ドーナツって見た目のフォルムが可愛くて、食べたらとふわっと甘くて…最高のおやつですよね。子どもから大人までみんなに愛されているおやつ界の人気者・ドーナツ。その専門店が昨年、市内にひっそりとオープンしていたんです。
『まゆといと』の編集会議でも、このドーナツ屋さんが何度も話題になっていました。
「仕事の昼休みに行ってみたら、すでに完売でした…」「見た目もオシャレで、食べたらふんわり美味しかったー♪」「気になるお店ですね、ドーナツ食べてみたいな~」
(そうなんです、私たちの会議はこんなにもゆるいカンジなのです…笑)
完売必至のドーナツをどんな人が作っているのかな?
お店の場所は住宅街の一角ってホント!?
色々なギモンが頭に浮かび、結局のところ「どうしてもドーナツが食べたい!」モードに入ってしまったマツオが調査に向かいました。
【CHUM DONUTS(チャムドーナツ)】
2024年4月にオープンしたドーナツ専門店。店主の吉澤あゆみさんが一人でドーナツの製造・販売を手掛けている。住宅街にある小さなドーナツ屋さんには、こだわりの材料で丁寧に作られた様々なフレーバーのドーナツが並ぶ。
営業日や季節の商品などはインスタグラムでお知らせしています。
インスタグラム⇒@chum_donuts_
憧れだった『自分のお店を持つ』という夢に向かって
CHUM DONUTS店主の吉澤あゆみさんにお話をお聞きしました。
― ご自身のお店をオープンしたきっかけをお聞かせください。
吉澤さん:私は昔から、お裁縫やお菓子作り、家のDIYなどの “暮らしを彩るものづくり” が好きで、特に日常的に作っているお菓子やパンを仕事にできたらいいなぁ…と日頃から思っていました。お菓子を作る時にいつも頭の中でイメージしていたのは「誰かにプレゼントするならどのように作るのがベストかな?」ということで、家庭で〈お店で売っているようなクオリティー〉を目指すことが私の趣味だったんです(笑)。
そんなお菓子作りが大好きな私は、今までの販売業や飲食店に勤務した経験を経て、だんだんと自分のお店を持つことを意識するようになりました。そして子育てが一段落した頃に、群馬県商工会連合会が主催する『ぐんま創業スクール』が妙義商工会で開催されることを知り、勇気を振り絞りこちらに参加したんです。
― 創業スクールに通い、改めて「自分のお店を持ちたい」という気持ちが固まったのでしょうか?
吉澤さん:スクールに通ってみたら、「お店を持つ」ということが「夢を妄想する」ということとは全然違ったんです。この時に、商売人として何を考え、どう実行すべきなのかを猛烈に考えさせられました。
本やネットで得る情報は誰でも簡単に入手できるものなので、すぐに忘れてしまいますよね。ですがスクールでは、毎回宿題を持たされた気持ちになりましたし、人生で一番頭を使ったと思います(笑)。このスクールに通ったおかげでおしりに火が付いて、「まずは行動しないと!」という意識が高まり、すぐに開業準備に取り掛かりました。
― 富岡市では【創業者スタートアップ応援事業補助金】という制度があるので、これから起業を考えている方にはぜひ参考にしてほしいですね。
吉澤さん:そうです!私も市の産業振興課の方にいろいろと相談し、補助金のことを教えてもらうなど、ずいぶんと助けていただきました。市内で起業を考えている方には、一度相談に行くことをお勧めします!そして私のように「自分のお店を持つ」という夢に向かって行動し、起業する仲間が増えたら心強いですし、地域の活性化にもつながるので楽しみです!
商品のラインナップは毎月変わります
― ところで、吉澤さんはなぜ「ドーナツ屋さん」になられたのですか?
吉澤さん:「ドーナツがあるところに幸せあり!」という言葉が常に私の心の中にあって、私自身もドーナツを作っているとワクワクが止まらないんです!みなさんが過ごすちょっとした休憩時間や仲良しタイムに、甘くてふわふわなドーナツをお届けできたらいいな♡と心から思っていて、そこからドーナツ専門店に決めました。
仕事も家庭もパワー全開
― 主婦としても忙しい毎日を送る吉澤さんは、どのようなバランスで仕事と家庭のことをされていますか?
吉澤さん:仕事と家庭と自分時間のバランスをどんな風に配分するのか、ということはあまり考えていませんね。現在は仕事も家庭も自分のことも、すべてパワーMAX状態です(笑)。もちろん家族の理解や協力があって自身のお店の営業ができているわけですが、世の中の母・妻がこなす家庭内の仕事って無限にありますよね。名も無き家事は永遠に…です。
私はやりたかった仕事をさせてもらっているので、仕事と自分の好きなことはイコールになっています。なので、バランスを保ちながら暮らすというよりは、好きなことを続けられている「今の暮らし」を大切にしていきたいです。
― お店を始めてからは生活のリズムも変わったのでしょうか?
吉澤さん:だいぶ変わりましたね。営業日の前日に仕込みをしておいて、営業日の朝は午前3時頃から製造に取り掛かります。その後一旦自宅に帰り、会社勤めの家族のためにお弁当を作ったり、愛犬のお世話や夕飯の下ごしらえなどの家事をこなしてから、また店舗に戻り開店準備を再開します。早朝からやることが多くてバタバタですが、自分のやりたいことをしているので仕方ないですね。
― 結婚を機に東京から移住されたそうですが、富岡での暮らしや今までの子育てはいかがでしたか?良い部分や大変だったことなどがあればお聞かせください。
吉澤さん:私が富岡市に移り住んで24年が経ちます。当初は慣れない環境での子育てに戸惑いを感じ、たくさん泣いたこともありました。そんな私もいつしか立派な群馬弁を話すようになり(笑)、“住めば都” という言葉の通り、この地域にずいぶんと馴染んでいます。
そして富岡市での暮らしは、毎日が穏やかで空気も綺麗で、ゆっくりと時が過ぎていくように感じています。都会で育った私の記憶の中の風景は、夜はネオンや外灯で明るく騒々しくて、空は電線だらけというイメージなのですが、この辺りはちゃんと夜は真っ暗になるし、空も高くて澄んでいる。自然豊かなこの土地に生まれ育ったわが子たちは、今の環境をどう感じているのかを聞いてみたいものですね。
都会に比べるとお店も少ないですが、だから良いのだと感じます。「無ければ自ら作る」、そんな事を私に思わせてくれる場所です。
― 同感です。便利な生活が素晴らしい、というものではないですよね。
― CHUM DONUTSを開店するまでの道のりで大変だったことはありますか?
吉澤さん:大変だったのは、“人に頼ることができない” という私の性分を柔軟にシフトすることだったと思います。開業準備って本当にやる事が多すぎて、体力・精神力ともに大変なんです。開業するぞ!と決めた当初は、人に頼ることが苦手な私は、全部を自分一人で解消しようとしたためにキャパオーバーになってしまいました。
その後少しずつですが、家族をはじめ周りの人に頼ることを意識して行動するようになり、ずいぶんと楽になりました。「できなーい!助けてー!」と声に出すのは大切なことで、これからも忘れないようにしたいと思います。
世代を超えて愛されるドーナツ
― お店を始めて「嬉しかったこと」はどんなことですか?
吉澤さん:ドーナツ屋をオープンする際に特別な告知をしなかったにもかかわらず、連日たくさんの方に足を運んでいただいています。お客さまの仲良しタイムにドーナツをお届けしたい!と日頃から思っている私に、「みんなで食べます!」と嬉しい言葉をいただけることは、私にとって最高のご褒美です。
お店を始めてみると予想外に客層の幅が広く、シニア層の方々がSNSでCHUM DONUTSを知って来店し、「孫と一緒に食べるんだよ〜」と笑顔でお話ししてくれることもあります。そんなことから “みなさんに愛されている” ということをしみじみと実感でき、とても嬉しいです。
まだまだ試行錯誤の日々で、楽しく仕事ができている!と胸を張って言えるようなレベルではありませんが、大変さと同等の充実感を味わっています。これからも一人でも多くの方に、ドーナツを通してシアワセ時間を楽しんでいただきたいですね。
いかがでしたか?
吉澤さんの作るドーナツは美味しいのはもちろんのこと、誰かと一緒に食べたくなる、幸せのおすそ分けをしたくなるようなドーナツです。
「私はいたって普通の主婦です〜」と謙遜しながらも快く取材に応じてくださった吉澤さんは、とても親しみやすくて朗らかで…。その雰囲気からも、暮らしにまつわるいろいろなことを楽しんでいる様子が伺えました。
みなさんの周りには、好きを仕事にしている方はいらっしゃいますか?
ぜひ『まゆといと』にお知らせください!
(マツオ)