富岡市の暮らしと移住のWEBマガジン
まゆといと

2025.06.13 地域で働く

【cafe COVO(カフェ・コーヴォ)】 須賀 一郎さん

「こんなところにイタリアンのお店があったなんて…」

今から3年ほど前、住宅街にたたずむ可愛らしいお店を発見した私は、まるで宝物を見つけたようなようなワクワクした気持ちになりました。

手作りの看板や外壁に描かれたイラストに親しみを覚えながら店内に入ってみると、そのアットホームな雰囲気にとても居心地のよさを感じたことを覚えています。

 

実はその日から、「いつかマスターにこのお店を作ったお話を聞いてみたい」と、ひそかに時が来るのを待っていたのです。

 

同じ思いを持っている方は、きっとたくさんいらっしゃるはず───

ということで私マツオがみなさんを代表し、『cafe COVO』店主の須賀一郎さんにお話を聞いてきました。

 

 

 

【cafe COVO(カフェ・コーヴォ)】

富岡市出身の須賀一郎さんが2021年5月にオープンしたカフェレストラン。 店名のCOVOはイタリア語で「隠れ家」を意味している。一番人気のプレートランチ(ランチタイムのみ)は、前菜、スープ、サラダ、パスタまたはリゾット、ドリンク、ドルチェを楽しむことができる。

 

 

 


 

 

 

「自ら作る」を楽しむ暮らし

 

― 住宅街でお店を始めた理由を教えてください。

 

須賀さん:元々ここが自宅で、いつか自分の家でお店ができたらいいなと思っていました。以前はアクセスのしやすい国道沿いに店舗を借りて飲食店をしていたこともあったんですが、家賃などの経費がかさんで、経営がうまくいかなかったんです。そんなこともあり、自宅兼お店という現在のやり方は気が楽ですね。あまり座席数を増やしたいとも思わないし、大勢のお客さんが来ても対応できないので、この小さな店が身の丈に合ってちょうど良いです。

 

 

お店の一角には居心地の良い個室スペースも

 

 

― 店内はあたたかさを感じる素敵な雰囲気ですね。室内の絵画や壁の装飾などは、須賀さんの手作りなのでしょうか?

 

須賀さん:はい。絵やインテリアだけでなく、この建物を飲食店仕様にするために自分の手でリフォームしています。「二階建ての自宅をリフォームして一階を飲食店にしよう!」と思いついてからすぐに作業に取り掛かり、4ヶ月かけて一人でこの店を仕上げました。一階部分の天井を高くして壁を塗り替え、カウンターやテーブルも手作りです。

若い頃から趣味でDIYをしていたので、お店作りも楽しみながら取り組みました。県内のいろんなレストランやカフェを訪れ、雰囲気の良い内装の店があれば参考にさせてもらったりして…いいとこ取りをしているんです。

 

 

 

 

ーすごい行動力ですね!ここまで器用にできるとは脱帽です。

 

須賀さん:器用貧乏と言ってはなんですが、興味があることをやってみたいという性分なんでしょうね。他にも趣味でやっていることがいろいろあって、バイクも古いものを安く譲ってもらってピカピカに手入れしたりしています。でもバイクには乗らないんですよ、綺麗に仕上げる過程が好きなので(笑)。

最近は長野県の佐久エリアの空き家を購入し、自分でリフォームして山小屋を作っています。そこは趣味を楽しむ家にしようと思っているんです。いつか「自分だけのカフェ」をつくりたいな、と思ってね。 佐久にはこの辺では見かけない変わった野菜を売っている直売所があるので、珍しい野菜を見かけたら買ってきて、お店で提供したりもしています。

 

― 人生の第二章を楽しんでいる様子が感じられます!佐久で採れる珍しいお野菜も食べてみたいです。

 

 

ハートの風船にはかわいい仕掛けがあるんです。

 

 

 


 

 

 

活気に満ちた料理人時代を経て

 

― 須賀さんのこれまでの経歴をお聞かせください。

 

須賀さん:実家は市内の額部で養蚕とこんにゃく農家をやっていましたが、私は料理人になりたかったので家業を継がずに上京し、料理の道へ進みました。その後、群馬に戻って飲食の経験を積み、この店を始める前は市内のゴルフ場レストランで29年間勤め、料理長をしていました。バブル真っ只中のゴルフ人気の頃に働いていたので、ゴルフ場のレストランも大忙しでしたし、厨房の勢いもすごかったです。みんな活気があってね。

 

― ゴルフ場のレストランではどんなお料理を作っていたんですか?

 

須賀さん:和洋中すべてのジャンルを提供していたので、何でも作りましたね。もとは洋食が専門だったんですが、ゴルフ場では長いあいだ和食を担当していました。なので、お寿司を握るのが得意なんですよ。

当時は和包丁を揃えて持っていたんですが、今はもう使わなくなったのでメルカリで売ってしまいました(笑)。和包丁が手元にあると、また和食をやりたい…って気持ちになっちゃうかもしれないから。もう和食は十分やったし、あまり色々なことに手を出さないようにしないと、と思っているんです。

 

 

生パスタを使った季節のメニュー

 

 

 


 

 

 

だれでもウェルカム!気軽に寄れるお店に

 

― 須賀さんがこのお店で大切にしていることはなんでしょうか?

 

須賀さん:あまり「こだわらない」ことを心がけています。食材に関してもこだわりすぎないようにしています。うちのお店では、みなさんに安心して気軽な食事と店の雰囲気を楽しんでもらいたいので、その時に手に入る旬の食材や安定した価格の食材を使用し、あまり原価を高くしないよう工夫しています。おいしくて懐にも優しい方がいいですよね。

 

 

女子会プランには人気のチーズフォンデュも

 

 

― この地域でお店をやっていて何か感じることがあればお聞かせください。

 

須賀さん:住宅街の店ということもあり、懇意にしてくださっている近所の方から「歩いて行ける距離に飲んだり食べたりできる場所ができて嬉しい。これからも長くお店を続けてくださいね」と言っていただけることが嬉しいです。

そして、週末になると近くのもみじ平総合公園を利用する家族連れの方が多く来店してくれるんです。うちの店は離乳食の持ち込みもオッケーだし、お子さんに大人のパスタを取り分けてもらうのも大歓迎です。みんなが笑顔で食べてくれたら嬉しいし、お子さんを連れた若い家族を見ていると応援したい気持ちになります。

店を始めて4年経ちますが、この店が年齢を問わずだれでも気軽に利用できる場所になっていることは嬉しいですね。

 

 

 

 

〈店舗情報〉

■営業時間:

ランチタイム 11:30〜15:00(14:30LO)

ディナータイム 17:00〜21:00(20:00LO)

■定休日:月・火曜日

【お店のインスタグラム】

 

 

 


 

 

いかがでしたか?

「なんでも作ることが好きなんですよね」 そうお話しする須賀さんの表情はとても柔らかく、今の暮らしを楽しんでいることが真っ直ぐに伝わりました。

 

自身の手で創り出した「隠れ家カフェ」は、おいしい食事をいただけるとともに、須賀さんの優しさと遊びゴコロで溢れています。

ぜひみなさんも足を運んでみてくださいね!

 

(マツオ)

 

 


 

 

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