野菜や魚などの生鮮食品、お惣菜にお菓子、生活用品、さらにちょっとした手土産も買える場所といえば… みなさんはどんなお店を思い浮かべますか?
大型スーパーやドラッグストア、24時間営業のコンビニでしょうか。
確かにそういった「便利で新しいお店」は、富岡市内にもたくさんあります。
でもそれだけではないのです。
富岡では小さな個人商店が、まだまだ現役で頑張っているんです!!
今回は、南蛇井・妙義・額部それぞれの地区で人々の生活を支え続けている、
個性豊かな商店をご紹介します!
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◆南蛇井のドンキ!?童心に帰る場所『おきなわ屋』
珍名駅で知られている、上信電鉄の南蛇井(なんじゃい)駅。
そこから細い道を歩いて1分ほどの場所に、
“南蛇井のドン・キホーテ” とも噂されているお店『おきなわ屋』があります。
1946年から始まった『おきなわ屋』は、当時からの懐かしい佇まいが残っている、昭和レトロ感たっぷりのお店。
営むのは三代目の佐藤篤さんです。
『おきなわ屋』と名付けられた理由を聞いてみると・・・
「先代のお婆さんが沖縄から南蛇井に移り住み、『栄屋』という屋号でお店を始めたが、お客さんから “沖縄から来た家だ” と言われているうちに『おきなわ屋』になった。」とのことです。
駄菓子をはじめ野菜、生鮮食品、生活雑貨がところ狭しとぎっしり並んだ店内。
昭和の懐かしい駄菓子を見ていると、小さい頃を思い出して自然と気持ちが和んでくるのを感じます。
初代は魚屋さんとして始まり、料理や仕出しをしていたそうですが、お客様のリクエストでどんどん商品が増えたようです。
お惣菜のメニューも豊富!こちらもお客様からのリクエストで増えたメニューです。
揚げ物は注文してから揚げてもらえるので、揚げたてアツアツ!
コロナ禍でおうち時間も増える中、これだけのお惣菜は助かりますね~。
見逃せないのが、富岡名物「ほるもん揚げ」!
ちくわに衣を付けて揚げ、甘辛いソースをたっぷり染み込ませたもので、昭和時代から親しまれています。
「小さい頃から遊びに来ていた子どもたちが成長して、結婚の報告に来たり、オリンピック選手になったり、プロ野球選手になったりね。長年やっているから、そうやって元気に活躍している姿を見るのが楽しみです。」と、嬉しそうに話す篤さん。
県外からのお客様も多く、里子に出した子猫の成長を報告に来てくれる里親さんもいるそうです。
いつ訪れても、篤さんと妹ののぞみさんが、にっこり笑顔で迎えてくれます。
取材に伺った時は、のぞみさんが神社の節分祭に使用する駄菓子をパッキング中でした。 駄菓子が外から見えるようになっているところが、かわいいアイデアですね ♪
『おきなわ屋』のファンであるお客さんと共に歩んできた、あったかいお店。
懐かしい思い出の駄菓子で、友達や家族との話題作りもできそうですよ(*^^*)
『おきなわ屋』
【電話番号】0274-67-2116
【営業時間】8:00~19:00 頃まで。元旦以外はほとんど営業しています。
(マツモト)
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◆溢れるのは大豆の香りと人情味『清水たばこや商店』
妙義山に向かう道中でひときわ目を引く、“妙義とうふ” と書かれた看板と小屋。
ここは 「妙義とうふ」 という名のお豆腐屋さんなんだ―― と、目にした人の多くが思うことでしょう。
ですがお豆腐は、奥の “たばこや” と書かれたお店の中で販売されています。
「豆腐屋だと思って電話をかけてきたお客さんが、“ はい『たばこや』です ”って出るもんだからびっくりするんだよ(笑)」
そう話すのは、『清水たばこや商店』店主の清水秀夫さん。妻のとし子さんと、お豆腐作りを担当する息子さんと一緒にお店を営んでいます。
「妙義とうふ」は、大釜でじっくりと大豆を煮る昔ながらの製法で作られているのが特徴。量産することができないため、手に入るのは製造元であるこのお店のみです。
しっかりとした木綿豆腐は、そのまま食べるのはもちろん、煮ても焼いても「これぞ豆腐!」と言いたくなる美味しさ。しかもパックに目一杯入ってこの価格!?と驚くほどの安さです。
お店を始めたのはとし子さんのお婆さんで、今からおよそ100年前のこと。
当時はタバコのみを販売しており、お客さんが本来の屋号ではなく「たばこや」と呼ぶため、お店の名前に「たばこや」が入ったそうです。
扱う商品は徐々に増え、三代目である秀夫さんが市場に通い始めたのをきっかけに、野菜や鮮魚など様々な商品が並ぶようになりました。
スーパーやコンビニが増えたことや、ご自身の年齢のこともあり、現在は品数を絞っているとのこと。それでも週に3〜4日は高崎の市場まで通っているそうです。
「こういうお店は近くにコンビニができたら普通は諦めるのに、よくやれてるねって言われるのよ(笑)」と、とし子さん。
車の運転ができない人や、お二人との会話を楽しみに来ている人など、「このお店が無くなってしまっては困る」というお客さんの存在があるから続いていると話します。
「お店に誰もいなくても、いつも裏が賑やかなんだよ。お茶飲んで、くっちゃべってさ。」と秀夫さん。
地域の人にとっては物を買うためだけの場所ではなく、大切な居場所になっているんですね。
突然訪問した私ですら、気さくなお二人との会話が楽しくて、つい長居をしたくなってしまいました。
「妙義とうふ」はもちろん、地元の農家さんから直接仕入れている「高田米」や「下仁田ねぎ」などを目当てに、遠方からやって来る人も多いそう。
ぜひ次に妙義を訪れた際は、ふらりと立ち寄ってみてください。
『清水たばこや商店』
【電話番号】0274-73-3558
【営業時間】9:30〜18:00
【定休日】日曜日
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◆THE地域密着型コンビニ『ヤマザキYショップいりやま』
額部小学校の目の前にある『ヤマザキYショップいりやま』は、一見するとどこにでもある普通のコンビニエンスストア。
ですがその中身は、超がつくほど地域密着型の商店なのです。
まず目を引くのが、店頭にずらりと並んだ立派な下仁田ねぎ!
例年11月中旬〜2月下旬まで販売しており、常連さんやゴルフ帰りのお客さんがよく買っていくのだそう。
みかんが10kgの箱で売られているのも、三世代で暮らす家庭が多い額部地区ならではの光景ですね。
そして店内を見て驚くのが、野菜・果物・お肉・お魚コーナーの品揃えの豊富さ。食材を一通り揃えることができ、地区内であれば配達もしてくれます。
さらに他のコンビニと違うのは、農作業に使う道具や、小学生向けの文房具、駄菓子コーナーの充実ぶり。土地柄が色濃く反映されていますね。
ここでお店の歴史について尋ねると、昔のお写真を見せてくれました。
お店は昭和20年(1945年)に『入山商店』として始まり、当初は文房具の販売や自転車修理を行っていたとのこと。
次第にたばこやお酒の販売も始め、冷蔵庫の普及とともに生鮮食品を多く扱うようになったそうです。
徐々に広げていったという敷地内には、さらに2つの建物が…
こちらでは40年ほど前から、「学校帰りの子どもが通えるように」と学習塾などを運営。現在も手前の建物ではそろばん塾が、奥の建物ではピアノ教室が開かれています。
額部小の児童は校外学習や体操着の購入でも必ずお店を訪れるので、額部の子どもたちの成長を見守り続けている場所と言えますね。
お店を切り盛りしているのは、三代目店主の入山和也さん(写真右端)と妻の佐知子さん、そして和也さんのご両親です。
一押しの商品は、店内で手作りしている種類豊富なお惣菜。素材の切り方からこだわった絶妙な食感と味付けは、ご飯のおかずにもお酒のおつまみにもピッタリ!
注文に応じて、焼き魚や天ぷら、お刺身の盛り合わせなども作ってくれるそうです。
「品物もそうだけど、個性を気に入ってもらえれば。」と和也さん。
実はこの取材中だけでも、バイクや陶芸、絵画のお話などいろんな会話がありました。
お店の人たちの個性が全面に出ているのが、個人商店の醍醐味ですよね。
『ヤマザキYショップいりやま』
【電話番号】0274-62-2829
【営業時間】7:00~20:00 ※日曜日は15:00まで。正月を除き年中無休。
(ナカヤマ)
いかがでしたか?
今では貴重な存在になってしまった、様々な物が手に入る個人商店。
物だけでなく “気持ち” のやり取りが感じられるところが、何よりの魅力ですよね。
「他の店でも買えるけど、あの人がいる店で買いたい」
そんな風に思えるお店を、ぜひ富岡で探してみてください。