今年5月にオープンした『本と雑貨クリオ』。
お店の前を通るたびに、(この本屋さん、とっても気になる。。)と興味を抱いていた私マツオは、ある日娘からこんな話を聞きました。
「学校の先生が、“この学校の卒業生が富岡市内に小さな本屋さんを開いたから、近くの人は行ってみてね!” と言っていたの。」
「それは行ってみたいね!」ということでさっそくお邪魔し、店主である高橋紗知さんにいろいろなお話をお聞きしました。
【本と雑貨クリオ】
店名の由来は『curiosity(好奇心)』。「好奇心をくすぐる本」「安心して夢中になれる本」「あらゆる差別とたたかう本」をテーマに、新刊書籍・古本を店主がセレクトし販売しています。本だけではなく、ちょっとゆるくてかわいい雑貨も並んでいて、プレゼント選びにもぴったり。店内には喫茶スペースがあり、ゆったりと寛ぐこともできます。
■ 本と雑貨クリオ(curiobooks.base.shop)
この街の本屋さんになりたい
店主の高橋紗知さん
― どのようなきっかけで本屋さんを始められたのでしょうか。
紗知さん:いつか本屋さんになれたらいいな、という思いは昔から抱いていました。しかしそれは漠然としていて、何をどうしたらよいのかわからないまま過ごした時期が長かったです。そんななか、前橋市のフリッツアートセンター(F-ritz art center)でイベントをしている個人経営の本屋さんの姿を見て、「こんな世界もあるのか」と興味を持って。そこから、本屋になりたいと本気で考えるようになりました。
― 最近はネット環境さえあれば情報収集ができる時代になりましたが、本が持つ魅力は格別だと思います。本屋さんをやってみよう!と決心したことに拍手を送りたいです。では、そこからどのようにして本屋さんになる夢を叶えていったのでしょうか?
紗知さん:自分がやってみたい本屋はどんな本屋だろう?と考えていた時に、シンプルな【移動本屋】というスタイルもいいかなと思いました。でも、「その土地に根を張り、しっかりとした拠点を持ちたい」という考えに辿り着き、店舗探しを始めたんです。すると市内で物件探しを始めてすぐに、今のお店に出会いました。
ここは以前は学習塾だったのですが、内装は木の温もりが感じられて、自然光もたっぷりと差し込んでいて、「この雰囲気のなかで本屋さんをやってみたい!」と直感が湧いたんです。
― ここは大通りに面していて、近くには買い物ができる施設も並び、暮らしのなかでふらっと立ち寄れる場所ですね。
― 紗知さんにとって「本」はどんな存在ですか?
紗知さん:子どもの頃から本は「ともだち」でした。仕事が忙しかった母は、私にたくさんの本を与えてくれました。ゲームは買ってもらえませんでしたが、本は好きなだけ買ってもらえたんです。今思い返すと、あたりまえに本に親しんでいた幼少期があったから、今の自分があるのかな…なんて思いますね。
― お母さまの教育方針といいますか、たくさんの本と過ごす幼少期があったことが羨ましいです。そんなお母さまは、こちらで本の読み聞かせをやっていらっしゃるんですね。
紗知さん:店内の小部屋で絵本の読み聞かせや紙芝居のイベントをやっています。この読み聞かせの担当は母に任せているのですが、母は元教員なので、子どもたちに接することも得意なんです。
― お母さまのチャーミングな雰囲気に、私もすっかり魅了されてしまいました!
母の陽子さんの読み聞かせは大人も吸い寄せられてしまうほどの腕前。絵本のチョイスもセンスが光ります!
小学生のお悩み相談に真剣に答える陽子さん。こんな触れ合いのひとときが嬉しいですね。
本が好き── そこから生まれる人との繋がり
― 本好きの子ども時代を経て、その後の青春時代はどのように過ごされたのでしょうか?
紗知さん:中学・高校と、文芸部とイラスト部に所属していました。学園祭ではコラムや短編小説を寄稿したり、イラストを描いたりと、同じ趣味を持つ仲間たちとそれなりに楽しく過ごしていた記憶があります。
― じつは、私も紗知さんと同じ中学・高校を卒業しているのですが、「文芸部」とは…懐かしい響きです!!私は学園祭で文芸部のみなさんの作品を読むのが大好きでした。当時は同世代の子たちが、物語を書いたり自分の想いを文章に表していることに感心していました。
― 紗知さんが子どもの頃に読んで良かったな、という本があれば教えてください。
紗知さん:『ぼちぼちいこか』や『SNOOPYのもっと気楽に』は、イイ感じのゆるさがあってお気に入りの本です。今でも時々これらの本を開いてみるのですが、子どもの頃と大人になった今とでは、感じ方やとらえ方が違うんだな…と新しい気付きもあります。どちらの本もおおらかな余韻があり、何も考えずにパラパラとページをめくりたい時にはピッタリですね。
― 読んでいるだけでリラックス効果が得られる本もあるんですね。イラストを見ているだけでも、なんだか癒されます。
では最後に、紗知さんのこれからの夢や、やってみたいことがあればお聞かせください。
紗知さん:人々が気軽に集まれる居場所になりたいと、この本屋を始めてから思うようになりました。お店を始めてからというもの、繋がりやご縁を感じる場面が多くなり、人と話すことや交流することを「面白い」と感じるようになったんです。なので、本屋という枠を超えて「人とのかかわり」を大切にする場所を作っていきたいですね。たとえば…『まちなかの保健室』みたいな感じで、みなさんがちょっとした相談事や他愛もない話をポロっと話せるような場所にできたら、なんて思い始めました。私自身も受け止める器を持ち合わせないといけませんが、そんなおおらかな店になりたいです。
イベントルームを使ってみよう!
「夏休みの宿題、お家ではやる気スイッチが入らない…」という小中高生のみなさん、クリオ店内のイベントルームを使ってみてはいかがでしょうか?夏休み中(〜8/30まで)は、店内の小部屋を学習室として無料開放しています。
店主の紗知さんは教員経験もあるので、宿題を見守りながら可能な範囲で相談にも乗ってくれますよ!
【利用できる日】
月・火・金曜日の13時~18時
また、こちらで開催されるさまざまなイベントについては、Instagramで随時お知らせをしています! みなさんもぜひチェックしてみてくださいね!
いかがしたか?
「個人で本屋さんをやってみたら、今まで知らなかった職種や趣味を持つ人が声をかけてくれて、自分の世界も広がりました。」と語っていた紗知さん。
新しいことを始めるには勇気が必要。でもその壁を越えた先には、見たことのない景色が広がっているのかも…。お話しするなかで、そんな気付きも与えていただきました。
こんなに居心地の良い本屋さんが近くにできて、嬉しくて、温かい気持ちになりました。 ぜひみなさんも、本と雑貨と紗知さんに会いに行ってみてくださいね♪
(マツオ)