『まゆといと』では、富岡市へ移住を考える方への
こんな暮らしもありますよ〜 という暮らしのありかたや、
こんな仕事もありますよ〜 といった、働き方のヒントになるような情報もお届けしたいと思っています。
これから移住を考えている方のなかには
「富岡市は自然が多くて魅力的な環境だけれど、仕事があるのかな?」
「市内で働くとなると、どんな企業があるの?」
「市内にはたくさんの工場があるけれど、専門職だから中途採用は難しいのかな。」
そんな漠然とした疑問を抱く人も多いのでは。
(工場のお仕事についてなにか情報はないかな…)と頭の片隅に置きながら過ごしていたところ、市内の小学校のホームページで気になる記事を見つけました。
それは、市立高田小学校と富岡市内の工場【株式会社 中島】が行ったオンライン授業の様子が書かれた記事でした。
教室でテレビスクリーンを見つめる児童たち。彼らの目線の先には、金属部品を紹介している男性の顔が映し出されています。
「オンラインツールを使って地元企業と交流なんて、すばらしい取り組み!」と感心した私。さっそく【株式会社 中島】のことが気になり調べてみると…
✓インスタグラムで頻繁に会社の情報発信をしている。
✓職場の雰囲気をYouTubeで動画配信している。
✓会社のホームページには、従業員の休日の過ごし方が書かれている。(アウトドア派 59%、インドア派 41%)
これらを見ていると、時代に合った〈若い感性〉を持ち合わせた企業のよう。(工場=なんだか堅そう)というイメージが払しょくされ、親近感が湧いてきました。
市内での就職先に工場勤務という選択肢があることも事実。この機会に工場の方に直接お話を聞いてみたい!!
ということで、宇田工業団地内にある【株式会社 中島】に取材のお願いをしてみたところ、その日のうちに快諾のお返事をいただけました。
(私の思い込みですが、)親しみやすい企業のイメージがあるこちらの工場なら、私たちの抱く素朴な疑問にも答えてくれそう…
そんな明るい希望を持ちつつ、宇田工業団地へ向かいました。
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宇田工業団地とは?
富岡市内には富岡藤木工業団地や富岡坂井工業団地など「工業団地」と名がついた区域が10ヵ所もあります。
そのなかのひとつ 宇田工業団地(富岡機械金属工業団地)は昭和45年に造成され、富岡市一ノ宮の宇田地区北部に位置しています。団地内には11社の工場があり、およそ700名が勤務。おもに自動車用部品の生産や精密機械部品の加工などを行っています。
今回はその宇田工業団地にある【株式会社 中島】取締役/総務人事部部長の中島将太さんにご協力をいただき、お話を伺いました。
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株式会社 中島 とは?
・1959年 群馬県伊勢崎市に創業
・2020年 富岡工場を設立
・従業員数:本社工場(伊勢崎)59名、富岡工場46名。
・代表取締役社長:中島 泉 氏
国内および海外に拠点を設け、金型製作からプレス加工まで一貫生産し、自動車用部品(電装部品・駆動系部品・電子制御部品)の製造を行う。
ー 中島さんはこちらの工場に長くお勤めされているのでしょうか?
中島さん:私自身は、大学卒業後に都内の筆記具メーカーに6年間勤務していました。ものづくりが好きで、エンジニアとして筆記具の製品や金型の設計をしていました。その後群馬にUターンし、父親が社長を務めるこちらの会社に戻ってきたのですが、当時は若手の従業員がとても少ないことに驚きました。
そのとき思ったのは、これから数年後には熟練した技術を持つベテラン層が次々と退職していくので、技術力の維持のためにも若年層の従業員を育てていくのが必須だということ。人材の確保と育成が急務となっている状況だったので、私が先だって人事採用部門を強化することとなりました。
いまでも試行錯誤の日々ですが、工場で働く従業員とコミュニケーションを取りながら、みんなに「この工場に長く勤めたい」と思ってもらえるような企業側の努力や工夫が必要だと考えています。
今回お話を伺った中島将太さん
ー「工場で働く」というと、専門的な知識や経験が必要で、中途採用は難しいのでは?と思ってしまいますが…。
中島さん:ものづくりや工場の仕事に興味や関心があれば、再就職も可能です。実際に富岡工場にも中途採用で入社した従業員が働いています。
製造業は品質に厳しい業界なので、精密な作業が求められます。こちら側では、就職希望者にその部分の適性があるかを見極めたいと思います。
新卒採用に関しては、入社してからの双方のミスマッチ(イメージしていた仕事内容と違う…等)を防ぐためにも、選考前の会社見学・社員雑談会・就職相談などの取り組みに重点を置いています。製造業への理解を深めるために、シミュレーションゲームなどが体験できる〈特別プログラム〉も用意しています。
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地域ぐるみで子どもたちの学ぶ力を育みたい
ー こちらの企業が力を入れている「社会連携教育活動」とはどのようなものですか?
中島さん:私たちは、企業と学校が共に協力し合い、地域ぐるみで子どもたちを育成していくことが大切だと考えます。企業が工場見学や課外授業を行うことにより、地域に暮らす子どもたちや未来を支える若者たちの学ぶ力を育て、そこから生まれる相乗効果により自社の社員の意識の向上や成長にも繋がるのではないか、と考えています。企業は長く存続することによりその価値が生まれ、周辺地域での雇用を生み出し、人々の暮らしを支える役割もあります。
ー 昨年12月に行われた高田小学校とのオンライン授業では、どんなことを感じましたか?
中島さん:児童たちが事前に質問を考えてきてくれたり、しっかりと下準備をした上でオンライン授業に臨んでくれてとても嬉しかったです。小学生たちの素朴な疑問(工場で作られている一番小さい部品はなんですか?等)に答えることも新鮮でした。
また、オンライン授業後に頂いた感想文を読んで、みんな立派な字と文章で書いてくれたことに感激しました。また機会があれば、ぜひ富岡市内の小中学校とオンライン授業をしたいです。
これからも地域間での繋がりを大切にしたいので、地元の小中学校の課外授業の受け入れや、高校のインターンシップ生の受け入れなど、積極的にお受けしたいと思っています。
ー 富岡工場の良いところはどんなところでしょうか?
中島さん:従業員がとても勤勉で、特に男性はまじめで誠実な方が多く、女性は明るく元気な方が多い印象です。富岡工場では工場長とベテランの女性主任が仕事の段取りや役割分担を調整し、従業員が一丸となり素晴らしいチームワークを発揮してくれているので、こちらも安心して任せることができます。
今後は宇田工業団地内の他の工場とも連携しながら、この地域での社会教育活動、社会貢献をしていきたいと考えています。
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現場で働く社員をたいせつに~人材から人財へと育てる~
【株式会社 中島】では、ひとりひとりの従業員を大切にし、その家族を幸せにするという理念を掲げています。中島さんが語られた言葉の中にも、「従業員を大切にしたい」「社員を育成し人財として共に歩んでいきたい」という、誠実で思いやりのある気持ちが表れていました。
また、「100人規模の従業員数だからこそ出来ることがある」という言葉も印象的でした。短い時間でも従業員のひとりひとりと顔を合わせて会話することで、より良い関係性が築けたら、と中島さんは仰っています。
従業員の方に中島さんについての印象を伺ってみると、
「やる気とエネルギーがあり、とても頼りになる存在」
「話しやすい雰囲気があり、居るだけでその場が和やかになる」
「ひとりひとりの従業員のことを大切にしてくれる」
と、みなさんから慕われる存在だということがわかりました。
取材中、中島さんが従業員の方たちをとても大切にしていると思える場面がありました。それは、「私の撮影よりも、現場で頑張っている従業員のみんなをたくさん撮ってやってください!」という言葉を繰り返していたこと。
従業員の方たちの、はにかんだ笑顔、黙々と作業に没頭する後ろ姿、製品を見つめる真剣なまなざし。。帰宅後に工場で撮影したそれらの写真を見ていると、工場内のプレス機械の音やにおい、金属部品のキラキラした輝きなど、いろいろな感覚が蘇ってきました。
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地域に愛される企業へ
私自身ご近所に住んでいながら、宇田工業団地には近寄りがたいイメージがありました。しかし工場内での作業風景を見て、従業員のみなさんと交流したことで、いままでのお堅い工場のイメージが180度変わりました。
宇田工業団地には、日本が誇る〈安心・安全・高品質〉のものづくりの技術がぎっしりと詰まっています。工場を支える人々はまじめで勤勉で、ここで生産される製品に自信と誇りを持っています。
私たちの暮らす富岡市にこのような立派な工場があることを、地域住民として誇らしく思いました。また、企業が地域の子どもたちに多様な学びの機会を与えてくれることも嬉しいかぎりです。
これからも地域と企業が手をつなぎ、ともに協力し合ってより良い関係性が生まれることがとても楽しみです。
富岡市の未来への可能性は、どんどん広がっているのですね。
みなさんの「こんなお仕事情報が知りたい!」や「とみおかの暮らしについての素朴な疑問」等ありましたら、ぜひお知らせください!
(マツオ)
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