富岡市の暮らしと移住のWEBマガジン
まゆといと

2025.11.17 生活、イベント等

空き家のこと、相談してください! ~古き良きものを受け継ぐ人~

暑かった夏から涼しい季節へ移り変わり、愛犬と散歩を楽しんでいるカネコです。

犬と散歩をしていると、いつも気になるのが「空き家」。

私の住む地域では空き家を目にすることが多く、庭の草が伸び放題になっていたり、野良猫が出入りするような場面を見かけては「このお宅は空き家になって何年経つのだろう?」「手入れをしたら住めそうかな…」と眺めながら散歩をしています。

 

家は人が住まなくなると、あっという間に劣化していきます。空き家になる理由は色々あると思いますが、多くの場合、親が高齢になって転居したり亡くなったりした後に、その自宅で暮らす子どもがいないというケースではないでしょうか。

 

ここで考えてみてください!皆さんの実家は「空き家予備軍」ではありませんか?空き家予備軍とは、65歳以上の高齢者だけが住む持ち家で、数年後には空き家になる可能性が高い住まいのことを言います。

 

☆以前公開された記事にも登場している言葉です。⇒ 大切な家の将来、今から考えてみませんか。

 

……

 

そんなことを考えていると、まゆといと編集部にこんな情報が入ってきました。

「今年の夏、空き家だった日本家屋をリノベーションして、一棟貸しの宿として生まれ変わった物件があるんです!」

 

情報を提供してくれたのはその物件の元家主さんで、「興味があればぜひ取材を」とのことでした。

まゆといとでは空き家に関する話題を度々取り上げてきましたが、その多くが空き家を購入した側のお話。ですが今回は、空き家を手放した側からの情報とあって興味津々!

さっそく元家主さんと新しい家主さんの双方にお話を聞きに行きました。

 

 

 

 


 

 

 

思い出の詰まった実家を託す今井さんと、空き家を一棟貸しの宿『Jugoya villa』へと再生した森平さんのお話。

 

 

左から、一棟貸しの宿『Jugoya villa』の森平泉さん・建夫さんご夫婦、元家主の今井浩二さん。

 

 

~早い行動が吉!勇気を出して「空き家相談会」へ~

 

 

どのようにして空き家を手放すことになったのか、元家主の今井さんにお話を伺いました。

 

― こちらの家が空き家になった経緯を教えてください。

 

今井さん:ここは私の実家で、十数年前に父が亡くなってからは母が一人で住んでいました。私はここに20代まで住んでいて、現在は近所に住んでいます。母は数年前に体調を崩してから施設で過ごすようになり、それからは空き家状態になっていました。

 

〈今井さんは、誰も住まなくなった実家をどうしたらよいのか…と悩んでいた時に、富岡市が開催している「空き家無料相談会」を知ったそうです。〉

 

― 富岡市では定期的に「空き家無料相談会」を行っていますが、今井さんもご存じだったのでしょうか?

 

今井さん:富岡市の公式LINEで知りました。不動産のことは全く分からないので、自分から不動産屋へ行くのはちょっと怖くて不安だったんですが、富岡市がやっている相談会なら大丈夫かなと。家が古くなる前にどうにかしたいと考えていたので、思い切って相談してみました。

 

〈そこでの相談が、以前から物件を探していた森平さんとのマッチングに繋がります。〉

 

今井さん:実家は築45年くらい経っていて、空き家になったら時間が経つほど傷むでしょうし、早く次の人に渡せたらと思っていました。そうは言ってもすぐに買い手が見つかるとは思わなかったので、「興味がある人がいる」と聞いた時は驚きましたよ。しかも、リフォームして住むのかなと思っていたら…まさか民泊になるなんて夢にも思いませんでした。こんな所にお客さんが来るのかな?なんて(笑)。

 

 

一見すると普通の家のような外観

 

 

― 実際に引き渡すことになった時は、寂しくなかったですか?

 

今井さん:こんなに綺麗にしてもらって嬉しいですよ。この状態ならこれから何十年と家として保てるでしょうからね。それに、以前自分で敷地内にあった古い家や蔵を処分した経験からその大変さを分かっていたので、「誰かが引き取ってくれたらいいのに」と思っていたんです。だから寂しいと言うよりはホッとしましたね。

 

― 近所にお住まいになっていて、家が変わっていく様子も見ていましたか?

 

今井さん:見ていましたし、少しお手伝いもしました。その時に基礎の方も見させてもらったんですが、あまり傷んでいる所もなく、昔の家は丈夫だなと思いました。

 

 

すぐ近くには「大島の火祭り」が行われる山が。目の前で火文字が浮かび上がる様子が見られる特等席になります。

 

 

 

~壊すなんてもったいない。古いものに新たな価値を~

 

 

空き家になっていた今井さんの実家をリノベーションし、新たに一棟貸しの宿を始めた森平健夫さん・泉さん夫妻に、空き家への思いなどを聞きました。

 

 

一棟貸しの宿 Jugoya villa(ジュウゴヤヴィラ)

 

リビング

 

キッチン

 

 

― この物件に出会った経緯を教えてください。

 

健夫さん:以前から民泊にできる物件をずっと探していました。市内の別の物件を検討して、条件が合わずに断念したこともあります。そんな時にここの情報を聞いて、見に来てから3か月くらいであっという間に決まりました。

 

― 何が決め手になったのでしょうか?

 

健夫さん:予算と場所ですね。ロケーションが最高で、こんなに良い所はあまりないですよ。それに民泊で使用するとなると、近隣状況も大事な条件になります。すぐお隣に1軒ありますが他のお宅とは少し距離があるので、ここならご迷惑を掛けることも少ないかと思いました。

 

 

お隣さんは今井さんも良く知っている方で、気さくな方だとか。今井さんと森平さんの関係が良好なので、森平さんもご近所付き合いがスムーズにできているそうです。

 

 

― 森平さんは甘楽町でアンティークショップをされているそうですが、新たに民泊を始められたのはなぜですか?

 

健夫さん:昔からものを作るのが好きなので、古い家を自分たちで直して、売ったり貸したりしようかと考えていました。民泊も楽しそうだなというのと、お店で自分たちが扱っているもので空間を表現してみたいという気持ちもありました。

 

― それで空き家を活用しようと考えたのですね。

 

健夫さん:古いものは現代の量産されたものにはない良さがありますし、同じものをもう一度作るのは大変です。家だって、こんなに質のいい家をもう一度建てようとしたら、コスト的にも時間的にも難しいと思います。だから壊すのはもったいないですよ。

この家もしっかりしていて良い状態だったので、初めはサラッと直す程度にするつもりでした。ただ、この場所でお客さんを呼び込むには宿に魅力がなければと思い、納得いくまで手を入れて作ることにしたんです。

作業は友人に手伝ってもらったりしながら、できる限り自分たちでやりました。今井さんにも手伝ってもらいましたよね(笑)。

 

 

昭和の椅子や机、ライトなどのインテリアは、森平さんがショップで扱っていたもの。宿全体の雰囲気が素敵すぎます。

 

階段を降りようとすると…鳥獣戯画が好きな泉さんがそのイメージから装飾されたデザイン。ひとつひとつが可愛いです。

 

 

 

― Jugoya villaのホームページも拝見しましたが、実際に来てみると素敵なお部屋や小物ばかりですね。宿のお気に入りポイントはありますか?

 

泉さん:障子とフローリングなど、和と洋のテイストのバランスですね。照明は昭和の時代の物もありますし、家具もアンティークや自分たちでリメイクしたものを置いています。もともとの家の良さを残しつつ、和の雰囲気と現代っぽい感じを取り入れました。日本家屋ならではの過ごしやすい空間を楽しんでほしいです。

 

 

和室の掛け軸と襖の引手は泉さんのお気に入りなんだそう。どこか懐かしい昭和の雰囲気がある和室です。

 

古いミシン台の脚をリメイクしたテーブル。森平さんの手で古き良きものが現代に合った形で再生されています。

 

 

 

Jugoya villa のホームページ

 

 

 

 

 


 

 

 

空き家バンクを知ってほしい!!活用してほしい!!

 

 

もし皆さんの実家が「空き家予備軍」だったとして…

「空き家予備軍だけど、両親はまだ元気にしているから大丈夫」と思っていませんか?だとしたらなおさら今、家族で家のことを話してみませんか?

 

富岡市には増加する空き家の有効利用促進として、「空き家バンク」制度があります。これは空き家の売却・賃貸を希望する所有者からの物件情報を、空き家の利用を希望する人へ紹介する制度です。物件情報は、市のホームページや全国版の空き家バンクなどで公開されています。

 

● 空き家を放置せず有効活用しましょう⇒ 空き家大募集中! | 富岡市

 

 

 

「そうは言っても、古くなった家を欲しいと思う人なんているの?」 「昔の家って広くて使いづらいんじゃない?」と思う人も多いのではないでしょうか。

いえいえ、古くなった家を自分好みにリノベーションして住みたいと考えている人たちがいます。これまでまゆといとで紹介した移住者の中にも、空き家バンクを利用して希望に合う物件を見つけ、自分好みにリノベーションして富岡ライフを楽しんでいる人が多くいます。先ほど紹介した今井さんと森平さんのようなマッチングへ繋がることも期待できるのです。

 

 

☆古民家をリノベーションして妙義町でカフェを営む西尾さんの記事

古民家リノベーションのすすめ【古民家カフェ 桑庵】

 

☆築50年の中古物件を再建し英会話教室も開いているバチェラーさんの記事

TOMIOKAの魅力を伝えたい! バチェラーさん一家

 

 

空き家を所有している皆さん、空き家バンクに登録してみませんか?

登録には、登録申込書と必要書類を用意し市役所へ提出します。「書き方が分からない」とか「どんな書類を用意すればいいの?」など、不明な点があれば建築課がお手伝いしてくれますので相談してください。

 

空き家バンクに登録すると、家の中の家財道具の片づけに補助金を利用することもできます。(補助金の交付には条件がありますのでご注意ください。)

また富岡市では定期的に「空き家無料相談会」を行っています。今井さんも利用したこの相談会では、専門家が空き家の管理や処分など様々なアドバイスを行っていますので、ぜひお申し込みを!

 

 

● 空き家バンクについて富岡市 空き家バンク

● 空き家無料相談会について空き家無料相談会 | 富岡市

● 空き家を売却した事例を紹介しています空き家売却事例インタビュー | 富岡市

 

 

 


 

 

実家が空き家になるなんて遠い将来の話だと思っていた私も、家族で実家のことを話し合ってみようと思いました。

家に刻まれた懐かしい思い出に浸って昔話をするのも、楽しい時間となるのではないでしょうか。

皆さんもこの機会に、家族や自分たちの家の将来を考えてみませんか?

 

(カネコ)

 

 


 

 

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