4月の初めごろ、一ノ宮公民館の主事さんから一枚のチラシを受け取りました。
「高校生が公民館で展示会をするので、ぜひ見に来てください!」
そこには『ミニチュア解体機の展示会』の文字。
高校生がイベントをするとは、興味シンシン!私はそのチラシを手にして心が躍りました。
そして展示会当日。
一ノ宮公民館へ向かうと、そこにはたくさんの高校生が楽しそうに談笑している姿が。
(ここは公民館だよね?なんだかキラキラしていて素敵な雰囲気♪)
目の前に広がる情景に胸が高鳴りました。
会場に足を踏み入れると、地元の高校生・柏木大知くんによって創り出されたミニチュア模型の数々がずらり。解体機を撮影した写真なども展示されていて、とても見ごたえのある内容です。
当日は柏木君とその友人らがメインとなって設営準備や受付などを行ったそうで、活気にあふれた会場は多くの来場者で賑わっていました。
一ノ宮公民館の館長さんも、「高校生や地域のみなさんにこのようなカタチで気軽に公民館を利用してもらえると嬉しいですね。」と笑顔でおっしゃっています。
みんなをワクワクさせちゃうステキな公民館活用法!他の地域にもどんどん広がってほしいですね。
ところで以前から『まゆといと』では、地域の若者たちを応援し、そのエネルギーにあふれる姿を取材してきました。
今回は一ノ宮公民館をきっかけに出会った、好きなことに全力で取り組み、まわりのみんなも明るく照らす高校生を紹介します。
【 柏木 大知(かしわぎ だいち)くん プロフィール 】
富岡実業高校三年生。富岡市在住。幼少期から、トミカやミニチュア模型収集、建設機械メーカーのカタログやグッズの収集、模型製作や写真撮影などを精力的に行う。建設機械専門誌で特集記事が掲載された経歴もあり、建設機械ファンの間では「群馬の子」の愛称で親しまれている。
…と、その前に「解体機ってそもそもなんだろう??」と思う方もいらっしゃるのでは。私もよくわからないまま展示会に向かったひとりです(笑)
〈解体機とは?〉
解体現場で利用される重機のことで、ショベルカー・ホイルローダー・ブルドーザーなどがあり、なかでも代表的なものとして油圧ショベルが挙げられます。
油圧ショベルは、油圧シリンダーでアーム部分を動かし建物を取り壊します。作業内容によって、 アーム部分を違う形状のもの(カニのはさみ、トリのくちばし、フォークのような形など)と付け替えることができ、掴む・引っ張る・つぶす、など様々な作業ができるのです。
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ブレることのないまっすぐな想い
― 解体機が好きになったきっかけを教えてください。
柏木くん:僕が一歳半のときに初めて親から与えてもらったのが、ショベルカーのおもちゃでした。親が言うには、僕はいつもそのショベルカーを持ち歩いていたみたいです。たくさんの思い出が詰まっ たそのおもちゃは、今でも大切にとってあります。
物心ついた頃から、ずっとブレることなく建築機械が大好きです。今でも覚えているのは、保育園に通っていた頃に園庭で作業をしていたショベルカーがとてもカッコよくて、窓にへばりついて一日中眺めていたこと。将来は「ショベルカーの運転手になりたい!」って、本気で思っていました。
小学生になると、まわりの友達はゲームに夢中になったりしていたけど、僕は建築機械の絵を描いたり、ミニチュア模型を集めたりするほうが楽しかったです。
子どものころは建設機械全般が好きだったけど、高校生になったころから主に解体機に興味がシフトしていって、いまに至ります。
赤ちゃんの頃から遊んでいた宝物(遊びすぎてショベル部分は欠けてしまった)
ー ご両親も柏木君の趣味を応援しているんですね。
柏木くん:はい。僕が幼い頃から両親は、いろんな場所へ建築機械を見に連れて行ってくれました。先週も母の運転で秩父と太田の展示会を一日で巡りました。母は高速道路の運転が苦手なので、下道で行くんです。運転が苦手なのに遠方にも車で出かけてくれるので感謝しています。
小3ぐらいからミニチュア模型の収集が始まったんですが、入手困難な模型を買ってもらったり…。家族の理解があったおかげで、ここまで趣味に没頭できたんだと思います。 両親ともに平日は仕事で忙しいのに、休みの日には僕の趣味に付き合ってくれるので、本当にありがたいです。
トミカのディスプレイ用ケースに並ぶコレクションの一部。写真右の棚は自分で作りました!
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趣味も部活も全力で楽しみたい
ー高校三年生ということですが、学校は楽しいですか?
柏木くん:はい、楽しいです!高校生活では、資格を取ることにも力を入れています。将来のことを考えると、学生のうちに取っておきたい資格がたくさんあるんです。すでに、フォークリフト、玉掛け、小型移動式クレーンの資格は取得済みです。富実では長期休みを利用して、学校内で講習を受けて資格試験が受けられるので、ありがたい環境だと思っています。今年の夏休みは「アーク溶接作業者」の資格取得に挑戦してみようかな、と。
部活動では写真部に所属しているのですが、顧問の先生が良いアドバイスをくれるので、自分の好きなジャンルの写真を撮影したり、のびのびと個性を伸ばせていると感じています。最近では顧問の先生のすすめで、解体機を題材にしたユーチューブチャンネルを立ち上げました。解体機だけを扱うのもマニアックなんだけど、興味のある人がいると信じて(笑)。忙しくてなかなか動画制作ができないけど、、ぜひご覧ください!!
柏木君のユーチューブチャンネルはこちら☟
球技大会のために作った特注のユニフォーム。自分を表すコトバは「重機愛」!!
ー 解体機の魅力とはなんでしょうか?
柏木くん:解体機は奥が深くて、その魅力をひとことで言い表すのは難しいのですが…。解体機は年々進化を遂げていて、その変化がとても面白いと感じます。最新のものもカッコよくて魅力的ですが、古い解体機のことを調べるのも大好きです。昭和の時代に活躍したモノは丈夫で質が良くて、最新のモノとはまったく違った魅力に溢れています。1964年東京オリンピックの年に「陰の立役者」として活躍した建設機械があるんですが、日本の歴史になぞらえて背景で起こっていることを考えるのもおもしろいです。
小学生になると、建築機械の模型を集めることにハマりました。長野県伊那市にある「はたらくじどうしゃ博物館」は、昭和時代の貴重なコレクションが展示されていておすすめの場所です!何度も博物館へ通ううちに館長さんと仲良くなり、模型を買うときは館長さんに自ら電話して、在庫の確認をしたりしていました。
ー なるほど、日本の技術力を支えている建築機械の歴史ストーリーは面白そうですね。最後に、将来の夢を教えてください。
柏木くん:保育園のころから「大きくなったらショベルカーの運転手さんになりたい!」と言っていました。いまもその気持ちは変わらないので、大好きな【解体機】とかかわる仕事に就きたいと思っています。そのためにもきちんと重機を扱えるように、ショベルカーなどの運転資格を取得したいです。県内には重機や解体機を扱う企業がたくさんあるので、そういったところに就職したいです。
柏木君愛用の通学リュックは農機メーカー【クボタ】の非売品!
ミニチュア模型を作る時間が最高の楽しみ
解体機についてなにも知らない私に、とても丁寧にその魅力を語ってくれた柏木君。
幼少期からまっすぐに突き進んできた「好きなモノ」への情熱はとても熱く、なにかに夢中になれることはこんなにも素敵なことなんだと実感しました。
柏木君がまっすぐに育ったのは、ご両親の深い理解があったからこそ。
わが子が夢中になる姿を応援し、いっしょに解体機の知識を深めていったお母さま。出勤中に通りすがりの工事現場で変わった解体機を見つけると、お休みの日に柏木君を連れて再訪していたお父さま。家族みんなで「解体機」を一緒に楽しむ姿を想像すると、なんだかじーんと胸が熱くなりました。
また、幼少期から同じ趣味をもつ大人たちと情報交換をしたり、ミニチュア模型収集のために自ら電話をして在庫の確認をしたりと、柏木君のコミュニケーション能力と行動力には驚かされました。 好きなことに情熱を傾けることは、生きるチカラを養うことにも繋がっていると感じます。
みなさんのまわりにはどんな若者がいますか?
またご自身の青春時代には、どんなことに情熱を注いでいましたか?
青春時代にまつわるエピソードなども、ぜひお聞かせください!
これからもたくさんの若者のお話を聞きたい!!
まゆといとでは全力で若者を応援し、全力で取材をしていきます。乞うご期待!!
(マツオ)