みなさんは《国際交流》にどんなイメージを持ちますか?
「外国人と話すことかな。。」
「海外の暮らしや文化を知ることかな。。」
普段の暮らしのなかに国際交流を取り入れるって、ちょっとハードルが高い…
なんて思っている方も多いのでは?
じつは、私たちの身近でできる国際交流があるんです。
富岡市では20年以上前から、
地域に暮らす外国人へ日本語を学ぶ機会を提供する
という草の根レベルの国際交流活動を行っています。
富岡市にはたくさんの工業団地があり、この地域に暮らす外国人労働者の人口も年々増えています。そんな彼らが日本の文化や言語を学び、この地域で暮らしやすくなるようにさまざまなお手伝いをしているのが、『富岡市国際交流協会』です。
【富岡市国際交流協会】
1996年設立。 地域に住む外国人と交流することにより、お互いの文化を知り、それぞれの文化背景を理解した上で、みんなが暮らしやすい街づくりに取り組んでいます。
年間を通して下記のような様々なイベントや活動を行っています。
◎国際交流まつり ◎日本語を学ぶ会 ◎日本語スピーチ発表会 ◎ハイキング&座禅体験 ◎浴衣着付け体験教室 ◎フランス語講座 ◎バスハイク ◎交流プログラムを取り入れた海外研修旅行
これらの活動のなかで今回注目するのが《日本語を学ぶ会》です。
その特徴は…
✔ 年間を通して行われている日本語教室の参加費はなんと無料!
✔ 日本語を教えているのは地域に暮らすボランティアさん!
どんな活動をしているのか興味が湧いてきました。さっそく調査に向かいましょう☆
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みんなでワイワイお話しましょう♪
生涯学習センターで木曜午後7時から行われている《日本語を学ぶ会》にお邪魔しました。
この日はインドネシア人・タイ人・フィリピン人・ベトナム人・スリランカ人・アメリカ人の生徒さん15名が参加し、日本人のボランティア講師は7名です。
生徒さんはそれぞれ在日年数が違うので、日本語が流ちょうに話せる方から、あいさつ程度なら話せるという方まで、日本語のレベルに開きがあります。
「みんなのレベルが違うけれど、どうやって日本語を教えるのかな?」
と、これから始まる授業に興味シンシン。
次々と教室に集まる生徒さんたちがテーブルやイスをせっせと運び、テキパキと教材を並べています。
その光景を見ていると、みんながこの場に集まることを喜んでいるように感じました。
教室内にはあっという間に6つのグループが出来上がりました。
各グループの生徒さんの人数は2〜3名。友達同士で同じグループに座る方が多いのですが、初めて参加する生徒さんの横にはベテランの生徒さんがピッタリ並んでサポートします。
それぞれのグループに日本人講師が1名ずつ入り、授業がスタート!
この日は「日本のバレンタインデーについて」というお題でグループごとに会話をしていました。和気あいあいとして、どのグループにも笑顔が溢れています。
各グループを回りながら授業風景を見学していると、講師の方から 「マツオさんも先生をやってみませんか?」とのご提案が。
「…私がいきなり教えちゃっていいんですか?」 と不安もありましたが、みなさんの温かい雰囲気に背中を押されてトライすることに!
同席してくださった生徒さんは、インドネシア人の(左から)ヌルさん、ウディーさん、スダルさんの3名です。
まずは自己紹介。ヌルさんとウディーさんは昨年から日本に働きに来ているとのこと。スダルさんは日本に暮らして5年ということで、日本語がとってもお上手です。
みなさんに家族の話や日本で行ってみたい場所などの質問をしてみると、笑顔で答えてくれて会話が弾みます!
日本とインドネシアの習慣の違いや食べ物の趣向など、私から次々と聞きたいことを質問しているとあっという間に授業時間は終了。堅苦しさなど全くない日本語教室となりました(笑)。
この教室に集まっている生徒さんの多くは富岡市内や近隣地域でお仕事をされている方だそうで、日中の仕事が終わってからにここへ学びに来ているそうです。
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多国籍なともだちと一緒にまなぶ日本文化
生徒さんにもっとお話を聞いてみたい!ということで、日本に2年間暮らしているという、フィリピン出身のロナさんにお話を聞きました。
フィリピン出身のロナさん
ー 《日本語を学ぶ会》のどんなところが好きですか?
ロナさん:このクラスでは日本人の講師と対面して会話ができるので、家で日本語の本やビデオで学んだことを実践できる場となり、とても気に入っています。さらに、ここへ来ているさまざまな国籍の人たちと友達になることもできます。
昨年は国際交流協会のイベントで浴衣の着付け・陶芸・茶道・座禅・崇台山ハイキングなど、たくさんの日本文化を体験することができました。また、富岡製糸場で行われた日本語スピーチ発表会では、日本の文化やフィリピンの文化について自分の考えを発表したり、外国人として日本での生活を紹介できたことも、貴重な経験となりました。
富岡製糸場で行われた日本語スピーチ発表会での記念撮影
ー 日本語を教えてくれる先生のどんなところが好きですか?
ロナさん:ここで教えてくれるすべての先生を本当に尊敬しています。みなさんとても優しくて寛大で、素晴らしい先生ばかりです。先生たちは私たちの日本語を上達させるために忍耐強く接し、ベストを尽くしてくれます。日本語教室に対する先生たちの献身的な姿勢や、私たちが日本でより快適に暮らせるよう、言語や文化を学ぶ手助けをしてくれる先生たちの情熱に感心します。私はボランティアの先生方にいつも感謝しています。
ー 授業の様子を見ていると、ここへ集まっている先生や生徒さんがお互いを思いやる気持ちを大切にしていることが伝わってきますね。
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みんなを迎えるあたたかい場所に
講師の方にもお話を伺いたい!ということで、富岡市国際交流協会副会長であり《日本語を学ぶ会》講師の須藤千賀子さんにお聞きしました。
富岡市国際交流協会副会長の須藤千賀子さん
ー 須藤先生はどのようなお気持ちで国際交流協会の活動をされているのでしょうか?
須藤さん:日本人・外国人に関係なく、この地域のみんなが居心地よく暮らせていけたらいいな、と願っています。今はインターネットが普及して世界中の色々な情報が手に入る時代だけど、実際に外国人を目の前にすると、ちょっと緊張したり身構えてしまう方もいらっしゃいますよね。そんな、外国人に接するときに感じる特別感がなくなるといいなと思っています。
言葉や文化・習慣が違っても私たちはみんな同じ人間なので、お互いをわかりあって、楽しく暮らせたらいいですよね。
ー 実際に日本語講師のボランティア体験をしてみたら、思っていた以上に楽しい時間でした。毎回このようなリラックスした雰囲気でレッスンをしているのでしょうか?
須藤さん:日本語教室を長い間やってみて、これが一番いいかな?とたどり着いたスタイルですね(笑)。生徒さんたちが楽しく会話できる雰囲気を大切にしています。
生徒さんたちのなかには日本語を学ぶだけではなくて、安心できる場所、友人に会える場所、自分の居場所としてここへ通っている方もいます。なので、いつでも温かくみんなを迎え入れてあげたいんです。
ー たしかに、遠く離れた国から日本へ働きに来て、言葉や習慣に慣れないうちは不安なこともたくさんありますよね。私も海外暮らしの経験があるので、孤独を感じたり、困ったときに誰に頼ればいいのか?なんて経験がたくさんありました。 そんな生徒さんたちにとって、この《日本語を学ぶ会》の存在はとても大切で大きなものでしょうね。
ー 今までの活動をふり返って、どんなことを感じますか?
須藤さん:およそ20年間この活動を続けてきたなかで、最初の頃はボランティア講師の確保もままならず、授業を定期的に続けることが難しいこともありました。その反対に、生徒さんが一人も来ない…という日もありました。そのような日々を経て、日本語教室の在り方などを試行錯誤し、コツコツと続けてきたおかげで、 いまではしっかりと地域に根付いているという実感があります。これからもこの地域で、日本語を気軽に学べる場を持ち続けたいと思っています。
ー これからどのような活動をしていきたいですか?
須藤さん:今まで教室の存在を知らなかったたくさんの方に、この活動を知って頂けたら嬉しいです。そして、多くの方に日本語講師のボランティアに来てほしいですね。富岡にいながら海外の文化を知り、体感できる場になっていると思います。
みなさん最初は「私に講師なんてできるのかな?」って不安に思うでしょう。でもやってみるとその不安が吹き飛んじゃう! ここに通っている生徒さんはまっすぐで素直な方ばかり。「学びたい」というピュアなエネルギーに満ちていて、授業が終わるとこっちが元気をもらっているという…良い循環ですよね。
興味があればどなたでも講師になれますから、ぜひ一度見学に来てください!日本語を学ぶ教室ですが、文法をきっちりと教えるような場ではなくて、楽しみながらコミュニケーションを取れればOKです!
☆☆☆ ボランティアさん大募集 ☆☆☆
《日本語を学ぶ会》ではボランティア講師の方を随時募集しています。ご興味のある方はぜひ一度見学にお越しください ♪ 高校生や学生さんのご参加も大歓迎です!毎週来られなくてもいいので、自分のペースでムリなく始めてみませんか? まずは【富岡市国際交流協会】へお問い合わせください
☎0274-62-8232
《日本語を学ぶ会》
日時:毎週木曜日 19:00~20:30
※毎月第五木曜日は授業はお休みになります。
場所:富岡市 生涯学習センター
いかがでしたか?
私がこの《日本語を学ぶ会》を知ったのは、市の英語教育・ファングリッシュ事業を取材したときのこと。 定期的に取材をしているALTの先生の日本語がみるみる上達しているので「どうやって日本語を勉強しているの?」と聞いたところ、「市内で無料で学べる場所があるの!」と答えが返ってきたんです。
そこで興味を持った私は、取材中に初めてボランティア講師の体験をすることになったのですが…こんなに気軽に参加できるなんて!と、気さくで入りやすい雰囲気に嬉しい驚きがありました。
さらに印象的だったのは、教室全体が講師のみなさんの優しさに包まれていること。生徒さんにとって『心のよりどころ』『自分の居場所』として、《日本語を学ぶ会》が大きな存在になっているのだと実感しました。
「海外に興味があるけど、なかなか旅行に行けない〜!」「いろんな国のお友達を作りたい!」そんな方にオススメなのが日本語講師のボランティアです。 あなたも “身近でできる国際交流” してみませんか♪
(マツオ)