持ちあわせている波多野先生とお話しできて、私自身たくさんの元気をもらえた今回の取材でした。
そして、こんな先生に教わりたい!と富高生が羨ましくなっちゃいました。
波多野先生は富岡高校に赴任するまで、富岡市を訪れることがなかったとのこと。ですが今では、生徒たちと歴史あふれる学び舎で日々を共にし、この地域の魅力を発見する毎日を送っています。
前向きに生きることは素晴らしい!そんな風に素直に思える出会いになりました。
みなさんのまわりには輝くヒトはいますか?ぜひ「まゆといと」にお知らせください!
(マツオ)