富岡市の暮らしと移住のWEBマガジン
まゆといと

2022.11.01 子育て・10代・学生

〈農家の課題解決プロジェクト〉大学生と創る新たな試み

富岡市って、農業を行うのにとってもいい環境なんです!

新規就農者へのサポートもあるんです!!

 

というお話はこれまでもお伝えしてきましたが、

今回は富岡市が昨年度から取り組んでいる新しい試みについてご紹介します。

 

市内で農業をしている人や、これから始めたい人、

アルバイトをしながら農業の勉強をしたい学生さん、

学生と関わりたい市民のみなさんも、ぜひご覧ください☆

 

 

 


 

 

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〈農家の課題解決プロジェクト〉とは?

 

 

令和3年度にスタートした〈農家の課題解決プロジェクト〉。これは、「今抱えている課題の解決に向けて、市の職員と市内の農家で連携して動いていきましょう」という取り組みです。

 

プロジェクトがスタートした令和3年度は、全3回のワークショップを開催。事前に聞いた課題の中で最も多かった『人手不足』をテーマに話し合い、富岡の農業の未来のために何ができるかを考えました。

 

※人口減少により、全国的にどの産業でも人手が不足することが想定されています。農業分野でも機械化が進んではいますが、機械に頼ることが難しい作業が多く、人手不足が顕著です。これは作物の種類に関わらず、共通の課題となっています。

 

 

令和3年度〈農家の課題解決プロジェクト〉ワークショップの様子

 

 

✤ワークショップのレポートはこちらから読めます✤

令和3年度に実施した農家の課題解決プロジェクトについて(富岡市)

 

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そして令和4年度は、実際に欲しい人材を雇ってみる「実証実験」を実施!

テーマは『夏野菜の人手不足解決』で、働き手のターゲットになったのは大学の農学部に通う学生です。

 

夏野菜の収穫最盛期に、大学は長い夏休みの真っ最中。「バイトをしながら農業の勉強もできれば、お互いにメリットがあるのでは」という考えなのですが…

さてさて、実証実験から一体どんなことが見えてきたのでしょうか??

 

 

 

 


 

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大学生と農家をマッチング!すると…

 

 

今回学生を雇用するのは、若手農家の栗城さんと村西さん。お二人とも県外から移住をして市内で就農し、夏場は主にナスの栽培を行っています。「これから規模を拡大していきたい」、「手が付けられていない・やりきれない作業を手伝ってもらいたい」という意向があり、学生の受け入れに手を挙げました。

 

⇒ 栗城さんの記事は こちら

⇒ 村西さんの記事は こちら

 

そして今年7月、市は高崎健康福祉大学農学部で説明会を開き、学生たちにこの取り組みへの参加を呼びかけました。

 

 

受け入れ農家の栗城さん(上)、村西さん(下) と、市が制作したポスター(右)

 

 

説明会に参加した約20名の学生にアンケートを取ると、「興味を持った」、「楽しそう」、「参加したい」といった回答が多く、反応は上々。しかしこの時点で大きな問題が浮き彫りになりました。

 

大学は高崎市内にあっても、畑に通うのは自宅から。その自宅が、東毛地区だったり埼玉県内だったりと、富岡市から遠い場所に住んでいる学生が多かったのです。しかも車を持っていない学生が多く、交通手段がネックで「参加したくても難しい」という声が。。。

 

 

 

 

収穫した野菜はその日のうちに出荷するため、一般的に収穫作業は早朝から行われます。そのため学生の作業時間も朝5時頃〜お昼前までを想定していましたが、電車を使った移動だと早朝に畑に到着することは不可能です。

 

今回はとりあえず、学生さんには早朝ではなく昼間に来てもらい、収穫以外の作業を手伝ってもらうことになりました。

 

 

 

 

草むしり、誘引、摘果、葉切りなど、収穫以外の作業はたくさんあります。ですが人を雇うのであれば、収穫量を増やして収入を増やさなければ、お給料を支払うことができません。そのためにはやはり、収穫作業を手伝ってくれる人が必要です。

 

だったら宿泊場所を用意したらどうだろう?

そう考えた市は急遽、農家さんやゲストハウスのオーナーと相談し、「宿泊を絡めた実証実験」を行うために動き出しました。

 

 

 

 


 

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宿泊+農作業を体験してみた!

 

 

 

 

大学の夏休みも残りわずかとなった9月中旬、丹生地区にある栗城さんの畑で、宿泊を絡めた実証実験が始まりました。

 

滞在期間は4泊5日。時給は1,000円で、1日5時間の作業。宿泊場所は南蛇井にある『ゲストハウスなんじゃい』を利用し、宿泊費1泊1,000円を学生が負担(差額は補助)。移動のために市が電動アシスト付き自転車を貸し出します。

 

参加したのは、農学部1年生の亀津暁音さんと阿部友香さん。8月から栗城さんのもとで日帰りバイトを数日間行っていて、これまではみどり市から電車で富岡市まで通っていました。

 

 

農作業に興味があり、誘い合って参加した阿部さん(左)と亀津さん(右)。

 

 

滞在期間の半分を終えたところで、阿部さんと亀津さんに感想を教えてもらいました。

 

【作業について】

・最初は腰が痛かったが、だんだん慣れてきて痛くなくなった。

・作業が連日だと疲れが溜まってくる。農家さんはこれを毎日やっていると思うとすごい。

・栗城さんがナスの知識をいろいろ教えてくれ、経験しながら学ぶことができて良かった。

・作業がだんだん速くできるようになってきたので、もうちょっと極めたい。

 

【宿泊について】

・食料問題があったが、栗城さんのところで働いている従業員さんが差し入れをしてくれて本当に助かった。

・自炊できる道具や調味料が宿泊施設に揃っていると良いと思う。

・1泊1,000円の負担なら、バイト代から宿泊費と食費を差し引いてもプラスになるので助かる。

・一人暮らしをしたことがなかったので、親のありがたみがわかった。

 

【移動について】

・ゲストハウスと畑が離れていたので、仕事の後に買い出しをしているとあっという間に1日が終わってしまった。車があると違うなと思った。

・電動アシスト付き自転車は坂道も楽に移動できてとても助かった。

・愛タクの予約がもっと取りやすいと良いと思う。

 

【その他】

・友達と一緒に泊まってバイトをするというのが凄く楽しい。

・他の受け入れ農家に行っている人や先輩と交流できる機会も欲しい。

・とても親切にしてもらっているので、来年もぜひやりたい。

 

 

「2人は真面目な性格。時間があればもっとしっかり教えたい」と栗城さん。

 

 

阿部さんと亀津さんの感想を笑顔で聞いていた栗城さんからは、来年に向けての提案などを伺いました。

 

 

【栗城さんの感想】

・3人1組で来て、3日に1回順番に休むシフトにしてはどうか。疲れが溜まらず、毎日誰かが必ず作業に出られるので良いと思う。

早朝から作業を始めてお昼から休みにする方が、涼しくて体も楽なはず。来年はその時間帯で1ヶ月間やってはどうか。1ヶ月間あれば学生も稼げるし、こちらも作付面積を増やすことができる。

・理想を言えば、来年は2人に後輩を連れて来てもらいたい。2人が後輩に作業を教え、その後輩が次の年は教える立場になって…というのが毎年続いてくれると、本当に助かる。

 

 

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「来年も参加したい」という学生さんの声と、「来年以降も来て欲しい」という農家さんの声。

今回明らかになった問題点を改善して、宿泊場所を畑の近くに用意することができたら、長く続く取り組みになるかもしれませんね!

 

市では、学生同士で交流できる機会の提供や、「休みの日は観光できる」といった魅力の打ち出し、空き家の利用なども視野に入れて、来年はどのように実施していくかを検討していくそうです。

 

 

 


 

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富岡市の農業の未来を創造しよう

 

 

 

 

「短期バイトの人材なら地域内で探した方が楽なんじゃない?宿泊場所を用意しなくていいし、仕事をリタイアした人はたくさんいるし…」

そんな風に感じた方もいると思います。

学生を雇って作付面積を増やすことは、農家さんにとってリスクも伴います。

ですが、学生を雇うことは未来への “投資” なのだと、栗城さんは話していました。

 

この経験がきっかけで、日本の農業のことを真剣に考える若者が増えるかもしれません。

就農するときに、受け入れ農家を頼って富岡に移り住むことだってあるかもしれません!

それに若者の存在って、近くにいる人間にやる気をもたらしてくれると思いませんか?

 

この取り組みに興味を持った方、関わってみたい方は、富岡市役所の農林課(0274-62-1511)または「まゆといと」まで、ぜひご連絡ください。

 

 

(ナカヤマ)

 


 

 

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