富岡市の暮らしと移住のWEBマガジン
まゆといと

2023.10.06 生活、イベント等

「ふつうのまち」ってどんなまち?

みなさんは、富岡市にどんなイメージを持っているでしょうか。

世界遺産があるすごいまち? 自然豊かで過ごしやすい土地? 伝統を大切にする人情味あふれる地域?

 

私が持つ富岡市のイメージは、「The ふつう」です。

「世界遺産があるって普通なの!?」とツッコまれてしまうかもしれないので、世界遺産があるという点は一旦置いておいて、、、

富岡市での日常生活に目を向けてみると、生活に必要なものはほとんど揃う。少し出歩けば自然に触れられる。治安が良くて生活しやすい。何かがずば抜けていいという訳ではないけれど、色々なことが「ふつう」で平均点くらい。

この富岡市の「ふつう」という所が、多くの人々の暮らしやすさに繋がっているんだろうなぁと個人的には感じます。(まゆといと編集部員の移住定住物語~しおん編~でも語っています)

 

 

そんなことを考えていた私は、あるイベントの告知を見てびっくり。そのイベントのタイトルは《「ふつうのまち」の観光と地域づくりの話をしませんか ~市民・行政・関係人口でつくる「帰る旅」とは?~》 …「ふつう」って入ってるじゃん!

私の中の好奇心ボタンがぽちっと押された瞬間でした。

 

 

今回は、富岡市の今に迫るオンラインイベント《「ふつうのまち」の観光と地域づくりの話をしませんか ~市民・行政・関係人口でつくる「帰る旅」とは?~》 に参加した私、しおん目線でのレポートをお届けしていきたいと思います!

 

 

 


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おじさんの日課に隣町の若者が集まる?マダムと若手フォトグラファーのデート?富岡の今と2年間の歩み

 

 

今回のイベントは、富岡市観光協会がこの2年間行ってきた市民参加型の観光地域づくりを振り返り、「ふつうのまち」のこれからを考えるというもの。

プログラムは ①富岡まちあるきライブ配信 ②富岡の現状と観光協会の取り組み事例について ③地元参加者によるエピソードトーク&質疑応答 と、盛りだくさんの内容で進められていきました。

 

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①富岡まちあるきライブ配信 では、富岡市で活動されている伊藤さんと濵田さんが、富岡製糸場周辺のアピールポイントをお話ししながら街中をぐるり。

 

 

伊藤さん(写真左)、濵田さん(写真右)によるまち歩き風景

 

 

高校生の頃に自転車を飛ばしていた通りや、学校帰りに立ち寄ったことのあるお店が紹介され、当時を思い出しながら懐かしさに浸っていた私。すると、銀座通りには昔、映画館やダンスホールがあったらしいという話題が出てびっくり仰天!

今は静かでとても落ち着いている銀座通りですが、昔は多くの人で賑わっていたとのこと。きっと今とは一味違う雰囲気を纏った場所だったのだろうなぁと想像を膨らませました。

 

あっという間のまち歩きセクション。まちなかの魅力がぎゅぎゅっと詰め込まれた素敵な時間でした。

 

 

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次のセクション ②富岡の現状と観光協会の取り組み事例について では、「富岡の今」と、観光協会と市民の2年間の歩みが紹介されていました。

 

「富岡の今」として取り上げられていたのは、富岡で起こっているある “変化” 。

「地域のおじさんが日課にしている散歩に隣町の若者が集まる」「80歳近くのマダムと若手フォトグラファーがデート」「若者が地域の先輩にLINEとインスタを教える」など、気になる言葉がたくさん、、、笑

この他にも、「みんなでお弁当作り」「空芝DJ」「映画上映会」「写真展示」「スパイスカレーづくり」「親子で公園ヨガ」「生七味唐辛子づくりワークショップ」といった小さな交流の場が、たくさん生まれているというのです。

 

 

 

 

このような “変化” が起きたのは、観光協会と市民との2年間の取り組みがあったから。

 

富岡市といえば、世界遺産「富岡製糸場」が大きな魅力のひとつ。2014年の世界遺産登録をきっかけに周辺地域は突如観光地となりましたが、新型コロナウイルスの影響で観光客は激減。以前から富岡製糸場を訪れるリピーターが少ないことが課題だったこの地域は、ウイルスの影響でさらに閑散としてしまいました。

 

イベントがないとなかなか人が集まらない街中。そこで、「何度も訪れたい富岡」を目指して始まったのが『みんなの富岡フォト&エピソード展』(以下『みんなの富岡展』)

「ふつうのまち」からできる新しい発信の形として、市民の等身大の日常を発信する企画を始めたのです!

 

 

日常の1コマをパシャリ

 

 

人の温もりが感じられる手書きでのアナログ発信が、SNS時代だからこそ新鮮でいいなと感じました。

 

 

またその他にも、『観光地域づくりパートナーズカレッジin富岡』という市民参加型のワークショップも開催されています。

 

 

 

 

こんな地域で暮らすのはいやだなぁ…という視点から、地域の課題を自分事として捉え、世代も立場も異なる人たちが、互いの考えを共有し合う空間。

「みんなの考えを可視化すると、人の数だけ未来がある。」というお話がとても印象に残りました。

 

地域づくりに関わらず、意思疎通ができないと、何かを実現するというのは難しいものですよね。自分たちの暮らす地域をより良くするために、世代立場関係なく交流し合える関係性。これもまた富岡の隠れた魅力のひとつだなと感じます。

 

 

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最後のセクションは、③地元参加者によるエピソードトーク&質疑応答。立場や世代の異なる様々な人から見た「富岡の今」を知ることができ、とても有意義な時間でした。

 

中でも、私と同じ大学生という立場でこのイベントに参加していた、小林香凜さんに注目!

香凜さんの富岡市に対する思いを、深堀りして聞いてみました。

 

 

 


 

 

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富岡愛あふれる大学生 小林香凜さん

 

 

富岡市出身の香凜さんは、高崎経済大学の4年生。

市内の様々なイベントに参加することが大好きで、大学生活の中では『成人式実行委員会』『みんなの富岡展』『特撮おもちゃで遊ぶ会』『げんきフェスタ』に携わり、また今年は市内の養蚕農家をお手伝いしながら、養蚕についての卒業論文を書いているそうです。

 

 

高崎経済大学 地域政策学部4年 小林香凜さん

 

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「今の自分をつくったきっかけ」

 

香凜さん:今の自分に繋がったきっかけは、高校生の時にお手伝いをしていたイタリアンレストラン『イルピーノ』で、元富岡市移住定住コンシェルジュの濵田綾乃さんに出会ったことです。

地元のレストランを手伝い、お客さんやお店を経営するご夫婦と関わる中で、私は富岡市の人や富岡という地域の魅力に気付き始めました。そして、高校卒業後も富岡に残って地域活性の勉強をしたいと思い、地域政策学部に入学しました。

大学生になり、富岡にもっと関わってみたいと思っていた際に、濵田さんから「成人式実行委員会をやってみない?」と声をかけられ、喜んでお受けしました。成人式実行委員会の仕事では、富岡市の人や地域に触れる機会があり、実行委員を通して「富岡市で育ってよかった」と心から思いました。そして、「残りの大学生活は、富岡市での生活を噛み締めよう」と思いました。

 

 

実行委員を終えた後、濵田さんと成人式の振り返りをする中で、『みんなの富岡展』に作品を出展したいという気持ちを伝えた香凜さん。すると濵田さんはその日のうちに、実行委員である岡田新聞店の岡田さん、洋品店いりやまの入山さん、そして富岡市観光協会に、香凜さんを紹介してくださったそう。

そこからもどんどん人脈を広げ、その年には『みんなの富岡展』の学芸員ボランティアとして活動し、フォトグラファーのたかおさん(この記事内の画像の多くを撮影されています)やフリーライターの西さんなど、富岡に関わる市外の人々との繋がりも増えていったそうです。

 

ひとつの出会いからこんなにも多くの人と繋がることができる富岡。 私自身も、地域のお祭りやボランティア活動に参加している中で、富岡の人たちの懐の広さに驚かされます。「若いから」という理由で地域とうまく関われないなんてことは、絶対にありません。むしろ若者ウエルカムな雰囲気が、富岡のそこかしこにあるんです。

 

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「大きな一歩」

 

香凜さん:今年は、自分の中で大きな一歩を踏み出したことがあります。それは「大人も子供もみんなで遊ぼう」というテーマの、おもちゃで遊ぶ会を開いたことです。

岡田新聞店の岡田さんに特撮ヒーローが好きという話をしたところ、「岡田新聞店でイベントをやってみたら?」と声をかけていただき、同じ趣味を持つ友達と特撮ヒーローのおもちゃをお店に持ち寄って、2度のイベントを開催しました。

このおもちゃで遊ぶ会は、今後も開催したいと思っています。目標は、岡田新聞店に月に一回来ているカレー屋さんとコラボすることです。

 

 

子どもたちと一緒に遊ぶ香凜さん

 

 

自らイベントも行っている香凜さん。イベントに参加したり主催したりする中で、大切にしていることがあるようです。

 

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「できるときに、無理せず、できることをする」

 

香凜さん:私が地域と関わる中で大切にしていることは、「できるときに、無理せず、できることをする」ということです。これを軸に地域と関わることで、ありのままの私で、常に楽しく関わることができます。だからこそ、岡田さんに特撮ヒーローの話ができたし、カレー屋さんとも仲良くなれました。また、学生ならではのメリットとしては、就活で社会人の方とお話をする時に、物怖じせずありのままの私で面接をすることができました。

 

 

 

香凜さん:就活の中で、ある課題がありました。それは、「自分が心から応援してもらいたい人にエールメッセージを書いてもらう」という内容で、最終面接で提出するものでした。私は、家族と同じくらい地域の人の顔が濃く頭に浮かびました。富岡の人に書いてもらったエールメッセージを面接当日に持って行ったところ、社員の人に「社会人からのメッセージをこんなにたくさん貰って来る人は初めて見た」と言われました。その時に改めて、学生のうちに地域の人たちと関わりが持てたことに感謝したいと思いました。

 

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「これからのこと」

 

香凜さん:今後は、やってみたい仕事があり、富岡市からは遠く離れる予定です。就職先は、中学生からの夢のひとつだった職業です。

ですがいつのまにか、やってみたい仕事に挑戦することよりも、「富岡市に住んでいたい」という気持ちが大きくなっていました。それは、富岡が好きという気持ちが大きいためですが、富岡への愛を理由にチャレンジすることを避けていたとも思います。夢に向かって進むことが怖くて、失敗を恐れていました。そんな私の背中を押してくれたのは、富岡市という地域と、そこで暮らしている人たちです。

富岡で年齢性別問わず様々な人が、一人では成し得ないチャレンジをしている姿を見て、そしてその仲間に入れてもらえて、心の奥底に眠っていた夢に手を伸ばしてみようと思いました。困難な道とわかっていても、富岡のみんなみたいに、どんな困難もにっこり楽しめば、乗り越えられると思いました。ダメになっても、いつだって帰れる場所(富岡)があるから、やれるだけやってみよう。ワクワクする方向へ進んでみようと、決意できました。

だから、富岡市で関わった全ての人に感謝しています。

 

 

お話を聞きながら泣きそうになってしまった私。富岡でのたくさんの出会いが、香凜さんに大きなパワーを与えていたことが分かりました。香凜さんの中で富岡は、「離れたくない場所」から「帰りたい場所」へと変化していったんですね。

 

私も香凜さんも大好きな富岡。色々な魅力がありますが、若い世代が少ないというのが大きな課題です。このことについて、香凜さん目線の意見を聞いてみました。

 

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「富岡で暮らす若い世代を増やすには?」

 

香凜さん:まずは、富岡市が生活しやすい環境であることを知ってもらいたいです。スーパー、病院、学校など、生活で必要な施設は整っているし、富岡インターチェンジがあるので近県にも行きやすいです。さらに、物価も都会に比べると安く、暮らしやすいと思います。また、富岡市には移住者も多いです。住みやすい環境が整っていて、周りに仲間がいる富岡は、移住してなにか挑戦したいと思っている人には最高の場所だと思います。

あとは、仕事が増えたらもっと若い人は来るんじゃないかなと思います。ボランティアやイベントをきっかけに雇用や新しい仕事が生まれて、安定した仕事があれば、若い定住者は増えると思います。どんなに人や地域の雰囲気が魅力的でも、生活することができなければ、みんな富岡から出ていってしまうと思います。住みやすい環境が整って、頼りたいと思った時にいつでも頼れる活発な人たちがいるという情報が発信されていくと、若い人が長く定住することを視野に入れてくれると思います。

 

 

同じ大学生として、地元に安定した就職先があるかどうかは私も重要な所だなと感じます。 どんなに暮らしやすい地域でも、生活の基盤となる「仕事」が安定しなければ、進学後に地元へ帰ってこようというビジョンはどうしても描きにくくなってしまいますよね。

 

でも!香凜さんの言うように、富岡には挑戦する人を応援する風土があります。富岡出身の人もそうでない人も、挑戦したい何かを持っている全ての若い世代に、富岡市を挑戦の舞台としておすすめします!

 

 

 


 

 

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次へのお誘い

 

 

観光協会の取り組みとしてご紹介した、市民参加型のワークショップ『観光地域づくりパートナーズカレッジ in 富岡』。人とまちの「しあわせなつながり」を考える学びの場は、今年度も開催が決まっています!(10/10 から申し込み開始です)

 

【開催日程】

11 / 8(水)

11 / 14(火)

11 / 28(火)

12 / 6(水)

いずれも 19:00〜21:30

 

◎こんな方におすすめ

・今のライフスタイルにもやもやを感じている

・家庭と職場以外に安心して帰れる場所が欲しい

・本音を聞き合える関係が欲しい

・デザインや写真など、表現者としてのキャリアに一歩踏み出せる場を探している

 

 

上にあげたこと以外でも、現状を変えるチャレンジをしたい全ての人に、このカレッジをおすすめします。ふつうのまち富岡ならではの「人の温かさ」が、皆さんを虜にすること間違いなしです!

 

このカレッジには誰でも参加することができます。富岡生まれでなくても、富岡に実際に足を運べなくても大丈夫です。対面でもオンラインでも繋がることのできるこのカレッジで、新たなチャレンジをしてみてはいかがでしょうか。

 

 

●最新のお知らせ

観光地域づくりパートナーズカレッジin富岡 Facebookページ

 

●過去のワークショップの様子

観光地域づくりパートナーズカレッジin富岡 Note

 

 

 

 

 

(しおん)

 

 


 

 

『みんなの富岡フォト&エピソード展』で富岡の思い出を作ろう!

富岡市観光協会 ダミアン・ロブションさん

成人式実行委員をやって気づいた大切なこと。そして次のステップへ――