富岡市の暮らしと移住のWEBマガジン
まゆといと

2024.08.09 移住-Iターン

上原 稲子さん ~妙義で叶える愛犬との暮らし~

「今年の春に沖縄から富岡市に移住した方のお話を聞いてみませんか?」

そんなお話をいただいた私マツオは、『沖縄』という言葉が持つ力強さに心惹かれ、「ぜひお会いしたいです!」と瞬時に顔を上げました。

 

さて、どんな移住のお話が聞けるのでしょうか…ワクワクしますね。

 

 

今回の主人公は、沖縄で生まれ育った上原稲子さん。

「私、妙義に引っ越して来た3月があまりにも寒くてびっくりしたの。」

そんな気候や風土の違いなど、沖縄出身の上原さんが感じた「富岡の暮らし」。

それは私にとって、ずいぶんと新鮮なものでした───

 

 

 

 

【上原 稲子(うえはら いねこ)さん】

沖縄県出身。今年の3月に富岡市妙義町にご主人、愛犬とともに移住。妙義山と富岡製糸場が大好きで、その存在が移住の大きな決め手にもなった。

 

 

 


 

 

 

愛犬との時間を最優先に考えた移住

 

 

― 上原さんは沖縄ではどのような暮らしをされていましたか。

 

上原さん:私は自然観察や歴史探訪が大好きで、週末には沖縄特有の動植物に出会うために、生物多様性に富む沖縄県北部の山原(やんばる)地域に入り浸っていました。ハブやヒメハブがうようよしている渓流を仲間たちと散策し、故郷の素晴らしさを再認識できた日々は、かけがえのない宝です。歴史も自然も本州とは全く異なる故郷・沖縄を、私は心から愛しています。

また、わが家には8歳になるラブラドールレトリバー犬の杏(あん)がいて、この杏と過ごす毎日をとても大切にしています。沖縄のビーチに出かけて杏と泳いだり、自然のなかで過すことが多かったですね。

 

 

上原さん提供)左が愛犬の杏ちゃん。右下が絶滅危惧種で国の天然記念物「ヤンバルクイナ」。

 

 

― 素敵な毎日を過ごしていらっしゃったんですね、沖縄の自然豊かな情景が目に浮かびます。しかし、なぜ沖縄から群馬の富岡市へ移住することになったのでしょうか。

 

上原さん:移住を決めた一番の理由は「愛犬と過ごす時間を大切にしたい」と思ったからです。庭付きの大きな家で、のびのびと犬と暮らしたい。いつしかこの願いが私たち夫婦の最優先事項となり、そんな物件を探していたところ、富岡市の「空き家バンク」(空き家バンク| 富岡市)に目が留まりました。

私たちは移住先にこだわりはなくて、住める家があれば他の都道府県でも良かったのですが、富岡市の移住者向けのサイトがとても見やすくて、利用しやすかったんです。誰でも気軽に閲覧できてわかりやすいサイトは、なかなかないと思います。

 

 

岡市空き家バンク」

 

 

上原さん:さらに市の移住体験住宅(まちなか移住体験住宅|富岡市)の存在もありがたかったですね。私は2022年、2023年の二回に分けてこの移住体験住宅を利用させていただきました。おかげで滞在中に市内のたくさんの物件を見て回ることができましたし、街の様子や暮らしのイメージをつかむことができました。

また、何でも聞ける窓口(移住相談|富岡市)があり、移住コンシェルジュの鈴木アクネさんにもずいぶんと相談に乗っていただきました。そして、移住体験住宅に住んでいる間に現在住んでいる家を紹介していただき、「この家に住みたい!」と思える運命の出会いを果たすことができたんです。

 

 

富岡市への移住や二拠点生活を希望する方がお試し滞在できる一軒家「まちなか移住体験住宅」

 

 

― 沖縄と群馬では気候や風土も違いますが、暮らしの変化はありましたか?

 

上原さん:「沖縄から海なし県の群馬に来て大丈夫なの?」ってみなさんに聞かれます(笑)。けれど私は山も川も大好きで、自然が豊かな富岡市は素晴らしい場所だと思っています。市内には見るべきものが点在していて、富岡製糸場はもちろんのこと、上黒岩にある県立自然史博物館は本当に立派な施設ですね。一時期は古墳にハマって、足しげく通っていました!

それに、家から眺める雄大な妙義山には毎日惚れ惚れしています。朝は山へ向かって「ありがとう!」と声をかけて、山からエネルギーをもらっています。

ただ、夏の暑さは沖縄の暑さと種類が違って、内陸特有の灼熱の暑さにはビックリしています。逆に、引越してきた3月の寒さにはちょっと気後れしてしまうほどでした…。1月、2月の冬本番はもっと寒いのかと思うと、今から冬が怖ろしいです(笑)。

 

 

 

 

 


 

 

 

かぞえきれない富岡の魅力

 

 

― 富岡に実際に住んでみて感じたことをお聞かせください。

 

上原さん:まだ住んで半年にも満たないので富岡のことはあまりよく知りませんが、それでもこのわずか5ヶ月間で、爆発的な春の桜の美しさや、緑の萌え出す樹木の豊かさに心奪われました。また、家を守る屋敷神、辻に立つ道祖神、馬頭観音、庚申塚。6月には笹に神垂で無病息災を祈り、雨の季節には夜明けとともに田に向かい、土と生きる。そんな地域のみなさんのひたむきな姿に心を打たれました。この地域では人々を守っている産土神の息づかいが、いたるところで聞こえてくるような気がします。

地域の人も温かくて親切な人が多いですね。私たち夫婦は農家ではないので、家庭菜園で少しだけお野菜を育てているのですが、ご近所さんは珍しい山菜や季節のお野菜などいつもおすそ分けしてくださって…それが本当に美味しいんです!こんな温かい人々との触れ合いも、ありがたいですね。

 

― 富岡の魅力を上原さんの視点で教えていただいて、なんだかハッとしました。

 

上原さん:もうひとつ、富岡市には素晴らしいところがあります。それは「愛タク」です!(乗合タクシー「愛タク」|富岡市)市内のどこまで乗っても100円で行けるなんて、こんな素晴らしいタクシーはなかなかないですよね。特に私たち夫婦はあと何年自分で運転できるかわかりませんから、このような愛タクがあることはありがたいですね。いつか免許返納をする日が来ると思いますが、そんな時でも愛タクを利用して通院や買い物に気軽に出かけられるのは嬉しいです。これも富岡市に移住を決めて良かった事のひとつです。

 

― 愛タクの停留所は年々増えていて、ますます便利になりそうです。元気なうちに愛タクに乗る習慣をつけておくことも大事かもしれませんね。

 

 

デマンド型(事前予約制)乗合タクシー「愛タク」

 

 

― これからやってみたいことや夢などありましたらお聞かせください。

 

上原さん:今はここでの暮らしに慣れることで精一杯ですが、徐々にDIYを進めています。主に夫が家のリフォームで、私は庭の手入れをしています。ささやかでも自分らしく過ごせるように、当初は時間をかけて家や暮らしを整えていくつもりでしたが、今年8歳になる愛犬との暮らしを最優先する方向で軌道修正をしました。愛犬はラブラドールレトリバーで平均寿命は10歳。あまり時間が残っていないかもしれません。具体的には、来年あたりには今の車から車中泊ができる車に乗り換えて、富岡を拠点に二人と一匹で旅することを夢見ています。

富岡に移住してから、時間をかけて妙義周辺をたっぷり歩く愛犬との散歩の時間が、かけがえのない時間になっています。杏の表情も生き生きとしていて、ここでの暮らしを気に入ってくれたみたい。愛犬の杏が幸せそうにしてくれているので、本当に富岡に来て良かったなと感じています。

 

 

撮影場所:富岡市妙義ビジターセンター

 

 

 


 

 

明るくニコニコと笑顔でお話ししてくださる上原さんは、まるで太陽のような人でした。

 

沖縄で生まれ育ち、自然や歴史を愛する上原さんが移住先に決めた富岡市は、なかなかイイ街じゃないか!と再認識した今回の取材。

今後、「愛犬移住」というワードも定着するのでは…?と新たな視点もいただきました。

 

みなさんは富岡のどんなところに魅力を感じますか?

 

(マツオ)

 

 


 

 

【book cafe ebisu】鈴木 亜紅子(すずき あくね)さん

新しくなった乗合タクシー『愛タク』に乗ってみた!

ここがすごいよ富岡の建物《第4回》群馬県立自然史博物館・かぶら文化ホール