今年の3月中旬、「米づくりや小麦づくり、野菜の収穫などの農作業を1年を通して体験してみたい!」と、若い女性たちが私たちの宿(農家民宿ひなた)にみえました。
その女性たちは、Gmoto Project の農業コミュニティ部門としてその活動を広めて行こうと活動している、みずほさん、すずほさん、なつみさんの3名。
一体どんな活動を目的としたチームなのだろう?と思い、立ち上げたきっかけを聞いてみました。
「一緒に農業を楽しむ仲間が欲しい。地域の人とつながり、もっと地域を知りたい。そう思ったのがきっかけです。私たちは3名とも農業の初心者ですが、農や食、環境、地域について、実践しながら学べる場を作りたくて活動を始めました。
また、母体になっている団体「Gmoto Project」では、「週末は群馬を『Gmoto(ジモト)』に」をコンセプトに、群馬と外部をつなぐ関係人口を創出する仕組み造りに取り組んでいます。
今はコロナ禍のため活動を制限していますが、将来的には農業を通して様々な人が出会い、つながる場をつくり、地域に少しでも貢献できる活動を目指したいと思っています。」
そんなみなさんが、なぜ私たちの宿での農業体験を選んだのか。その理由も聞いてみました。
「農家民宿ひなたの【作物を種蒔きから栽培・収穫し、目的の物を手作りする】というストーリーのある体験を提供しているところや、【自分たちの取り組みを広げて地域を盛り上げていきたい】という思いに共感したからです。
また、立ち上げメンバーの2人は富岡市出身なので、地元である富岡を元気にしたいという強い思いもあります。」
農業を通じて仲間を増やしていきたいという、ワクワクとした思い。
ぜひ「まゆといと」を通して多くの人に知ってほしいと思い、収穫までのストーリーを取材させていただく事になりました。
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4月11日『籾の引取り』
初回は立ち上げメンバーの3名と、作業日程の相談から始めました。
まず取り組むのは米づくり。関わるメンバーは13名(うち富岡市出身4名)で、広さは240㎡の田んぼです。
農作業は主に土日で、コロナ禍で人数制限もあるため、その都度連絡を取り合うことになりました。
左:JA甘楽富岡を訪れるメンバー。右:籾が入った袋。
打ち合わせ後はJAへ『籾』を引取りに行き、その日は解散。
私たちは24日の籾まき作業に向けて、苗間作り(田植までの苗を保管する場所作り)を行いました。
左:苗間。右:水につけた籾。
『籾』は、籾まき作業の5日前から4日間水に浸けておきます。
そして籾まき前日には、35℃~40℃くらいのお湯の中に一晩浸けます。
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4月24日『籾まき体験』
籾まき作業日はいいお天気に恵まれました。当日のメンバーは4名です。
育苗土を平らに整えます。
その上に籾をまきます。均一にまくことができる籾まき機も使用しました。
水をはった苗間へ並べます。
籾まき終了!まだ気温が低い日もあるので、10日間くらい保温の為にシートを被せます。
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籾まきの翌日、参加メンバーから体験の感想が送られてきました。
◆群馬の小学校では地元農家さんのもとで田植え体験をするところも多いと思いますが、その前の段階の作業ができたのは非常に新鮮でした。快晴の空のもと富岡の大自然に囲まれながらのびのびと作業できて、めちゃくちゃ気持ちよかったです!
次の工程は、早くも田植え。果たして、まいた籾がどんな感じで育っているのか・・・?楽しみです。
そして「農家民宿ひなた」をやられている御二方がとてもとても気さくで話しやすく、心の底では通じるものがありそうな気がして、これから関わっていくのが個人的にはとても楽しみです。(ばず)
若い世代の仲間たちに、思わずワクワクさせられている私たち・・・(笑)
よし、一緒に楽しませてもらおう (^^)
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『代掻き』
田植までの間は、メンバーが撒いた籾の成長ぶりを写真に撮って送る事にしました。
10日目〜43日目の苗の様子。
そして田植えの前には、「代掻き」という作業があります。田んぼに水を入れて掻き混ぜてドロドロにすることで、水持ちを良くする為に行う作業です。
回数は2回。1回目の代掻きを行った何日か後に、もう一度行います。
代掻きをした田んぼに、今年もカモがやってきました。
二度目の代掻きが終わると、水面に反射する景色がきれいです。
今年は良いタイミングで雨が降り、水に悩まされることなく代掻き作業を終えることができました。あとは田植えの日を待つだけです。
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うちはお米が大好物 (*^^*)
自分で作ったかけがえのない美味しいお米があれば、おかずは納豆と自家栽培の野菜がご馳走になります。
「自分が初めて米作りをし、その米を食べた時のあの感動は忘れられない。ぜひ米作りの面白さを体験してほしい」と主人。
野菜は家庭菜園や市民農園などで週一くらいの様子見でも栽培できますが、一方で米作りとなると栽培に諸々の条件があり、一気にハードルが上がります。その大変さゆえに、野菜作りには無い感動があるのです。
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6月6日『田植え体験』
朝から怪しい雲行きで雨が降り出してしまいましたが、作業予定時刻に近づくにつれ雨が弱くなり、開始するころには晴れ間が!これには驚きました。
籾まきから44日目の苗を手にするメンバー。自分たちで蒔いた苗の成長を喜びながら手にしている様子が印象的でした。
説明を聞いた後、心地よい風の中で感染対策をしながらの田植え作業開始です。
まずみんながびっくりしたのは、田んぼへ足を踏み入れるときの感触!!
「わぁーーっ!」と、中々歩くのが大変な様子・・・でもそれが楽しそう。(^^)
だんだん慣れてくるのが見ていてもわかります。
長閑な田園風景です。
田植えが無事終わりました。除草剤は使わないため、今後は月一で草取り作業を行います。10月の収穫までは水管理の日々です。
せっかくの体験なので手植えで作業を行いましたが、いつもは機械で作業をしている主人も楽しそうでした。
機械だと狭くて作業しづらいと感じている田んぼも、手作業となると途方もない広さに変わります。それでも同じ苦労を味わう仲間がいるというだけで、“田植え歌” でも歌いたい気分になるものですね〜♪
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後日、田植えに参加したメンバーからコメントが届きました。
◆ お日様の光をたくさん浴びて、ひんやりとした田んぼと水に手足をつっこんで、元気に育った苗を植える作業はとても気持ちの良いものでした。
日々の生活と仕事の忙しさも忘れ、とてもリフレッシュする事が出来ました!農業ってたのしいなぁ~♪ 次回の活動も楽しみにしています!(まさのり)
◆ 人生ほぼ初となる田植え。後日、なぜか手の指(特に右手)が筋肉痛になりましたが、無事に植えることが出来ました。
泥に足を取られすぎて全然進めなかったり、まっすぐに植えたと思ったのに曲がっていたり、はたまたひょっこり顔を出したカエルに癒されたり・・・。普段の生活では触れられないような「感覚」に満ち溢れた素敵な体験をすることが出来ました。
大変な作業をしながらお米を育ててくれている農家の皆さんには脱帽です(涙)
ぼくらが植えた苗がどんな成長をするのか、これからが非常に楽しみです~!(ばず)
◆ 4月に準備した籾が、すっかり見慣れた苗の姿に!写真では見ていたものの、やはり実際に見るとより生命力を感じました。
手植えをしたスペースはそんなに広くはないはずなのに中々ハードで、これを手植えしていた農家さんてすごいな!と思いました。そして機械で植えた列に比べると、私たちの植えた列は曲がったり、幅が揃っていなかったり。とても人間らしさが見えました(笑)
田植を終えた田んぼは、水がきらきらして苗が風になびいて、とっても素敵な風景でした。田んぼってこんなにきれいなんだな~!と感動!!(なつみ)
◆ 私は小学校ぶりの田植えでした。田んぼに足を踏み入れると・・・ズズズーっと長靴が泥の中に沈んでいき、歩くのも大変!!叫びながらも1歩1歩慎重に足を運びました。昔は、尻もちをついたり友だちを押し倒したりと、泥だらけになりながら遊んでいたのに・・・幼少期の勇気がまぶしいです。
苗をただ植えるだけ、と思いきや、土の柔らかさや水の深さ、そして苗の大きさによって倒れてしまうことも多く、なかなか難しかったです。でも自分たちで育てた苗はすでに愛着があり、元気に育ってね!という想いを込めながら楽しく植えられました!(すずほ)
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体験は続きます!
農業を通して、人と人が繋がるコミュニティを広げていきたい!!という思いから始まったストーリーある体験。
若い世代の人たちがこんなふうに農業に興味を持って、楽しみながら周りも巻き込んでいくと、自然と地域の活性化にも繋がるのではと感じています。
受け入れをさせて頂いた私たちも、とっても楽しい時間を過ごすことが出来ました♪
この後も、収穫に向けて農業体験イベントは続きます。収穫後には、自分たちの米でかまど炊きごはんを食べよう!!と考えています(*^^*)
今年は感染症対策として参加人数や活動頻度を抑え、今後様子を見ながらコミュニティを広げていくそうです。「一緒に活動してみたい!」と思った方は、下記のページまでお気軽にお問い合わせください。
(マツモト)