今回私がお邪魔したのは、市役所の近くにオープンした『上州富岡マインドフルネスヨガスタジオ』さん。
皆さんは「マインドフルネス」ってご存じでしょうか?
聞いたことはありましたが、あまりよく分かっていなかった私。
代表の二川原 大(にがわら だい)さんに、マインドフルネスとの出会いや、その特徴を伺いました。
またスタジオのオープンを機に富岡へ移住されたという二川原さんに、富岡での暮らしについても聞いてきました。
ねこのイラストが入った看板が目印です
自身で経験した瞑想体験から指導者へ
― ホームページのプロフィールを見ると、以前は法務教官をされていたそうですね。あまり聞き慣れない職種かと思いますが、なぜ法務教官になろうと思ったのですか?
二川原さん:大学で心理学を学んでから心理学にとても興味を持ち、その知識を生かせるような職業に就きたいと思い、法務教官になりました。法務教官は、少年院などで非行少年の更生を指導する教官です。初めは神奈川県の少年院で勤務し、平成27年に赤城少年院へ赴任しました。転勤がきっかけで群馬県へ来て、もう10年くらい経ちますね。
― 今年の3月まで勤務されていたそうですが、長く法務教官として勤務されていた二川原さんがマインドフルネスに出会ったきっかけは何だったのでしょうか?
二川原さん:マインドフルネスは簡単に言うと瞑想です。私が29歳くらいの時に、自分自身の怒りのコントロールをどうにかしたかったのですが、どうにもできない状態が数か月くらい続いた時があったんです。そんな時になんとなく「瞑想ってどうなんだろう」と思い、ネット検索をして、マインドフルネスの源流である『ヴィパッサナー瞑想』というものを知りました。とりあえずマニュアル本を読んでから試してみると、2週間くらいで、その怒りの感情がなくなったんです。それから瞑想に興味を持ち始めました。
スタジオで使用するシンギングボール。気持ちがふわっと広がっていくような音色でした。
二川原さん:その後、法務省では、平成23年に福岡県の女子少年院で、マインドフルネスを取り入れた矯正教育が始まったんです。それがきっかけとなってマインドフルネスは全国的に広まり、自分自身が助けられたマインドフルネスを、教官として少年院で指導することが容易になりました。
非行少年は、トラウマを抱えていたりして、往々にして感情をコントロールすることが困難である場合が多いです。そういう気持ちをどうにかしたいと思い、マインドフルネスに取り組ませると、心の変化を感じ取れる子もいました。向き不向きはありますが、実感できるとその後も取り組んでくれましたね。
また、平成29年から前橋刑務所で、受刑者に心をコントロールする力をつけてもらうためにマインドフルネス講座が始まり、講師として受刑者への指導も行いました。
― ご自身の経験が活かされる場所に出会えるのは貴重ですね。
歩きながらの瞑想
― マインドフルネスはどんな方にお勧めですか?
二川原さん:悩みを抱えてモヤモヤしている人におすすめですね。悩んでいるというのは、自分の思考に飲み込まれている状態です。それを俯瞰的に観察し、今、自分がどういう状態であるのか?に気付けるようになると、より適切な選択ができる余地が生まれると思います。最近では教育現場や企業研修などでも、マインドフルネスを取り入れる所が増えているんです。
スタジオ正面に飾られた糸かけ曼荼羅(アート)は絹糸で作られていて、柔らかい雰囲気を感じます。
西上州をめざして
― 転勤で群馬県へ来ることになった二川原さんが、ここ富岡でスタジオを始めるきっかけは何だったんでしょうか?
二川原さん:群馬に来てから群馬での生活が気に入って、実は永住予定で高崎に一軒家を買っていたんです。8年くらい高崎に住んでいましたが、だんだんと老後のことを考え始めるようになりました。前職は定年が65歳なんですが、定年後の生活はどうしようかと考えたんです。その頃にはマインドフルネスの指導歴が10年くらい経っていたので、そういった指導を継続していきたいと考えました。
― 群馬県を気に入ってもらえたなんて嬉しいです。でも高崎に一軒家を持っているのに、なぜ富岡に移住されたんですか?
二川原さん:ちょっと話が変わりますが…ここ最近、夏がとても暑いですよね。それで涼しい北軽井沢あたりに住むのもいいかなと考えたんです。色々調べていくと、その手前の倉渕に温泉付きの物件があって、瞑想センター兼住宅にいいなと思ったんですが…山の中過ぎて断念しました。自給自足は難しいなと。そこから西上州辺りに範囲を広げて探していたら、富岡でこの物件を見つけました。
― 温泉付きは魅力的でしたね。
元保護猫のアナちゃん。恥ずかしがり屋なので会えたらラッキーかもしれません。
― 移住して1年が経ったそうですが、富岡での生活はいかがですか?
二川原さん:ここでの生活は気に入っています。駅も近いですし、歩いていける距離に飲食店もあって、食堂とかいろんな所へ行っています。ただ、新洋亭がなくなってしまったのは残念ですね。閉店するとは知らなくて、1度しか行けなくて…。以前あった駅前の川崎屋食堂もそうですが、レトロな感じの食堂が好きです。あとはお酒が好きなので、一人で飲みに行きます。
― お気に入りのお店を見つけて楽しんでもらえてよかったです。他にはどんな所へ行きましたか?
二川原さん:この前、クラウドファンディングを通じて、妙義山の「登拝体験修行」に行きました。片山さんに奥の院の方を案内してもらいました。
― 山伏の片山さんと繋がるとは驚きです。
二川原さん:瞑想にはまっていた頃、滝行ができる瞑想教室を見つけて行ってみると、そこの先生が出羽三山(山形県)の山伏でした。その御縁で、滝行や登山行もするようになりました。
出羽三山の湯殿山での滝行。二川原さんにとって瞑想と滝行はセットなんだそうです。
― 瞑想って奥が深いですね。
二川原さん:今後も滝行をしたいと思っていて、実はそういう事もあって西上州方面で移住先を考えていました。
― でも富岡で滝行は難しいですよね?
二川原さん:そうですね…丹生の鳴沢不動尊は滝行の行場だったんじゃないかと思います。あと裏妙義ですが、麻苧の滝(安中市)も昔からの行場ですね…。
― それは驚きです。富岡で滝行もありかもしれませんね。
【上州富岡マインドフルネスヨガスタジオ】
難しそうなイメージのマインドフルネスですが、「集中できなくても大丈夫です」とお話ししてくれた二川原さん。
日常の忙しさからちょっと離れて、日頃抱えているモヤモヤをマインドフルネスで解消してみませんか?
今年もあとわずか。気持ちよく新年を迎え、新しい事に挑戦してみてはいかがでしょうか。
(カネコ)