毎年多くの人が訪れる『丹生の丘ひまわり畑』。
丹生湖近くの丘一面を彩る11万本のひまわりは、夏の富岡市を代表する風景の一つになっています。
ですが、その景色は毎年当たり前に見られるわけではありません。
昨年は水不足の影響でひまわりが育たず、何度も種をまき直したものの、開園することができませんでした。
その出来事を受け、今年は新しい品種の種を購入し、ひまわりは見事に開花。
私はその流れをSNSで見守りながら、「このひまわり畑を管理している人は、どんな想いでこの景色を守り続けているのだろう」と、どうしても知りたくなったのです。
そこで今回は、丹生の丘ひまわり畑を管理する尾高潔さんに、ひまわり畑を始めたきっかけや、毎年続けている理由、花が咲くまでの舞台裏についてお話を伺いました。

【尾高 潔(おだか きよし)さん】
富岡市出身。農事組合法人こだま組合長、㈱尾高アーク商事代表取締役社長。丹生地区で休耕地を活用した大豆や米の栽培に取り組みながら、丘の上に広がる約2.5ヘクタールの「丹生の丘ひまわり畑」の管理を行っている。
先代の遺志を継いだ丘の上のひまわり畑
― 今では市内外から多くの人が訪れるひまわり畑ですが、始まりはいつ頃だったのでしょうか?
尾高さん:2008年に、親父が農事組合の仲間たちと始めました。もともとは、休耕地を活用しようと自家用の野菜や花を作っていたんだけれど、畑が広くなりすぎてしまって。それで、「みんなが楽しめるものを」ということで、ひまわり畑に変えたんです。
― 尾高さんがひまわり畑を引き継いだのは、いつ頃からですか?また、なぜ引き継ごうと思ったのでしょうか?
尾高さん:親父が亡くなって今年で8年目で、引き継いだのは具合が悪くなってからだから…10年くらい前からかな。
親父の最後のひまわりが咲いた時に、具合が悪くなった親父を畑に連れてきたら、こう言ったんですよ。「俺がやってきた中で残ったのは、これだけだな」って。その言葉が大きかったですね。やっと知名度も上がってきたところだったので、続けていこうと思いました。
トラクターなどの農業機械も、すべて先代・久勝さんが残したものだそう
自然と向き合いながら育てる11万本のひまわり
― ひまわりの栽培管理で一番大変なことは何ですか?
尾高さん:一番多いのは除草作業で、種をまいてからは毎週畑へ来ています。広い場所は大型の機械が使えても、ひまわりの間は手押しの機械で刈るしかないので、一度刈るにも何日もかかるんです。
他に大豆の畑や田んぼもあるので、全部回るころには最初に刈ったところが元通り、いや、それ以上に伸びていて。毎日草刈りですね。
― 除草剤を使っていないのですね。畑は何人で管理されているのでしょうか?
尾高さん:ほぼ自分一人でやっていて、パートさんが一人手伝いに来てくれています。あとは、せがれも手伝ってくれます。
― そんなに少ない人数で管理されていたとは…!でも息子さんが手伝ってくれるのは嬉しいですね。
開花後も除草作業は続きます
― 花が終わった後にはどんな作業がありますか?
尾高さん:コンバインで種の収穫をして、残りを刈って畑にすき込みます。種は次の年にまくので、なるべく熟すまで置いておきたいんだけど、熟したところから鳥が食べに来るんですよ。
― 翌年のための大切な種、しっかり確保したいですよね。種まきはいつ頃行いますか?
尾高さん:お盆に見頃を迎えるように、5月末から6月にかけて種をまきます。ひまわりは開花まで90日と言われるけれど、60〜65日くらいから咲き始めるので、それを逆算してます。ただそれがちょうど梅雨の時期で、雨が降ると畑に入れないので、毎年タイミングが難しいですね。
あとは芽が出始めると、キジが食べに来るんです。双葉を食べられてしまうと、もうそこから伸びることはありません。
ひまわりの双葉(種から最初に出る葉)
― せっかく発芽しても、食べられてしまうことがあるんですね…。お盆の時期に見頃を迎えるようにされているのは、何か理由があるのでしょうか。
尾高さん:親父が亡くなってから、お盆と12月の命日に、丘の上で打ち上げ花火を上げているんです。お盆は迎え盆ということもあって、見に来る人も、それぞれいろんな気持ちで見てくれているのかなって思っています。
― ひまわりと花火の共演を見てほしいという想いからなんですね。種まきの時期をずらしているのは、長く楽しんでもらうためですか?
尾高さん:そうですね。今年は2回に分けました。でも1週間ずらしても、意外と同じ頃に咲いたりするんですよ。同じ日に同じ種をまいても、伸びる高さが場所によって違ったりするんです。
今年は1回目にまいたひまわりが、たまたま手前が低くて、奥の方が高くなったので、高低差のある良い景色になりました。
その年によって異なる風景も楽しみのひとつ(撮影日:2026年8月1日)
家族が支える尾高さんの挑戦
現在、丹生の丘ひまわり畑の公式Instagramは、尾高さんの娘の奈桜さんが管理しています。細やかな情報発信を通して、この場所の魅力を多くの人へ届けている奈桜さんにもお話を聞きました。
― お父さんの活動をSNSで発信する形で支えているのは、どのような気持ちからでしょうか?
奈桜さん:祖父の死をきっかけに、父はすべてを受け継ぎました。0からのスタートで右も左も分からないまま、「自分の会社も祖父のやっていたことも、すべてを止めたくない」と、一気に背負って奮闘してきました。他のひまわり畑にはなかなかない、個人での維持や、無農薬・化学肥料不使用にこだわる姿を娘として近くで見てきたので、多くの人に知ってもらいたいと思ったからです。
来園者との交流の場にもなっている公式Instagram
― 家族として、お父さんがひまわり畑を続けている姿を見て、どのように感じていますか?
奈桜さん:父は祖父と同じく、人を喜ばせることがとにかく好きで、幅広い世代に愛される人です。お客様に楽しんでもらいたい気持ちはもちろんあると思いますが、ひまわり畑を守り続けることや、祖父を想って年2回ひまわり畑で開催している花火大会には、父なりの祖父への愛情や恩返しの気持ちが込められているのかなと感じています。
協力金のお願いも娘の奈桜さんが制作。姉弟で父の挑戦を支えています
訪れる人の笑顔が何よりの喜び
― 『丹生の丘ひまわり畑』ならではの魅力は、どんなところだと思いますか?
尾高さん:やっぱり、丘の上っていう立地ですよね。ひまわり畑はあちこちにあるけれど、来た人から「ここはいいね」って言ってもらえることが多いです。期間中に何度も来てくれる人や、朝日や夕日を撮りに来る人、「枯れたひまわりが撮りたい」なんて人もいますよ。
― いろいな方が撮影した素敵な写真を、SNSでよく見かけます。写真がSNSで広まり、多くの方がひまわり畑を訪れるようになったことについてはどう思いますか?
尾高さん:見てくれる人が増えたことは嬉しいです。投稿された写真を見ると「ああ来てくれたんだな」って、張り合いになりますね。
時間帯や角度によってさまざまな表情を見せる、丘の上のひまわり畑
― ひまわり畑は多くの人にとって、富岡市を訪れるきっかけになっていると思います。尾高さんは生まれも育ちも丹生だそうですが、この場所が好きですか?
尾高さん:好きですね。一時期は東京に憧れたこともあったけど、仕事でいろんな地方へ行って、やっぱり住めば都というか、「どこもいいな」って思うようになりました。
― 最後に、これからの『丹生の丘ひまわり畑』について教えてください。
尾高さん:まずは続けていって、もっときっちり咲くようにしていきたいですね。見に来てくれた人が喜んでくれたら、それが一番嬉しいです。
尾高さんが教えてくれた、ハートマークがついたひまわり。みなさんも探してみてください♡
【丹生の丘ひまわり畑】
〈開園時間〉7:00〜18:00
◎開花状況は 公式Instagram をご覧ください。
◎ドローン撮影、コスプレ撮影、来園の際の注意点などは、『しるくるとみおか』のページ をご確認ください。
◎維持管理のため、駐車協力金として500円をお願いしています。訪れた際は、ぜひご協力ください。
終始ニコニコと、明るい笑顔でお話をしてくれた尾高さん。
このひまわり畑を個人で守り続けていくことは、決して簡単なことではありません。
ですが、その根底には、「家族への愛」と「みんなに楽しんでもらいたい」という純粋な気持ちがあるということを、取材を通して感じることができました。
これからもこの場所に、たくさんのひまわりと笑顔が咲くことを楽しみにしています。
また、丘の下にある丹生湖周辺では、地元住民でつくる「丹生環境保全会」によるひまわり畑も同じ時期に見頃を迎えます。
そちらの開花状況やイベントなどの情報は、丹生湖ひまわり畑のInstagram をご覧ください。

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